卵、一つ、つくるという事。

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農家 神奈川県小田原市

こんにちは

先日、自然養鶏場 春夏秋冬では大変な事件がありました。
私はまだ心の整理がつきません。
無理かもしれませんが、
このブログに書くことで心の整理をしようと思います。

先日、家の用事を済ませ、養鶏場に行った時の事です。
集落の方から鶏達にあげてね♪と頂いた
枝豆の茎を大量に車に積んで出発しました。
「枝豆、あげたらきっと喜ぶだろうな」
「また取り合いになって大運動会が始まるかな?」
そんな鶏達の嬉しそうな顔を想像しながら養鶏場に向かいました。

養鶏場が近くなるにつれ、何だかいつもと違う雰囲気を感じました。
いつもなら”ここに、本当に鶏がいるの?”と疑いたくたくなるほどの静かな養鶏場。
しかし、あの時は全く違いました。

泣き叫び、悲鳴をあげるヒヨコ達の声です。

私はとにかく鶏舎内に走りました。

目に飛び込んできたのは
鶏舎内にいるはずもない大きな鳥。ノスリでした。
ノスリはヒヨコ1羽を仕留め、食し、
鶏舎内を縦横無尽に飛び回り、ヒヨコ達を脅かしていました。
ヒヨコ達は怯え、鶏舎内の四隅に逃げています。
2・3羽は自分の何倍もあるノスリに対して勇敢に立ち向かっていました。

私はパニックを起こしました。
とにかくこのノスリを鶏舎内から出さなければと思い、
必死で近くにあったレーキで抑え、夫に連絡をしました。

2~3分で夫は血相を変え到着。
ノスリを鶏舎外に出し、
四隅に逃げているヒヨコ達の救出を急げと私に指示しました。
私は訳もわからず、四隅に逃げ固まっているヒヨコ達に
「大丈夫だから・・・」
「もういないから・・・」
と声を掛けながらヒヨコ達に手を差し伸べたた所、
再度、目を疑いたくなる様な光景が飛び込んできました。

折り重なるように圧死したヒヨコ。

鶏は大きな物音や恐怖を感じると隅っこに逃げる習性があるそうです。
鶏舎内を飛び回るノスリから少しでも離れたいという気持ちでしょうか?
ヒヨコ達は我先にと端っこの奥へ・・・奥へ・・・と
”おしくらまんじゅう状態”だったのではないでしょうか・・・
苦しさからか?恐怖からか?
目を見開いたまま死んでいるヒヨコがたくさんいました。

私は過呼吸の様な状態になり、泣きました。
でも、涙は出ませんでした。
「・・・・無理・・・・私には出来ない・・・」
と発狂しました。
夫は私に「しっかりしろ!早く救出しろ!」と怒鳴りました。
目を見開きながら死んでいるヒヨコ。
息絶えたヒヨコ。
・・・1羽1羽・・・救い出しました。
そうすると中に1羽だけ、弱々しくではあるけれども息のあるヒヨコがいました。
「・・・・生きてる・・・!生きてるよ!!」
「・・だから早く救出しなくちゃいけないんだ。急げ!しっかり!!」

一心不乱でしたので何羽の命を救出できたかはわかりません。
しかし、今回の事で22羽の命がなくなりました。

養鶏場のある里山には
ノスリの他、タカ、トンビ、イノシシ、キツネ、タヌキ・・・
様々な生物が生息しています。
安全対策を強化するのと共に、
私は再度、人間が食する全ての生産物の生産方法や購入方法、価格・・・
様々な事を考えさせられました。

スーパーやデパートでは
閉店間際でも山の様に並べられた食材があります。
何時でもどんな時でも欲しい食材は買いに行けます。
それって何だかおかしくないかな?

私達の卵は数がとても少ないです。
出店していると
「もうないのかよ・・・」
「やる気ないのね・・・」
と度々言われます。

でも、
どうして少ないのか?
どうして買えないのか?
どうして・・・・?

ちょっとだけ気になっていただけたら幸いです。

(2015.9.17)


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