今日は二回目の大人の食育をした。
生徒は自分自身。
ニワトリを育てている農家として、そして人に食育を教える立場として、この道はやはり何度も通らなくちゃいけないと思う。
今日、命を頂いたのは二羽。
前回も二羽で、一羽をじいちゃんが、もう一羽を自分がやったけど、今回は二羽とも自分でやることにした。
小屋の中から捕まえるとき、前回よりもニワトリ自体が成長しているせいか、捕まえられてからの鳴き声が、鳴き声ではなく泣き声になっていて、決意した気持ちが揺らぎそうなほどだった。
それでも二羽の羽をしっかり紐で結び、いつもの山まで連れていった。
今回はまだ慣れてない自分のためにと、じいちゃんがニワトリの首を紐で縛り引き伸ばすようにして、ナタで首を落としやすいようにしてくれた。
でも逆にその光景が、ナタを降り下ろすまでの一歩を余計に怖く感じさせて僕の足を止めた。
やっぱり二回目でも怖い。
毎日のように食べる肉なのに、自分で用意するのは怖い。
それでも今日は、手際よくやれない自分にもどかしさを感じながらも、やるしかないと覚悟を決めてナタを降り下ろした。
でも降り下ろせば、ハイそれで終わりではない。
命が消えるまでもがくニワトリを、じっとこの目で見なければならない。
この光景もまた、僕にはまだ辛いものだった。
それでも休む間もなく次もやらなくちゃいけない。
今日は二羽とも自分の手で命を終わらせて、山から家に連れて帰った。
家に帰ってからはお湯をかけ毛を抜けやすいようにして、また前回同様じいちゃんとさばいていった。
愛情をもって時間をかけ育て、怖い思い、辛い思いをしながらようやく手にできるお肉はボウルにたった二つだけでしかなく、僕は少ないと感じてしまう。
家族で食べれば三食か四食分しかまかなえないと思う。
だからこそ夕食に並ぶ今日の肉は、値段のつけようのないまぎれもない命だと感じ、改めて命を頂くことは本当に尊いことだと考えさせられた。
(2015.12.07)
※編集部注
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