【まとめ】困難に直面する有明海の海苔作りにエールを!今こそ知りたい海苔のこと

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つい先日のこと、編集部はこんなSOSを目にしました。

『全国的に海苔が上手く育たない状態に陥っています。
有明海も例外ではありません。』
くまもと食べる通信より一部抜粋 全文こちら

今、有明海の海苔の生産現場が危機的な状況に瀕しているようです。

ところで、そもそも普段食べている海苔はどうやって作られているのでしょう?
海苔が海で育てられ、食卓に並ぶまでをイメージすることは難しいのではないでしょうか?

困難に立ち向かう海苔の生産現場へのエールをこめて、今回は海苔作りについてまとめます。


 

始まりは、「くまもと食べる通信」からのSOS。

『「参りました。お手上げです。」
海苔漁師 牛嶋さんからその言葉を聞いた時、
初めて、自然と向き合うリアルを感じました。
皆さんも実感していることと思いますが、この秋は暑いですよね。
それに伴い、海水温度も下がらず、
全国的に海苔が上手く育たない状態に陥っています。
有明海も例外ではありません。
海苔は海水温が20度になると
生きていられるかどうかの瀬戸際だと
言われています。
そんな中、今の海水温は22度。
ちなみに例年は18度なので本当に非常事態です。』

1125くまもと食べる通信のりまとめ①

-くまもと食べる通信より一部抜粋 全文こちら

 


 

危機に瀕した有明海の海苔作り。
そんな時、地域の垣根を越えて生産者から声があがりました。
宮城県東松島市 相澤太さん

『皆さん。
2015~2016今漁期は海苔の大不作が予想され知ってる限り今、有明と瀬戸内がとても大変です。

海水温がなかなか下がらず海苔の成育に影響がでているのです。
知り合いの仲間達が大変な思いで海苔と向き合ってます。
とてつもない愛情と想いを込めた海苔が。。
悔しいほど仲間の気持ちがわかります。

自然には逆らわず受け入れます。その中で、プライドを持ち食べる人に安全で美味い物を提供するのが僕達の使命です。

皆さんにお願いがあります。
僕たちは、必ず安全で美味い海苔を作ります。自分の子供に食べさせれない物は作りません。
だから待ってて下さい。
一番大事なのは海苔を買う時に気にしてほしいんです
誰が
何時
何処で
作った海苔なのかを。』

1125あいざわ太のりまとめ①

(2015.11.23)

-相澤太さんfacebookより一部抜粋 全文こちら

 

宮城県石巻市 渥美貴幸さん

『海の状況次第…漁師をやってて永遠にぶち当たる壁。
「これからの時代は何が流行る」とか
「日本経済はこうなっていくだろう」とか…

そんなレベルじゃないんだよね。
『祈る』それしか出来なかったりする。
それでもダメだったりする。
人間がたちうち出来るレベルじゃないんだよね…
でもね…諦めない人がいる!リスクや不安でボロボロになるんだけど、やめないんだ。
また立ち向かう。』

(2015.11.23)

-渥美貴幸さんfacebookより一部抜粋 全文こちら


 

語られる生産者と自然の関係性。
では、そもそも普段食卓に並んでいる海苔は、
どのように自然の中で作られているのでしょうか?

過去にNIPPON TABERU TIMESに掲載した海苔にまつわる記事の中から、
その一部をいくつかご紹介したいと思います。

 

①一大イベント!海苔の採苗日 熊本県松尾町 牛嶋昭成さん

10月の一大イベント!海苔の採苗日が今日でした。
もうクタクタな僕です…
種入れに来てくれる皆さんのおかげで自分は仕事が出来ています。
幸せを呼ぶ海苔を一生懸命作ります!
『種よ!着け〜〜』と願いながら眠りにつきたいと思います。
皆様ありがとうございました

1126牛嶋まとめ①

(2015.10.14)

②腕の見せ所は品質を左右する「干出」ばい 佐賀県佐賀市 藤川直樹さん

10月16日、種付けより3日目。これから一番大事なのが干出と網洗い。
干出とは潮の満ち引きを利用して海苔網を海水から空気中に干す事ばい。どがんして干すと?というところで、いままで投稿してきた竹や吊り綱、そして干満差がここで生きてきます。
まず吊り綱に海苔網を付けてます。例えば吊り綱の長さが2mとします。この吊り綱を高さ4mのところに結びます。そうすれば海苔網は2mより下には下がらんたいね。1mまで潮が減ったら1m海面から上がるし2mまでしか減らん時はずっと海水に浸かりっぱなしたい。
今日の干潮が1.5mです。そしたら網は自然と50cm空気中に干されます。干された時間は3時間弱です。今日は網はきれいに乾いたばい。

この状態が干出ばい!

