【まとめ】農家が語る「農薬、ホントのところ」

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「農薬なんて嫌だ。有機栽培・無農薬の野菜を作ってくれ」

・・・そう思いますか?

彼らが食べ物を育てる上で行った「選択」は、作物にかける「想い」の表れです。
表面的なイメージだけではなく、そこに込められた「想い」を知ることも大切なのではないでしょうか。


各地の農家さんは、どのように農薬と向き合っているのか。彼らの等身大の言葉を聞いてみましょう。

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case1. 農薬を抑えるとどんなことが起こるのか

「減農薬の対価は、終わりなき雑草ロード」

濱田智和・律子さん(富山県黒部市)

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こちらGマークは、減農薬コシヒカリの田んぼ。

減農薬はそのネーミングを間違えた!
と失敗を認めざるをえないくらい減農薬も減農薬。
超減農薬です!

だって、
農薬は田植えの時の除草剤1回だけしか使ってないんです。

他いっさいの殺虫剤・殺菌剤、
さらには化学肥料も使っていません。

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とにかく、
除草剤を1回しか使用しないと、
田んぼの状況やその年の天候にもよりますが、
すぐにこんな風になっちゃいます♪

あぁ、
見るだけで気分が悪くなる・・・・。
閲覧注意!
っていう添え書きが必要なくらいの凄まじさですよね、これ・・・。

今すぐにでも、
この時期に使用できる中期除草剤を散布したい!
んですが、
上記の通り減農薬コシヒカリは農薬は除草剤1回のみの使用とうたっているので、
当たり前ですが使えません。

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ここは地道にテデトールで戦います!

テデトールというのは、
何だかかっこいい響きですが(そんな事もない・・・?)、
単に手で草を取るを略しただけです、
あはははは。

テデトールはですねぇ、
こうやって写真で見てるだけだと、
ふぅん。
で終わっちゃうかもしれませんが、
例えばこの田んぼ1枚で3反以上もあるんです、広さが!
壷じゃなかった坪で表すと、
1000坪です、1000坪!

田んぼのあっちの畦からこっちの畦まで、
その距離100mですよ?!

そりゃぁ、もう、果てしない戦いです。
頭の中では「若者たち」が繰り返しリピートされます!
君の~、行く道は~、果てし~なく、遠い~♪

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(元記事:2015.6.8)
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case2. 農薬のメリット・デメリット

「農業の効率化と、食べ手の安全のはざまで」

市井晴也さん(新潟県魚沼市)

農業を安定的に営んでいく上で農薬を使うことは否定することはできません。ただ、食べ物であることを考えるとなるべく使いたくはありません。リスクはあるとしても。手間も経費も大変ですしね。

こちらの田んぼでは除草剤1回を基本としています。初めの3年位は無農薬でしたが、雑草処理が追いつかず、作ってほしいと頼まれる田んぼは増える一方なので諦めました。「基本は」と書いているのはやむを得ない場合が稀にあるからです。青虫やドロオイ虫の大量発生、病気が強く出てしまった場合などは周りや次年度に広がっていく可能性も非常に高いため、必要なところだけ薬を使うことがあります。そういう田んぼで獲れたお米はなるべく個人のお客様へ行かないよう、業者へ出したり自家用にしたりします。心配するほどではないのですが一応、なるべく。

除草剤も昔と比べて随分改え良されているように思います。最近増えていますもの、ドジョウ、コオイムシ、エビ系のミジンコなどの水生生物。
「低農薬」という表現には規定はありません。基本は除草剤1回、というのであれば充分「低農薬」と言えると思い、こちらのお米に使用しています。

(元記事:2015.11.14)
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case3. 農家にとって農薬とは?

「医療で使うから医薬品、農業で使うから農薬。これが私の考え方」

桒野由美さん(福岡県福津市)

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くわの農園では消毒に殺菌剤や忌避剤(*1)を使うことも多いのですが、ほとんどが植物由来のものです。
しかし、必要であれば化学薬品も使います。

お薬を使うのはタイミングと種類が大事!!
これは人間の病気も同じですよね。
お腹が痛い時に皮膚科に行ったりしませんよね。
農家はお野菜たちのお医者さんも兼ねているので、いつも様子を見ながらここだ!というポイントポイントでお薬を使います。

でも、基本、我が家の食べ物は、みなさんと同じものを食べるので、やっぱり安心して食べたいと思うんです。
自分たちが安心して食べることができる・・・
それって大事だと思うんですけど(^^ゞ

キャベツやイチゴは業者さんとも大量取引があり、無農薬で作るのはかなり難しい状況です。
くわの農園では農薬を使っていますが、情報を公開することで少しでも安心して食べて欲しいなって思ってます。

ちなみに私の個人的な意見ですが、農薬=農業で使うお薬、医薬品=医療で使うお薬という感じで、どちらも薬であることに変わりないと思っています。

(元記事:2015.7.12)
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最後にみなさんにお届けするのは、大分県の農家竹林さんのお話。
「じゃあ、いったい私たち消費者はどうしたらいいの?」
そんな疑問に対する、ひとつの提案を交え、語ってくれました。

「大切なのは、自分の五感で見極めること」

竹林諭一・千尋さん(大分県由布市)

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私たちの野菜は農薬を使わない、化学肥料を使わないで育てる。そこには自分が薬を吸いたくなかったからというのと、農薬散布って大変そうだし、有機農家で見た苗が一番健康そうに見えたし、そこの農園主だけが農業面白いからやったらいいんじゃんみたいな話をしてくれたからです。最初から有機農業と決めていたわけではないのです。じゃっかん母ちゃんは有機よりでしたが父ちゃんは慣行栽培(*2)でピーマン作る気満々でした。農業したいというだけで大分に来て、そこからどんな農業をするかは自分たちで選びました。慣行栽培の農家さんの話も色々聞きました。だいたい出る話は「やめておけ」、「3年で離婚する」、「奥さんが働きに出て旦那が農業するぐらいがいい」みたいな話でしたね。ニラ農家さんだけは有機の師匠と同じように農業勧めてくれたっけなぁ。

そんなこんなで選んだ有機農法。農薬、化学肥料を使わないから安心して食べられる?そう思う人も多いと思います。でも、今や有機肥料も嫌だと言われる方もいます。野菜に虫がついていることもあるし、虫が嫌な人には有機じゃない野菜の方がよっぽど安心して食べれるかもしれません。食べ物に関する基準は人それぞれ。だから、そんな薄っぺらなキャッチコピーで選ばす、自分で選んでください。畑を見に行く、どんな人が作っているか話を聞いてみる。そういうこと必要なんじゃないんですかね?遠くて行けないなら、Facebookみたりブログ見たり、わからないこと、疑問に思うことがあればメールでも出してみればいい。そうやって自分で判断して選ぶべきだと思うのです。

(元記事:2015.9.3)

 

※編集部注
*1)忌避剤・・・害虫や鳥獣が嫌がる臭い等の成分を用いて農作物に近寄らないようにする薬。
*2)慣行栽培・・・慣行栽培とは普通一般に行われている栽培方法。日本で普通一般に行われている栽培方法は、化学肥料を使い(有機質肥料を一部使ったとしても一般的には主体的な肥料として化成肥料が使われている。)、農薬と言われる化学物質を使い、病害虫の防除を行う栽培方法。一般に世界中で広く行われているのがこの方法。(参考:JA佐賀HP http://jasaga.or.jp/glossary/archives/35


➤このライターのプロフィール
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農家 新潟県魚沼市
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