【解説】佐賀県だけで海苔20億枚を売り切る「共販制度」

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漁師 佐賀県佐賀市

全国の海苔師が待ちに待ったと言う「一番摘み海苔」。一番摘みとはその年の一枚一枚の網から最初に摘んだ海苔の事ばい。しばらく経つとまた育ってくるので、次に摘んだものは二番摘み、次が三番摘みで、一シーズンに8〜9回積むばい。また、海苔は二期作けん秋芽網と冷凍網とで一年に二回一番摘みが採れるとよ。

その中でも私達の作る佐賀海苔といえば、その美味しさと口どけと柔らかさは日本一だと自負しているばい!その自慢の佐賀海苔の一番摘み、どうしても食べてみたい、ばってんどうやって手に入れるのかまた、何処で買うのか?百貨店や海苔専門店等で買うとこれがまた非常に高値で出回っておりなかなか厳しい。といってもそこら辺のスーパーでは売ってない。

じゃあ、直接海苔師から買った方が早かやん!

ところがどっこいそう簡単にはいかんとばい。それではここからが本題。海苔業界にある漁協への全量出荷、共同販売について解説するばい。

出荷・格付け検査・入札会

我々海苔師は、収穫した海苔を海から持ってきて乾燥機にかけてから(乾燥したものを乾海苔という)漁協に出荷するとばい。そして必ず全量を出荷することになっとーとよ!養殖網一枚からの収穫量は、300~500枚。たとえば私達のグループの場合、網が約1550枚なので、乾海苔46万5000枚~77万5000枚を出荷するとよ。

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漁協では、検査員さんが1束づつ目視と手触りで検査をする「格付け検査」があるばい。その等級はなんと約60種類!検査は漁協の各支所ごとに行われて等級付けをされ、次に海苔問屋さんによる入札会が行われるとよ。等級ひとつひとつに細かく値段がつけられます。入札会では○○支所の○等級は何円、と同じ等級になった海苔は一緒に落札されるとよ。この入札会、収穫期の11月中旬から翌3月中旬まで2週間に1回行われ、私達にも2週間に1回代金が入るという仕組みになっとーとよ。資金繰りの面でも漁師にとって非常に良いシステムなんです。

私の所属する南川副支所では海苔師が佐賀県でも一番多く約140世帯あるばってん最上級の等級を採る人はがばい少なかよ!たった2~3人の時もあるし多くても10人位しか採れん超レア物ばい!

ただ全量出荷なので個人で販売する事ができんとよね!等級や値付け、ブランドも個人ではなく支所や浜単位ばい。丹精こめてつくった海苔をどんな人に食べてもらいようかわからんところが少し残念もんね。やっぱり顔をつきあわせて販売したか気持ちはちょっとはあるばい!

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現在、佐賀県だけでも年間約18~20億枚の海苔が生産されとるよ。途方もない数と思わんね?これだけの海苔が売りさばけるのは共販システムのおかげて思うよ。私のグループでも約1000~1200万枚生産するとよ。これだけの量は絶対個人レベルで売れる次元じゃないもんね!

海苔師と友達になればよかやん!

じゃあこの一番摘み海苔、どうしても食べたかったら百貨店で高く買うしかなかと?そうなるねー!でも、手っ取り早いのは海苔師と友達になればよかやん!私はそう思うね。友達になったらお裾分けで譲ってもらえるかもよ!美味しい食べ方も聞けるしね。

消費者の皆さんは普段は海苔の味くらべする機会がなかけんまったく気付かんばってん海苔には微妙に味や柔らかさが違うとばい!まずその年々(気象状況や海況)で違うし、またひとりひとりの養殖の仕方でも違うし漁場でも違うとよ。

一番摘み海苔に限って言えば、もっと消費者にその価値を知ってもらって味を知ってもらって食べてもらいたかよね。それには個人ひとりひとりが発信をして、一番摘み海苔って食べてみたかなぁ!て思ってくれる人がいたら少しでも販売してやれるような事ができれば良かとかな。また食べてみたかなとか、がばい美味しかけん食べてみらんね、というふうにもっと海苔に興味を持って頂けたらと思うばってんね。

補足:
海苔は回数を重ねるごとに硬くはなってくるばってん、十分美味しかとよ。一番食べられてるとがコンビニのおにぎりの海苔ばい!これがだいたい2~5回摘みで、6回摘み以降はスーパーの弁当や味付け海苔やディスカウントストアとかに売られてるとよ。海苔に興味を持ってもらったらセブンイレブンやローソン等のおにぎり海苔を食べ比べしてみるのも面白いかもね!


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