1125藤川直樹のりまとめ①

なので吊り綱の結び目を上げ下げし、干出の時間ば見ながら網を乾き具合を調整していきます。これから約2週間(幼芽期という)今年の海苔の味・品質・収量・水揚げを左右すると言っても過言ではなかばい。

そして、網洗い作業。

網洗いは海苔網に付いた汚れや珪藻などを洗い落とすことです。赤ちゃんと一緒で体が汚れたら洗ってやったり拭いてやったりする事だと思ってください。そして元気にすくすく育ってくれる事を願って毎日洗ってます。

1125藤川直樹のりまとめ②
海苔養殖に大事なのが干出を利用して海苔網を乾かすことです。なんでか?まず海苔の細胞が健康になってしっかりした海苔が育ちます。干出によりアミノ酸を増やして海苔が美味しくなります。しっかりした海苔になり病気にかかりにくくします。網を乾かす事で付着した珪藻等を死滅させます。

乾かせばいい事ばっかりやん、という訳にはいかんところが海苔養殖の難しかとこばい。海苔は他の海藻と違い乾燥に強い生き物です。ばってんあまり乾かし過ぎるとやはり海の生物なので海苔芽も傷んでくるし成長も鈍くなるばい。色も赤っぽくなるし収量もあがらん。干潮の時間は毎日違います。朝早い時間は乾きにくい。午後の時間は気温にも気をつけんば。天気も毎日違います。風が吹く日はすぐ乾くけん油断できん。曇りの日は長~く待たんば乾かん。雨の日は乾かすのはあきらめんば。と、いろんな条件の中で育てていかんばとです。

適度な乾き具合を毎日調整していく事が海苔の育苗期の一番重要であり、海苔師の腕のみせどころでもあるとよ。

(2015.10.16)

 

③海苔の冷凍保存! 熊本県熊本市 浦山幹弥さん

海苔の冷凍保存!

今、有明海では海苔網の冷凍保存の作業を行っている真っ最中です☻
海苔は冷凍して保存していてもまた海に戻せば成長する生き物なんです‼
その生態を利用して日本の海苔養殖では『秋芽期』と『冷凍期』の二つ期間で海苔を育てます。
『秋芽期』では10月の種付けから育てた海苔を12月中旬頃まで収穫します。
『冷凍期』では秋芽期の網をすべて海から陸に回収した後冷凍しておいた網を海に広げ12月中旬以降から3〜4月頃まで収穫します。
今はその冷凍期に使う網を冷凍保存する作業を行っているところです!
だいたい種付けした網を半分と少し冷凍保存します。

1125浦山幹弥のりまとめ①

海苔の冷凍保存は海から上げてきた網を脱水機にかけて天日干しをして水分を飛ばし網を束ねてビニール袋の中に入れて−20℃ほどの冷凍庫に保存しておきます!

この冷凍網と秋芽網を入れ替えることによって秋芽期に何度も収穫して固くなった海苔をもう一度、冷凍網で柔らかい海苔から育てなおすことができます!
また、秋芽網が病気などに感染した時の保険としての役割もあります。
これも、海苔漁師が少しでも美味しい海苔を取るための工夫の一つです☻

1125浦山幹弥のりまとめ②

(2015.11.8)

 


いかがだったでしょうか?

今回ご紹介できたのは、海苔作りのほんの一部かもしれませんが、

その中にも生産者の「美味しい海苔」を作る工夫がぎっしり詰まっていたように思います。

そして最後に紹介するのは、

今まさに危機に直面する牛嶋昭成さんから発せられたメッセージです。

『牛嶋です。

今年の「海苔」は十数年来の大不作の年に成りつつあります。
私達の産業は第一次産業です。
自然あっての産業です。
美味しい時と美味しくない時、豊作の時、不作の年があります。
そんな時自然を憂い、また、自然をありがたく感じます。
よく美味しい海苔が取れなかった、豊作にならなかったりすると天候を恨みます。
でも、これは仕方のないことなのです。今漁期の特性でもあるし、一言で言うとこういう年の個性だと。
だから美味しいものや、自分の納得したものができた時は格別な喜びとともに消費者の方が口にした時の笑顔が浮かびます。
確かに、ここ近年、少人省力化や機械化に伴い、一定の海苔が確保できるようになりました。
しかし、海苔養殖は自然の一部です。
自然の中に生産させていただく事に感謝し、毎年同じ天候でない、ましてや温暖化になっているここ近年、人間が自然に合わせていかなければならない事に気付き、生産者が自然の一部と再認識できた秋芽の期間だと思います。
忘れかけてた、自然とは切り離せないんだなぁという感覚を。。
この状況を私は楽しんでいます!
悔しい事も、嬉しいことも。
本当に自然は厄介!
厄介者だから手をかけたくなる!
自然相手の海苔生産。
毎年安定した味をお届けできるわけではありません。
同じ有明海で生産しても作り手によって、気候によって変わります。
美味しいと笑顔で食していただけると幸いですが、あれ?昨年と違う?どうした?って思って頂くことも作り手としてはありがたく、生産の課題にもなりますし、励みにもなります。良い時も悪い時も消費者と真っ向から向き合える海苔師でいたいと思う今日この頃です
さあ‼︎リスタートで頑張ります!』

1126牛嶋まとめ③

(2015.11.25)

 


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