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【イベントレポート】異文化の連続!マタギと雪山を行く 「雪の学校」ツアーレポート

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NIPPON TABERU TIMES(以下TABETAI)は2019年3月2日(土)〜3日(日)に、山形県小国町五味沢(ごみざわ)地区にて開催された「雪の学校」というイベントに参加してきました!

 

2023年の開催情報は↓バナーをクリックor記事の最後で!

 

 

マタギの皆さんが先生となって、雪国ならではの文化を教えてくれた今回のイベント。マタギが主体となって開催するイベントは全国的にみてもあまりないそうです。早速その様子をレポートしちゃいます!

 

 書き手:土谷奈々

 

と、その前に……
今回の書き手であるわたくし土谷は、ひそかに思っていたことがあります。
それは、「TABETAI編集部内、マタギファン続出現象」について。

以前からTABETAIでは、マタギのところに取材に行かせてもらっていました。(関連記事はページ下から!)その中で、マタギの山小屋に同行したり、プライベートで会いに行くような編集部員が何人も出てきたのです。
彼らがマタギの話で盛り上がる中、マタギの皆さんにまだ会ったことのなかった私は、「なぜみんなマタギのファンになるんだろう」とずっと疑問でした。
と同時に、
「羨ましい……私もマタギトークしたい……」という願望が大きくなっていき、

 

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ついに、今回のツアーに参加しました!
前置きが大分長くなってしまいましたが、そんな念願が叶った今回のツアー。
1日目から振り返っていきましょう。

 

 

うさぎ追い体験

参加者の皆さんが今回の拠点である白い森交流センター「りふれ」に集まってきました。和気藹々とした雰囲気で開会式です。

 

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▲「雪の学校」校長の齋藤重美(さいとうしげみ)さんからのお話。
小国町猟友会副会長も務める、マタギ界の親分的存在。

 

そんなマタギ界の親分的存在の齋藤さんをインタビューした記事はこちら

 

開会式が終わると、さっそくうさぎ追い体験に出発です。

 

うさぎ追いとは、朝日連峰に伝わるうさぎの巻き狩りのことで、本来10人程で雪山を歩き、猟銃でうさぎを捕ります。
鉄砲をもったマタギと一緒に先発隊は森へ出発し、うさぎを追い出す役目の後発隊は下で指示を待ちます。
無線でGOサインが出たら、追い出し役の後発も森へ繰り出します。

 

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後発班はうさぎを巻くために、「おーーー!」「あーーー!」などと大声で叫びながら、3グループに分かれて山道を進んでいきます。
他グループの声を常に意識し、ペースを合わせてうさぎを囲い込みます。
山道を進んでいくと、うさぎの逃げ足を示す足跡がたくさん残されていました。
それを、後発隊の隊長、マタギの関英俊(せきひでとし)さんが丁寧に教えてくれます。

 

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「パンッ!!!」

 

森の中に鉄砲の音が突如響き渡りました。
うさぎが先発隊の前に現れたのです!
私たち後発隊は、その結果をすぐに知ることはできませんが、その後も引き続き大声を出して山を登り続けます。

 

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そしていよいよ先発隊と再会です!
なんと見事、うさぎ追い成功です。
マタギの手にしっかりと握られた獲物のうさぎを見たときは、何だか達成感がこみ上げますね。

 

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▲左からマタギの齋藤初男(さいとうはつお)さん、舟山隆一(ふなやまりゅういち)さん、TABETAI編集部田丸。

 

こうして無事にうさぎ追い体験終了、となるかと思いきや……
なんと、特別に仕留めたうさぎの解体まで見せていただきました。
生まれて初めて目にするものに、参加者の皆さんも真剣な眼差しを向けていました。

 

 

火まつり

雪山から帰ってきて少し休憩をとり、あたりが暗くなってきたころ。
雪国の伝統行事である「火まつり」が始まりました。

 

この火まつり、小国では「サエジ焼き」と呼ばれ、正月15日の夜に行われるそうです。
正月の松飾りやワラなどを燃やします。
この日は、それを特別に再現してくれました。
まず、火をお迎えする場所まで続く道を歩きます。

 

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雪の壁にはろうそくが灯され、山の神様も祀られていました。

 

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ここは神聖な場であるため、道を通り抜けるまでは一言もしゃべってはいけません。
火を迎える場所に着くと、ワラがくくり付けられた一本の木が立っていました。
私たちはそのまわりを囲みます。
ワラは燃えやすいので、着火後はみるみるうちに炎が大きくなります。

 

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あっという間にワラの先端まで燃え上がりました。

 

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小国町の西側にはサエジ山と呼ばれる山があるそうで、今日も五味沢地区では、そこで火を迎えるそうです。
この方法は、サエジ焼きの原型に近い形と言われています。
また、「サエジ焼きの火で餅を焼いて食べると、風邪をひかない」などの言い伝えもあるんだとか。この火が、病難を払う力をもっていると考えられてきたことがわかります。
この日もその言い伝えを祈願して、先生方が用意してくれたお餅を火の周りで焼いて食べました。

 

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また、地元のお酒も振る舞われ、この地に古くから伝わる神事を体験することができました。

 

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火まつりの後は、お待ちかねの大宴会です!

