無薬畜産の誘致で「食の改革」を! 白川村の新たな挑戦を探る

in ふるさとワーキングホリデー
この記事の書き手

皆さん白川村と聞いて何をイメージしますか?
私は雪の降り積もる、雄大な白川郷の姿を思い浮かべます。同じ風景を思い浮かべた方も多いのではないでしょうか。

2月になると最高積雪量が170センチ、最低気温が-5℃近くになる寒冷な農村地帯である白川村では昔、たんぱく源は豆腐や猪肉、熊肉が中心。つけものを焼いてステーキに見立てるなど、他の商家町に比べると食が豊かであるとは言えない環境がありました。

そこで白川村では、観光立村を目指していくためには食の面からの改革が必要であると考え、裾野の広い産業を発展させていくために村外企業の企業誘致というアプローチを行うことになりました。

今回は誘致された企業である、吉野ジーピーファームの代表取締役である吉野毅(よしの・つよし)さんにお話をうかがいました。

吉野さんは日本獣医畜産大学を卒業後、高山市農業協同組合で畜産部門を担当。そこで見てきた高山市の畜産の現状や経営の大変さを知ったことで、自分自身で地域の先駆けとなる畜産のビジネスモデルを作りたいとの思いを胸に、吉野ジーピーファームを立ち上げました。

そして、それまで高山農場や中津川農場で培ってきたノウハウを活かし、この秋、白川農場で地元の人々に愛される白川の特産品を使ったブランド豚を誕生させたのです!

安全安心を届けるためのこだわり経営

 吉野ジーピーファームさんでは、安全・安心を届けることを目標に、全国でも珍しい無薬での生産を行っています。そのために独自の対策を講じています。

 一般的な畜産では、豚マイコプラズマ肺炎といった生産に影響を及ぼす病気を予防するための投薬や抗生物質の投与が行われますが、吉野ジーピーファームさんでは一切の薬剤投与がありません。
しかし薬剤を投与しないことによる、病気(日和見感染など)のリスクをどう回避していくか、という高いハードルがありました。

吉野ジーピーファームさんでは、そのハードルをクリアするために2つのことを行っています。 

 1つ目は乳酸菌など健康に有益な微生物を活用すること。胃腸から豚の生命力を高めることで病気になりにくい体づくりが行われています。

2つ目は、外部から菌を持ち込ませないための徹底的な衛生管理。

農場に入るには、頭髪や身体に付着しているかもしれないウイルスや菌を落とすためにシャワー室を通るのはもちろんのこと、衣服に付着した汚れも逃がさないためにエアシャワーも行うほど徹底した工程を踏んでからでないと、豚舎に入ることはできません。

また、配送業者(飼料配達・ガス配達・出荷トラック)などの搬入作業に関しても車両は消毒ゲートをくぐり、作業員は防護服を着用していただくなど、徹底しています。また、場内に搬入するすべてのものは、燻蒸庫で消毒をしてから搬入します。

積雪が多く、施設の倒壊も起こりうる白川村ですが、安心して飼育を行うことができるよう、耐久性の高い豚舎を導入するといった、この地域に対応する工夫も行われています。

このこだわりは全て、吉野さんの「地域に根差したブランド豚の生産によって地域に貢献したい」という強い想いにより行われています。

こうしたこだわり経営のもと、2020年11月19日に白川で新たなブランド“結旨豚(ゆいうまぶた)”が誕生しました。結旨豚という名前には、白川村の助け合いの精神である「結(ゆい)」の文字が使われています。

この結旨豚の特徴は、白川農場のある大字飯島字下田の豊かで天然ミネラルたっぷりの水と、旨味向上のため、肥育段階における飼料に麦を30%以上配合、オレイン酸向上のため飼料用玄米(村内農家で作られた飼料用玄米を含む)を20%配合していること。さらりとした脂身で食べやすく、チャーシューにしたりそのまま串焼きにしたりと、その味わい方は様々です。

1次産業と地域のつながりを考える

この結旨豚の生産により、様々な地域とのつながりが生まれています。

まずは、企業と地域農家との繋がりです。

生産の呼び掛けに応じてくれた村内の2つの農家さんと契約し、飼料用玄米の生産が行われています。白川村の農家からは飼料用玄米の提供を、企業からは堆肥の供給を行うことにより耕畜連携がとられ、企業と農家との間に1次産業の循環が生まれています。

そして、地域循環事業と地域雇用との繋がりです。

新しく畜舎ができたことで、7名の新たな雇用が創出されました。吉野さんの息子さんも白川村に移住して、どぶろく祭りで使用するどぶろくの仕込み作業の手伝いをされたこともあるそうです。

さらに、企業の取り組みと地域住民との繋がりも生まれています。

昨年12月に、結旨豚のお披露目として村民向けイベントである「ぶたフェス」が開催されました。村内で馴染み深い7店舗により考案された、結旨豚を使ったイベントのための特別メニューが並び、会場を訪れた村の方々からは「おいしい!」との声が。イベント終了後は、すぐに2回目の開催を待ち望む声が寄せられるほどの大反響を呼びました。

第1回のイベントは終了しましたが、道の駅白川郷にあるお食事処水屋(みんじゃ)さんでは、結旨豚のチャーシューを使ったラーメンや炊き込みご飯が提供されています。合掌造りのお食事処 結の郷さんでは、結旨豚を使った串焼きなど、村の様々な場所で、こだわりいっぱいの結旨豚を楽しむことができます。

今後は白川に来た人に満足して貰うことはもちろん、白川村から結旨豚の美味しさを発信して知名度を高め、より多くの人に食べてもらえる「おいしい豚づくり」を行っていくそうです!

今回この取材が実現したのは、白川村で行われている”ふるさとワーキングホリデー”の魅力を伝える記事を作成したご縁からです!

ふるさとワーキングホリデーとは、一定期間地域に滞在してお仕事をさせていただく制度のこと。

今回お話を伺う中で、白川村には「食が豊かであるとは言えない環境」という地域課題から「畜産の誘致」を行うまでの一連の取り組みが見えてきました。これにより単に畜産を行う企業を誘致したという事実だけでなく、なぜ畜産の誘致を行ったのか、どうして畜産だったのか、というバックグラウンドまで深く知ることができました。

これは、実際に現地で携わっている方々のお話を聞くことができたからこそ!

ふるさとワーキングホリデーでは、現地の方々との交流を大切にしながら、お仕事をしたり休日を楽しんだりできるので、地域のことを深く理解することに繋がると思います。

ふるさとワーキングホリデーの受け入れ先は白川村のように、地域の魅力を存分に体験できるところばかりです!

皆さんもそんな魅力溢れるまちで、充実したワーキングとホリデーを過ごしてみませんか?

申込・詳細

※時期によって受け入れの可否や内容が変わるため、上記サイトより最新の情報をご確認ください。


➤この農家・漁師のプロフィールを見る