東京に住む私が「食べる」について本気で考えてみたら、それはサザエさんの風景だった。

in 特集/食べタイ編集部員が「食べる」に本気で向き合ってみた
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 いつも「食べる」ことを当たり前に行っているが、その食材や料理が口に届くまでのストーリーに想いを馳せてみるとどんな世界が広がっているのか想像しづらい。この問いに対して、食べタイ編集部員がそれぞれの切り口で「食べる」について本気で向き合った連載をお届けする。                 



編集部員2年目のなつこです。今回のテーマは自分の「食べる」に向き合うこと。今回の特集が決まったとき、正直私は焦りました。なぜなら私の住む東京の真ん中には作物を育てるための畑どころかおそらく空き地も少ない…。「食材」のつくり手の顔の見えないことが当たり前だった私が、「食べる」に向き合った時に浮かんだのは、食材を調理し美味しくて幸せな気持ちにさせてくれた祖母の手料理でした。
              聞き手:岩田なつこ(食べタイ編集部/明治大学)

私にとっての「食べる」の始まり


 私にとって、「食事」のつくり手という意味で真っ先に思い浮かぶのは祖母。祖母の手作りのコロッケやおでんは忘れられない味です。生産現場や農家を知らなかった幼い私にとっては、食事の作り手である祖母こそが「食べ物のつくり手」であったと言ってもいいかもしれません。しかし、実際はもちろん祖母も生産者という本来の作り手から、ある人を経由して食材を入手していたことに気づきました。

足が悪い祖母に代わり食材を届けてくれた「三河屋」さん


 足が悪い祖母に代わり、いつも自宅まで食材を届けてくれたのが三河屋さんでした。

 「三河屋(みかわや)は、商号及び屋号の一つ、または、酒類味噌醤油など醸造された食品、及び関連する商品を販売する小売店(一般に酒屋と呼ばれる小売業態の規模の大きめな店)の俗称として用いられる場合が多い。」-Wikipwdea

三河屋といえば、サザエさんの家まで注文を取りに来て、時には磯野家の人々と会話を楽しむサブちゃんを連想される方も多いはず。現在はあまり身近ではありませんが、昭和時代には顧客の家まで注文を取りに行くこの「御用聞き」の制度が主流でした。昭和生まれの祖母にとって、お酒や牛乳など食生活に欠かせないものを届けてくれる三河屋さんはなくてはならない存在だったのです。

三河屋さんの今


 しかし、三河屋さんにも現代化の波が押し寄せます。酒類販売の免許がスーパーやコンビニに認められ、どこでも簡単にお酒が手に入るようになると、酒屋として御用聞きに伺う新規顧客を見つけることが難しくなっていきました。そんな中、祖母が利用していた三河屋さんは酒屋から「酒屋を併設したレストラン」としてリニューアル。名前は「みかわや」。三代目オーナーである小宮さんの、酒屋としても残していきたいという気持ちから、この新しいお店が誕生しました。レストランで提供するお料理の7、8割に有機野菜や無農薬野菜を使用し、目利きの食材を安心して食べられることを大切にしています。


自分が食べ、飲み比べて美味しいと感じたものをお客さん=消費者へ


「自分で食べて『いい』と思ったもの、飲んでみて『この料理に合う』と思ったものを売る。本当の商売ってそういうこと」という小宮さん。その言葉通り、販売するお酒は酒屋時代から取り扱っていたものに加え、ほとんどが小宮さん自身が飲み比べて美味しいと感じたものです。オーガニックワインと、農薬を使用したワインは全く味が異なっているそうです。さらに日本酒においては、純米酒か醸造アルコールを使用したものかも、舌で判別できるそうです。

オーガニックのワインやコラボラベルの日本酒など数多くのお酒が並ぶ。


生活の中で1番削りやすいのは食費、適当になってしまいがちなのも食事。だけど、、


 「食べることをおろそかにしてしまう背景があると思うけど、手軽さや便利さを率先してしまって大丈夫?」と、小宮さんは私に問いかけました。
 小宮さんは、三河屋さんを継ぐ以前、自然食品店で働いた経験や子育てを通じ、安心して食べられるものを意識し始めるようになりました。そこで、何かに追われて「食べる」ことが手抜きになってしまう人が、手軽にいいものを食べてそれを続けられるようにしたいと考えたそうです。
 「安全・安心は大事だけど、高いとやっぱり敬遠してしまう」そこで、手軽に続けられることを重視し、リーズナブルな値段で提供することで、みかわやが折衷案のような存在になれればと考えていらっしゃいます。

とある日のディナーメニュー


気づかないうちに、つくり手の想いを受け取っていた


 私の「食べる」の始まりである祖母の料理には、美味しく食べてほしいという祖母の気持ちだけでなく、みかわやさんの「食べる」ことを大切にしてほしいという気持ちも詰まっていました。

 現在のレストラン「みかわや」でいただくお料理には、食事のつくり手である小宮さんの想いが込められています。さらに、材料の無農薬野菜の作り手である農家さんや、無添加食品の作り手、数えきれないつくり手の考えや気持ちがたった一食に凝縮されているのです。
 そのつくり手たちの想いを「食べる」という形で私は受け取ってきたようです。


「食べる」行為からつくり手・担い手のことを想像してみる


 毎日何気なく食卓に並ぶ食事に使われる野菜は誰が育て収穫したのだろう、レストランでとる食事は誰がどんな想いを込めて調理したのだろう。

 食事に関わるつくり手に想いを馳せてみると、いつもの食事のことをもっと知りたくなります。

 次にあなたの前に出てくる食事のストーリー、気になりませんか?



 今回取材させていただいた、みかわや 有限会社みかわや小宮商店様の情報はこちら!
 https://www.facebook.com/mikawayakomiya


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