 

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こちら「雪の学校」のきまり。
4つ目に注目です(笑)
小国町の郷土料理や地酒がたくさん並びました。

 

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それだけではございません!なんと、先ほど捕ったばかりのうさぎが鍋に!
うさぎのお肉は、臭みがなくて、柔らかい!とっても食べやすかったです。
小さな骨が多いので、しゃぶりながら食べると、やみつきになりますよ!
それにしても皆さん、宴会を大満喫した様子で……。

 

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マタギと直接話せる機会なんて、なかなかありません。
今日見事うさぎをしとめたマタギの舟山憲二(ふなやまけんじ)さんにお話を伺うことができました。

 

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皆から“ケンちゃん”の愛称で親しまれている彼は、「雪の学校」第1回目から携わっているメンバーの一人です。
そんな彼に、今年で24回目を迎える「雪の学校」について聞いてみました。

 

ー 開催当初と比べて、参加者も年々減っていると聞きました。ケンちゃんにとって、「雪の学校」を続けていく理由はなんですか。

 

「この五味沢地区が少しでも盛り上がるなら、やる意味があるんじゃないかな」

 

マタギ文化を、五味沢地区を守っていく。
マタギの先生たちはそれぞれの想いをもって、この「雪の学校」を開催しています。

 

 

雪山で尻滑り

2日目は、朝から雪山へハイキングに出かけました。
この日もとびっきりの晴天で、綺麗な雪山が眩しい!

 

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カンジキ(雪下駄)を履いて、いざ出陣!

 

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▲カンジキを履くと、雪の中に沈みにくくなるので、格段に歩きやすい!冬の山では必須ですね。

 

途中、かなり険しい山道もありましたが、歩幅を狭くして登っていきます。

 

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熊本から移住し、五味沢地区で初の女性マタギになった蛯原紘子(えびはらひろこ)さんがそのわけを教えてくれました。

 

「帰り、山を下るときのことを考えて、歩幅を狭くしておくの。歩幅を狭くしておけば、急斜面でも下りやすい」

 

なるほど……!マタギと山を登っていると、こういった知恵をたくさん教えてくれます。

 

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頂上を目指して雪山を登ること、約1時間。
いよいよ頂上が見えてきました。
ゴールはもうすぐそこ!

 

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そして……!

 

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「きれーーい!!!!!」

 

頂上から眺める五味沢地区の景色は本当に美しい。
山の気持ちよさを実感します。

 

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みんないい顔してます。
そして最後におまちかね、
頂上からの尻滑り!!
この尻滑りをクリアし、見事「雪の学校」卒業となるわけです。

 

これが意外とスリリング!!
多分みなさんの想像以上にスピード出てます(笑)。
童心に帰るとはまさにこのこと。
皆さんはっちゃけてましたね(笑)。

 

こうして、何とかみんな卒業できそうです。

 

卒業確定がわかったら、何だかお腹が空いてきました!
公民館に行くと、地元のお母さんたち手作りのお昼ご飯が待っていました。

 

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あんころ餅、納豆餅、お雑煮。
つき立てのお餅が柔らかくて美味しいこと。
かのこやわらびといったこの地区ならではの山菜もふんだんに使われていて、この日の食事も大満足の美味しさでした!
そして、いよいよ最後の閉会式を迎えます。
重美校長から卒業証書を授与され、無事に皆さん「雪の学校」卒業です!

 

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参加者を代表して卒業証書を受け取った、白水開(しろうずはるき)くんは、最後にこんなコメントを。

 

「我々のような都会から来た人たちの感覚としては、獲物を殺すことをかわいそうと思ってしまうんですけど、現地のマタギの人たちにはそういう感覚がない。
かわいそうというのは相手を下に見てるということで、それは獲物に対する敬意の欠如。マタギにとって熊狩りは生活の一部になっているから、感謝しかないのだそうです。このような話を聞けただけでも、このツアーに参加した意味がありました」

 

小国町五味沢地区に伝わるマタギ文化を肌で感じた2日間。
帰り際に、「次は6月の山開きで会おう」と言ってくれました。

そこではもっとディ―プなマタギの世界が見られるかな……!

 

マタギの皆さんとの再会を想うと、今からワクワクします。
TABETAI編集部員がマタギにハマる理由がやっとわかりましたよ。

 


 

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