【まとめ】命の価値を考え直させられる記事3選

in 東北/神奈川/福島/秋田/関東
                 
この記事のライター
                 

僕たちが今食卓で食べているものはすべて元は命あった生き物です。
普段何気なく食事をしていると忘れがちですが
食べる前に少しそのことを考えると、
「いただきます」に込められた気持ちも変わってくる気がします。

 

・養鶏場での事件
(元記事:壇上貴史 2015.9.17)

先日、家の用事を済ませ、養鶏場に行った時の事です。
集落の方から鶏達にあげてね♪と頂いた
枝豆の茎を大量に車に積んで出発しました。
「枝豆、あげたらきっと喜ぶだろうな」
「また取り合いになって大運動会が始まるかな?」
そんな鶏達の嬉しそうな顔を想像しながら養鶏場に向かいました。

養鶏場が近くなるにつれ、何だかいつもと違う雰囲気を感じました。
いつもなら”ここに、本当に鶏がいるの?”と疑いたくたくなるほどの静かな養鶏場。
しかし、あの時は全く違いました。

泣き叫び、悲鳴をあげるヒヨコ達の声です。

私はとにかく鶏舎内に走りました。

目に飛び込んできたのは
鶏舎内にいるはずもない大きな鳥。ノスリでした。
ノスリはヒヨコ1羽を仕留め、食し、
鶏舎内を縦横無尽に飛び回り、ヒヨコ達を脅かしていました。
ヒヨコ達は怯え、鶏舎内の四隅に逃げています。
2・3羽は自分の何倍もあるノスリに対して勇敢に立ち向かっていました。

私はパニックを起こしました。
とにかくこのノスリを鶏舎内から出さなければと思い、
必死で近くにあったレーキで抑え、夫に連絡をしました。

2~3分で夫は血相を変え到着。
ノスリを鶏舎外に出し、
四隅に逃げているヒヨコ達の救出を急げと私に指示しました。
私は訳もわからず、四隅に逃げ固まっているヒヨコ達に
「大丈夫だから・・・」
「もういないから・・・」
と声を掛けながらヒヨコ達に手を差し伸べたた所、
再度、目を疑いたくなる様な光景が飛び込んできました。

折り重なるように圧死したヒヨコ。

鶏は大きな物音や恐怖を感じると隅っこに逃げる習性があるそうです。
鶏舎内を飛び回るノスリから少しでも離れたいという気持ちでしょうか?
ヒヨコ達は我先にと端っこの奥へ・・・奥へ・・・と
”おしくらまんじゅう状態”だったのではないでしょうか・・・
苦しさからか?恐怖からか?
目を見開いたまま死んでいるヒヨコがたくさんいました。

私は過呼吸の様な状態になり、泣きました。
でも、涙は出ませんでした。
「・・・・無理・・・・私には出来ない・・・」
と発狂しました。
夫は私に「しっかりしろ!早く救出しろ!」と怒鳴りました。
目を見開きながら死んでいるヒヨコ。
息絶えたヒヨコ。
・・・1羽1羽・・・救い出しました。
そうすると中に1羽だけ、弱々しくではあるけれども息のあるヒヨコがいました。
「・・・・生きてる・・・!生きてるよ!!」
「・・だから早く救出しなくちゃいけないんだ。急げ!しっかり!!」

一心不乱でしたので何羽の命を救出できたかはわかりません。
しかし、今回の事で22羽の命がなくなりました。

養鶏場のある里山には
ノスリの他、タカ、トンビ、イノシシ、キツネ、タヌキ・・・
様々な生物が生息しています。
安全対策を強化するのと共に、
私は再度、人間が食する全ての生産物の生産方法や購入方法、価格・・・
様々な事を考えさせられました。

スーパーやデパートでは
閉店間際でも山の様に並べられた食材があります。
何時でもどんな時でも欲しい食材は買いに行けます。
それって何だかおかしくないかな?

私達の卵は数がとても少ないです。
出店していると
「もうないのかよ・・・」
「やる気ないのね・・・」
と度々言われます。

でも、
どうして少ないのか?
どうして買えないのか?
どうして・・・・?

