いつも「食べる」ことを当たり前に行っているが、その食材や料理が口に届くまでのストーリーに想いを馳せてみるとどんな世界が広がっているのか想像しづらい。この問いに対して、食べタイ編集部員がそれぞれの切り口で「食べる」について本気で向き合った連載をお届けする。
書き手:岩崎なつみ(食べタイムス編集部/早稲田大学)
実家から学生寮に引っ越す前、「食べる」ことが大好きな私が1番不安だったこと、それは「寮食」でした。寮食ってどんな物を食べるの?美味しくなかったら?
そんな疑問でいっぱいの私に伝えたい、大丈夫、美味しいよ!!美味しい食事を作ってくれる寮母さんに寮生への思いを伺いました。学生寮に住んで4ヶ月経過した私が、「寮食」のリアルをお伝えします!!
女子寮ならでは栄養満点の美腸ごはん
私の寮では栄養管理士が考案したメニューを、寮母さんとパートさんが一食一食手作りしてくれます。だから栄養満点、しかも温かい、手作りのご飯を食べることができます。また、私の寮は女子寮なので健康に加えて、美容を意識したメニューが多くあるんです!例えば、朝食のスムージーやフルーツ、サラダバーなど。女子大生に嬉しい栄養がしっかり取れます。
では、朝食と夕食を写真付きで詳しく紹介していきます!
【朝食】
食堂が空いている時間は6:30-8:30で、寮生は6:30-8:00の間に食堂に入ります。8時までって大学生にとっては早過ぎですよね、、。寮に引っ越してきたばかりの頃は8時までに中々起きることができず、朝ごはん抜きなんてこともしばしばありました。現在では、しっかり6時台には食堂に入ることができています!
朝食のメニューは、このような感じです。
- 主食
- 主菜
- 副菜
- 汁物
- ヨーグルト
- フルーツ
- ドリンク
- スムージー
主食
パンかご飯かを選べます。学生の中には両方食べる学生も…!ご飯にはふりかけや梅干し、香物が、パンにはイチゴやブルーベリージャムが用意されています。パンやご飯はセルフサービスでお代わり自由。体調や気分によって、好きな物、好きな量を選べるのが嬉しいところです!
たまにサンドイッチやホットケーキ、うどんの日があります。最初は朝からうどん?と思いましたが、朝にうどんを食べることで、体が温まってエネルギーもしっかり補給できます。うどんは人気メニューだそう!これらの日にはご飯はありません。
主菜
目玉焼きや魚の干物焼き、肉じゃがなど日替わりです。一人一皿食べることができます。
副菜
以前はサラダバーでしたが、現在は感染症対策のため盛り付けられています。平日はサニーレタスとパプリカのサラダ、土曜日はごぼうサラダや春雨サラダなどなど。ドレッシングはフレンチやシーザー、和風など一通り揃っており、好みで変えることができます。朝からしっかり野菜を取れるなんて贅沢です…!
汁物
普段は野菜たっぷりのお味噌汁です。サンドイッチなどパンがメインの日にはコンソメスープやコーンスープになります。汁物も主食と同じくセルフサービスでお代わり自由です。保温の容器に入っているので、いつも温かい汁物がいただけます。
ヨーグルト
日替わりのトッピングができます。グラノーラや蜂蜜、キウイソースなど。私は以前、ヨーグルトが苦手だったのですが、寮ではトッピングできるので、毎朝美味しく食べています!
フルーツ
キウイフルーツやオレンジ、バナナなど。美肌に欠かせないビタミンをしっかり補給できます。
ドリンク
牛乳、豆乳、野菜ジュース、りんごジュース、オレンジジュース、紅茶のうち4種類ほどが日替わりで用意されており、好みで飲むことができます。私は毎朝豆乳です。
スムージー
寮の最大の特徴といえるのが、このスムージーです。にんじんスムージーやグリーンスムージー、バナナスムージーのうち一種類を日替わりで飲むことができます。豊富な栄養と、食物繊維、酵素が腸を活発にしてくれます。
ある日の朝ごはんを紹介します。

この日は、和風ロールキャベツ。ヨーグルトの上に蜂蜜をトッピング、スムージーは人参スムージーです。ナタデココのデザートで朝からテンションが上がりました!

この日は和風カレーポトフ。スムージーは、バナナスムージーでした。起きたばかりの胃には、カレー味がちょっと重たかったです。

この日はお魚の日でした。スムージーはグリーンスムージーです。外食では中々お魚を食べないので、こうしてお魚の日があるのは嬉しいです。お魚が好きでない人も多いので、寮母さんはスクランブルエッグのプレートも用意していますが、私は必ずお魚を選びます。
【夕食】
夕食の時間は18:30-22:30です。学生は22:00までに食堂に入ります。サークルやバイトで遅くなってしまっても、夕食を食べることができます。
夕食も朝食と同じく、主食と汁物はセルフサービスでお代わり自由。それから主菜と副菜、デザートがついてしっかり食べることができます。朝食と違って、夕食では白米が週に一度雑穀米や玄米に変更され、高い栄養素が摂取できます。また、デザートはフルーツの他に、杏仁豆腐、プリンの日もあり、学生の楽しみになっています!
ある日の夕食を紹介します。

