【前編】誰もが主役!地域一体で安心して農業を始めるなら山口県阿武町へ〜福の里ってどんなところ?〜

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この記事の書き手

 海と山の豊かな自然環境で漁業・農業が行われる阿武町は、山口県の北部、日本海に面し、内陸部では積雪がありますが年中温暖な気候です。町全体で農林水産業の振興に力を入れており、温かい人柄の地域の方たちが新規就農者に丁寧なサポートを行っています。

 この阿武町の内陸部で水稲、大豆、薬草の栽培・加工・販売を通して地域を盛り上げているのが、農事組合法人福の里。地域一体となって農業を行う福の里は、誰もが心地よく働ける場所でした。

 組合員の方々

〈書き手〉
岩崎なつみ(いわさき・なつみ)
早稲田大学人間科学部1年。広島県出身。両親が山口県出身で、自身も山口県生まれ。山口県にはよく訪れるが、山口県について柑橘と外郎が有名なことしか知らず、生まれた地のことを全然知らないなんて恥ずかしい!と思い参加。

地域一体の農業

 農事組合法人福の里(以下、「福の里」)は山口県の北東にある阿武町福賀地区で、4つある法人の1つとして2003年に5つの集落が農地を集約し創設されました。また、現在では7集落に増え、経営面積は115haにものぼります。101haを使って水稲を、14haを転作畑として大豆などを栽培しています。なんと、この経営面積はディズニーランドとディズニーシーを合わせた大きさに匹敵するとのこと 。

 福の里は、 約130戸の農家が集まり農事組合法人を設立し農地の集約を行い農地管理をしています。115haと広大な農地のため手入れが大変そうに思いますが、実際は隅々まで手入れが行き届いています。広い農地がきれいに保たれているのは、地域住民が協力して、草刈りなどの圃場管理を行っているからです。

手入れの行き届いた農地。

 福賀地区では、スイカや梨など特産の農産物を利用した、南水まつり、スイカまつりなど一年を通して様々なイベントが行われます。イベントを行うのは、農村部と都市部、生産者と消費者とのつながりを大切にしているから。昔から受け継がれるつながりの中で、福の里の地域一体の農業が行われています。

整備された環境で安心のサポート

 山に囲まれた福賀地区には、周囲にコンビニや飲食店がありません。このような環境下では手作業や不便な設備を想像されるかもしれませんが、福の里では機械の導入や施設の整備が積極的に進められています。

 例えば、重たい米を運ぶ力仕事が機械を使用することで効率よく行われています。また、整備されたトイレなど整った施設の中で気持ち良く働くことができます。

 整備されたトイレ

 農地を出資した住民が組合員となり、福の里の活動に携わります。組合員は現在130名。このうち実際に農作業に携わっている方は、約50名。トラクターなど大型の農機オペレーターは10名。年々高齢化しているため、近年は若い人材を求め2名の従業員を雇用しました。1人は、故郷を離れ働いていた20代、もう1人は、東京での就農フェアで出会った30代の方です。新規就農者と地域住民が、出身地に関係なく同じ方向を向いて働いています。

 このように、新規就農者と地域住民が同じ方向を向いて働くことができるのは、なぜでしょうか。

 その秘訣は、新規就農者に対する手厚い教育。農業を一から始める新規就農者に対して、終始和やかな雰囲気の中で優しく丁寧なサポートが行われています。

左の白いヘルメットを被っている方が新規就農者で、右の青い帽子の方が組合員。組合員が手厚く教育しています。

課題も、地域と一緒に解決する

 ここまで見てきたように、福の里では地域のつながりが大切にされ、新規就農者が安心して働ける環境づくりが行われています。しかし、その一方で地域住民の高齢化が進み、これまで支えていた地域の組合員だけでは、支えきれなくなっています。担い手不足は、喫緊の問題です。

 そこで、この問題を解消するために福の里では地域を盛り上げる活動が積極的に行われています。多くの活動がありますが、ここでは2つ紹介します。

 1つ目が社会福祉法人E.G.Fと連携した取り組みです。

 隣町に所在する社会福祉法人E.G.Fは、農業と連携して新たな事業を行うために、福賀にやってきました。 連携内容は、福の里が働く場を提供し、障がい者の方に草刈りや田植え 補助をしてもらうことで、障がい者の方の自信や生きがいに繋がるというものです。同じ地域の法人と連携をとることで、地域内のつながりの輪ができます。このような活動を繰り返すことで、地域のつながりの輪が広がっていき、福賀地区に関わる全ての人が安心できる場所となるのでしょう。

 2つ目が、女性部による直売所の運営です。

 福の里には5つの部があります。このうち、直売所を運営しているのが女性部です。女性の活躍の場を提供するという目的のもとで、福の里の構成員である女性が活動しています。活動内容は、花壇の手入れや、直売所で販売するあん餅やかきもちなどの加工品作り、直売所での販売など。 

 直売所では、地域野菜や新鮮な魚介類、そして法人で栽培した作物や地域の素材を原料とした加工品が数多く売られています。営業日にはその新鮮な梨やトマト、お米、そして魚や鶏肉、加えて美味しいお菓子を目当てに多くの地域住民が集まります。

 この福の里直売所は単なる販売所ではなく、地域の人たちの交流の場となっているのです。

 直売所の様子

誰もが主役の職場環境

 農業者が生産・加工・販売まで行うことを6次産業化と呼びます。6次産業化に取り組む福の里の広範囲に及ぶ経営は、総務部、生産管理部、生産労務部、機会部、女性部の5つの部によって運営されています。
 部が違えば、仕事が異なるのはもちろんのこと、同じ部でも季節によって仕事内容は様々です。農業が初めての方でも、自分に適した働き方を見つけることができるのではないでしょうか。

 雄大な農地や深い緑に囲まれた自然いっぱいの環境の中で、季節や天気とともに働く福の里。整った働く環境と手厚いサポートのある中、地域のつながりを大切にして地域を盛り上げるここでは、誰もが主役です。魅力いっぱいの福の里に興味を持った方は、ぜひ山口県阿武町へ訪れてみてはいかがでしょうか。

 前編では、福の里がどのような組織で、そして地域のためにどんな活動をしているのかということについて紹介しました。
 後編では、さらに働き方、働いている方の様子や雰囲気について、実際に研修に行った学生の目線を交えながらお届けします。

農事組合法人福の里の採用情報、お問い合わせはこちらから。
https://ja-jp.facebook.com/happynosato/


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