ちょっとだけ気になっていただけたら幸いです。

6ee98b77

(2015.9.17)

 

 

値段がつく前の「いのち」が見えるとこ
(元記事:山本太志・瞳 2015.7.18)

漁業をやっていて一番おもしろい!と感じる瞬間は、荷揚げのときに、タラもノドクロもイカもカニもカナガシラも一緒くたになってカゴに入っているのを見たとき。
そのカゴは、「不落(ふらく)もの」「ハンパもの」を入れるものです。漁では、足が欠損してセリに出しても値段がつかないカニ、量がハンパになってひとつの箱を作れない魚が出るんです。
それらは自家消費に回るのですが、家ではカニもカナガシラも同一にありがたく食べるんですよね。

IMG_1253

で、気づいたんですけど、
私は嫁ぐまで、「品物」としての魚しか見たことがなかったんですよね。
ボタンエビは「居酒屋いったら超高嶺の花!」だし、「アジやサバにはスーパーや回転寿司でこんくらいの値段?」と思ってたし…。

でもでも、荷揚げをやってこのカゴの中身みたらわかったんです。
海のさかなのいのちにはもともと値段なんかないって。
あとから値段をつけるのは人間で、海のなかで生きる彼ら自身には関係のない価値観なんですよね。

こう書いてみれば当たり前のことなんだけど、視点が一度「買う・食べる人」から「魚側」に180°変わり、そこから両者の間をいったり来たりするようになりました。カッコつけていうと山川草木の複眼をもつってやつですか。

 

 

命を無駄にしない
(元記事:菊地将兵 2015.8.27)

魚屋さんから魚の売れ残りとアラをもらってきました。

大野村農園では毎週一回、ニワトリの餌として地元の魚屋さんの所へ廃棄される予定の魚をもらいに行っています。

餌としての魚は、市販品として魚紛(ぎょふん)としても販売されており買ってしまえば早いのですが、私たちはあえて買わずにうちで出る傷物の野菜と交換という形で魚屋さんと毎週やり取りしております。

正直に言えば市販品を買った方が断然楽ですし、ほとんどの養鶏農家さんは市販品を買っていると思います。でも、それでいいのでしょうか?

ニワトリを飼いだして間もないとき、地元の魚屋さんに出向き廃棄される魚があるかどうか不安に思いながらも尋ねました。私としてはあまりないんじゃないかと考えていたのですが、わずか1店舗の小さな魚屋さんに驚くほどの廃棄される魚があり、毎日業者さんにお金を払ってまで回収に来てもらってるんだと知らされ、こんなにも棄ててるのかと唖然としたのです。昔ならきっとこんなことはなく繋がってたんだろうなって思って、同時に今の時代はみんながバラバラなんだとすごく悲しく感じました。

魚屋さんはお金を払ってまで魚を棄て、ニワトリ農家もお金を払ってまで魚を他県から買ってくる。こんなの変だしお互いに繋がったらいいじゃないですか。そんな想いが通じて、それから毎週魚を頂きに行っています。

11865225_838207326287049_7804677297227941821_o

写真にある魚を見てもらえばわかるように、まだまだ人間が食べれそうな旨そうな魚がたくさん見えます。私たちはこの魚を学校給食のような鍋で三時間煮込みます。煮込む道具はもちろんロケットストーブで、電気もガスも使わない。木もむやみに伐採はしない。風で折れた木の枝だけが燃料です。

11880319_838207379620377_1092192616206610558_n

11896213_838207429620372_7461871510690979234_n

11924211_838207402953708_842231900202378161_n

こんなものでも三時間かければグツグツ煮込め、仕上げに傷物のジャガイモなども入れて煮込めば最高のニワトリの餌が出来上がります。

11890911_838207449620370_7082273386475324864_n

ポチッとスマホの画面を押せば簡単に餌が買えてしまう時代に、私たちはあえてこのやり方を選びました。毎日作業についてくる二歳の息子にも、いずれお父さんお母さんがしてるこの意味がわかってくれればと願っています。手間をかけるからこそ、ニワトリにも、魚にも、自然にも、今日も感謝して美味しい卵をいただきます。

(2015.8.27)

 

 

 

 


➤このライターのプロフィール
農家 神奈川県小田原市
漁師 秋田県八峰町
農家, 畜産農家 福島県相馬市