この日は鶏肉の照り焼きとほたて風味サラダです。照り焼きは柔らかくてとっても美味しかったです!!デザートはフルーチェでした。

この日はハッシュドビーフ煮込み、シーフードマリネです。ご飯はコンソメライスでした。ハッシュドビーフはお肉たっぷりでした!サラダはえびやイカがたくさん入っていて、海鮮好きの私にはたまりません。

この日は年に一度のクリスマスメニュー。ローストチキンと、イタリアンサラダ、サフランライス、そしてデザートはケーキでした!!ご飯ジャーを開けた時に、ご飯に色が付いてるだけでなんだかウキウキしました。笑
このように、寮のご飯は、主食、主菜、副菜、が揃っており、毎食野菜がたっぷり取れて栄養満点です。そして朝ご飯では、スムージーとヨーグルトが腸を活発にしてくれる、まさに美腸ごはん!加えて、ご飯と汁物の量、パンかご飯、ドリンクの種類などを、自由に選べるのが魅力的ですよね。メニューも豊富なので飽きが来ずに、毎日美味しく頂いています。
「食べる=生きている証」寮食に込める寮母さんの思い
毎朝、毎晩、栄養満点の美味しいご飯を手作りしてくれているのが、寮母さんです。寮母さんは、いつも元気で明るい方。学生一人一人の体調を気遣い、食堂や廊下で出会うと声をかけてくださいます。
寮母さんは、どんな思いで寮生のために食事を作ってくれているのか、毎朝顔を合わせている私も知らなかったこと、寮生への思いを伺いました。
前職は精神科の訪問看護をされていた寮母さん。転職のきっかけは旦那さんの退職でした。旦那さんの希望により夫婦で寮長、寮母になって今年で2年目。「本当は、寮母になりたくなかった。食べることは好きだけど、料理が好きじゃない。決め手は娘の近くに住めることだった」と当時を振り返ります。
「料理に加えて不安だったのは、パートさんに指示しなければならないこと」と続ける寮母さん。寮食で大切なのは、時間に遅れないこと。大学の授業が1限からある場合、寮生は6:30に食事を食べ始めないと間に合いません。だから、寮母さんはパートさんとうまく連携を取って、寮食を作ることが求められます。一緒に食堂で働くパートさんは、寮母さんがこの寮に来る以前から働かれていた、ベテランの方達。新人なのに、ベテランの方に指示をする立場になったことが最初は不安だったといいます。だからこそ、楽しく働くことを心がけているという寮母さん。現在の食堂はいつも和気あいあいとしています。
寮母さんの朝はとても早いです。寮生の朝食を作るために、毎朝5時から食堂に入らなければなりません。また、パートさんもいらっしゃいますが、火を使うのは寮母さんだけなので、休むことができません。「やりがいは、寮生のみなさんが食べる姿を見ること。若い時の食生活は将来の健康のために大切。歳をとってから影響がきます。それに、人間は食べられなくなったら死んでしまう。食べることは生きている証なんです」と寮母さんはいいます。精神科の訪問看護の前は、病院で看護師をされていた寮母さん。だからこそ、食べることの大切さを身をもって知っています。
けれども、食べることを無理に勧めることはしないそうです。「食べないといけないと思うと、食事が苦痛になってしまう。食べることは大切だからこそ、食べられるものを食べてくれれば良い。だから、嫌な時は食べなくて良いよと言っている」という寮母さん。寮生のことを思っているからこそ、無理に食事を勧めるのではなく、本人の意思を尊重しています。
また、食事の時間は安否確認の時間でもあるといいます。寮生が食堂に入ってきた時の表情や声の出方、食事の様子などを観察し、寮生の体調を把握するそう。
寮には、元気いっぱいの1年生から、落ち着いた4年生まで、様々な学生がいます。現在はコロナの影響で少ないですが、例年は留学生も多くいます。そんな多様性あふれる寮生たちの成長を近くで見れるのは面白いそう。「親ではないけど、縁あって一緒に暮らしている。元気に青春を楽しんで欲しい」と笑顔で話してくださいました。
料理は思いを媒介する
今回は寮食のリアルをお伝えしました。
実家で母が「今日の夜ご飯何がいいー?」って聞いてくれるのがちょっと懐かしく、羨ましく思うこともあるけど、寮母さんに見守られて寮生のみんなと食べるご飯もまた良いものです。
寮食には、栄養だけでなく、寮生の元気を願う寮母さんの愛情が、たっぷり込もっていましたね。栄養満点・愛情満点の寮食が、寮生の体と心の元気の源になっているなと日々感じています。
寮母さんのお話を聞いて、「食べる」ことは栄養を摂取するだけではなく、作り手の思いを頂くことができる、料理は思いを媒介する役割を持つ、ということに気付きました。そして、その作り手の思いというのは、知らないと味わうことができません。
これから「食べる」時は、作り手がどんな思いを込めて作っているのか、考えよう!聞いてみよう!と思いました。料理が好き、盛り付けをきれいにしたい、食べた人を笑顔にしたい、元気でいて欲しい、作り手一人一人に違う思いがあると思います。
あなたが当たり前に食べている物にはどんな思いが込められていますか? 作り手に思い切って聞いてみたり、あなたが込めた思いを発信してみたりすると、料理がさらに美味しくなるかもしれません。
食べるタイムスでは取材活動を筆頭に現場に触れる機会が数多くあります。
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