平良木亨さん(秋田県横手市)に聞く②: あの雪害があって、今がある

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11800756_852890028125369_32768720_o話=平良木 亨さん(秋田県横手市)

 

就農1年目に
ぐっさぐさにやられた

平成3年に、青森のりんごを全滅させた「りんご台風」というのがあったんですが、ここもモロに食らいました。俺、中学生だったと思いますけど、週末、りんご拾いを手伝いましたよ。山の斜面にあった畑のりんごが全部落ちて、斜面の下の農家さんのところにたまってしまった。そのときの新聞には「赤いじゅうたんが敷かれたよう」なんて皮肉なことが書かれていました。

ただ、そのときは中学生だったから、それを農業という仕事の厳しさとしてイメージする頭は、まだなかったんですよ。個人的に就農してから一番ショックだったのは……4年前の雪害のときも、まあ、うわーとは思ったんだけれど、それよりも前に、就農1年目のことがあります。

自分は農業短大を出て、家に戻って1年間畑を手伝ったあと、果樹試験場で2年間研修をしてから本格的に就農しました。その最初の年の確か11月4日だったかな、収穫直前、あと2、3日もすればふじの収穫を始めるぞという日に、ものすごい雹(ひょう)が集中的に降ったんです。結構大きい雹だったんで、りんごがぐっさぐさにやられて。ほぼ全滅でした。せっかく贈答用がたくさん採れると張り切っていたのに、全部、加工用に回された。あれが十何年やってきて一番ショックでした。就農したてですからね、こんなのねえよ、と。

 

豪雪の横手で
果樹をやっていくのなら

あのときは相当落ち込んだけれど、それでも農業を続けてきたし、あれがあったから、大雪に遭っても、何とも思わないとまではいわないけれど、「あのショックに比べれば何とかできるんじゃないか」と思える。

4年前の豪雪では、もちろん被害はありました。でも、そこまで落ち込むようなことはなかった。あの時は、1m掘っても、次の日に来たら1m50cm積もっている状態でした。木の上のあそこに番線(針金)が張ってあるでしょう?

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高さ3mあるんですけれど、俺、あれをまたぎましたから(笑)。

そんなだから、樹は当然、全部埋まるし、枝は雪に引っ張られるしで……春になったらもう、枝はみんな折れて、一本棒になってしまった。せっかく1年2年かけて育てた樹が、最初の年と同じ状態に戻ってしまったわけです。そのことにショックを受けている人はもちろん多かった。一からつくりなおしですから。2年かけてつくり、これから2年後に実をつけて収入となることを見据えていたのが、また5年先まで延びてしまったわけですから。

でも、ここで果樹をやっていくのなら、しょうがない。宿命だと思っています。

4年前の雪害で、「ふじ」をつくっていた畑のひとつが全滅してしまいました。その畑で、今、100本以上の「紅の夢」をつくっている。あんなことがあったからこそ、思い切って切り換えることができた、ともいえるんですよね。

・第1回はこちら→①「秋田からクッキングアップル??」https://taberutimes.com/posts/4110
・10月2日公開③「パティシエの“おかかえ農家”になる!」https://taberutimes.com/posts/4457に続く

聞き手:保田さえ子(NIPPON TABERU TIMES副編集長)


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農家 秋田県横手市