りんごの無農薬栽培を目指した4つの理由

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①「ランナー時代(子供の頃)の経験」

私の実家は農家でしたが、小学生から始めたマラソンで結果を出すことができ、大学、そして社会人の実業団まで走り続けていました。
子供の頃の練習場所は家の周り。
家の周りはりんご畑ばかり、のどかな田舎で綺麗な空気を吸いながら練習・・・とは実際違う物でした。
りんごは4月から9月にかけ、1カ月に2~3回も薬を散布しなければいけません。
当時のりんご農家は400戸くらい。走る日はだいたい誰かが薬を散布している状態でした。
走りながら薬を吸い込むと嘔吐することも。
それから農薬や畑にしみ込んだ臭いも嫌いになり、実家の畑の手伝いは色んな意味で嫌々やっていました。

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②「自然や益虫の保護」

走っていた頃の記憶で農薬を嫌いになりましたが、農作物を生産するうえで農薬を使う慣行栽培を否定していません。
色々な栽培法がありますが、生産者は皆「消費者に美味しく安心して食べて頂きたい」と一生懸命です。
ただ、農薬を栽培のガイドラインに従って使用しても、中には益虫(蜜蜂)などに影響を与えるものもあります。赤とんぼの減少も農薬によるものとされています。
私は子供の頃から虫や動物が好きで、今もそうです。りんごの花が咲くと蜜蜂が畑を飛び交い、その風景を見るのは作業中の癒しでもあります。

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③「味質の追求」

農業で自己表現をしようと思った時、普通とは違う味質の追求が必要でした。
お酒、特にワインは原料によって人を感動させるような酒質になります。
その原料であるブドウの栽培を調べると、100年以上無肥料だったり、極端な間引きをしたり、常識からかけ離れた栽培がされていて、それが見事に酒質として表現されています。
農業で味質の追求=自己表現⇒農薬不使用栽培と行き着きました。

農薬不使用栽培の作物を成分検査した研究結果として、農薬を使わないほど農作物の抗酸化力が高まることが明らかにされています。これは味質が変わる根拠として十分なデータと受け止めています。

④「先入観がなかった」

実業団として三重県で選手生活を送っていた26歳の時、りんご栽培の中心であった祖父が他界、そして父親も栽培できない状況でした。
年齢的にまだ競技を続けたい気持ちでしたが、畑を守るため引退し秋田へ帰郷。
ただ、急な出来事で栽培のイロハが分かりません。
「どうせやるなら無農薬で」と上記に述べた理由も重なり農薬不使用栽培を宣言。
しかし、周りからは大反対をされました。
農薬を使わないと栽培が不可能なこと、病害虫を発生させれば他園へ迷惑をかけること、その理由からでした。
それでもやろうと思ったのは、りんご栽培の知識がゼロでしたので先入観がなかったからだと思います。
もし、栽培の難しさや常識の部分を知っていたら、今回の栽培は最初から考えていなかったかもしれません。

子供の頃の苦い思い出と昆虫や自然への想い、そしてランナー時代に培った向上心の気質が繋がり今の栽培でへとたどり着いています。

(2015.01.02)


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