【後編】誰もが主役!地域一体で安心して農業を始めるなら山口県阿武町へ~「福の里」での働き方~

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 山口県阿武町にある農事組合法人福の里(以下、「福の里」)。前編では、福の里がどのような組織で、そして地域のためにどんな活動をしているのかということについて紹介しました。

 後編では福の里での実際の働き方・働いている方の様子や雰囲気について、「山口県法人魅力発掘」をテーマに9月9日から11日の3日間研修をした山口大学の学生2人から話を聞きました。「すごく健全な職場環境で、福の里がこの先もなくならないでほしい」と語る2人が、体験したのはどんな職場なのか。福の里ののんびりとした空気感とそこで働く魅力的な人たちについてお届けします。

左から柳沢さん、加藤さん

<体験に参加した山口大学の学生>
柳沢紬(やなぎさわ・つむぐ)
山口大学大学院創成科学研究科1年。大きな農業法人に3日間研修できるということで、以前から興味のあった法人の経営方針や実態を詳しく知ることができるのではないかと思い、この研修に参加しました。

加藤証(かとう・あかし)
山口大学農学部3年。農家出身ではないため、農業を経営するということが経験的によくわかりませんでした。実際に働くことで少しでも農業がどのようなものかを知りたかったので、この研修に参加しました。

<書き手>
鶴田鈴(つるた・りん)
早稲田大学文化構想学部1年。兵庫県出身で山口県はそう遠くないけれど、今回福の里についてお話を聞く前は、どんな県なのかほとんど知りませんでした。農業に限らず山口県について知りたい!という思いでこのプロジェクトに参加しました。

やってみたら「意外ときつくない」

 研修が行われたのは9月初旬、福の里では米の収穫期です。収穫や出荷作業が行われる繁忙期ですが、丸一日作業を体験した日の作業開始は朝8時で、終了は17時。実際に働いている方々の就業時間も朝8時から18時ごろまでで、残業はほとんどありません。

 二人が作業の中で感じたことは「意外と体力的にきつくない」ということ。農作業は体力勝負なイメージがありますが、福の里は機械化が進んでいます。収穫時はコンバインを使い、籾を乾燥するときには乾燥機を用います。袋詰め作業においても袋を持ち上げる機械があり、それによって作業が大分楽になっているとのことです。

袋詰め作業で用いる袋を持ち上げる機械

 福の里には機械部という部署があり、従業員の市原晃紀(いちはら・こうき)さんは栽培管理だけでなく機械整備でも活躍しています。
 市原さんは副組合長のご子息。阿武町で育ち、業高校を卒業したあとに一度阿武町を出て広島県や山形県で電気工事の仕事をしていましたが、三年前にUターン。福の里に就職しました。

 「毎朝農作業に入る前に行うコンバインなどの機械整備は、前職での技術を活かすことができ面白い」と、楽しく働く様子を語ってくださいました。

稲刈りで用いるコンバイン

 福の里は生産から加工、直売所での販売まで行っている大きな組織。そのため生産管理から経理や事務、加工の担当まで様々な役割があり、自分の得意な分野で働くことができるのです。

 二人が作業をしている時に最も印象的であったことは、組合長の市河憲良(いちかわ・のりよし)さんが新規就農者の楠和之(くすのき・かずゆき) さんにずっとついて教えていたということでした。

 楠さんは以前東京でサラリーマンをしていましたが、東京で開催された就農フェアでの副組合長の市原旭(いちはら・あきら)さんとの出会いをきっかけに、就農することを決意。農業に関しては全くの初心者であったため、山口県内にある農業大学校に通い、研修を経て今年福の里に就職されました。
 入社してまだ日が浅い楠さんですが、周りの組合員の方々の中に違和感なく溶け込み、若手として頼りにされているそうです。

 阿武町をはじめ、福の里では高齢化が進んでいるため、若手の力を必要としています。
 組合員の方々は、20年後、30年後も福の里を存続させたい、そしてそのことを通して地域を盛り上げたいというとても強い思いを持っています。

 そのため新しい人材が入ってくることをとても歓迎しており、今回の研修の際も、副組合長自ら資料を作成して福の里の概要を分かりやすく説明するなどの工夫がされていました。

 作業中も組合員の方々がずっと気にかけてくれ、とても作業しやすい雰囲気だったそう。新人を受け入れ、育成する環境がきちんと整っているということは、働く場所としてとても重要なことだと思います。

資料を用いて福の里の説明をする副組合長の市原旭(いちはら・あきら)さん(右側)

定休はなし、雨が降ったら休み

 研修の3日間の内、2日目は稲刈り、乾燥、袋詰めと忙しく作業がされていましたが、3日目は雨となったため稲刈りの作業は中止。そのため出勤する人の数も少なく、のんびりと袋詰めをする1日となりました。

 福の里ではその日の天気や田んぼの状況に合わせて作業が決まります。休みも固定されておらず、「雨が降ったら休み」となります。

従業員の市原晃紀(いちはら・こうき)さん(右側)のお話を聞く2人

 天気によって決まるというのは不安定な側面もありますが、市原晃紀さんによると、時間や曜日に左右されずに働けるという新鮮な面もあるそうです。お昼には自分の家に昼寝をしに帰る組合員さんもいます。また、休みたい時には申し出れば休みを取ることができます。

 福の里は農家が集まってできた集合体であり、福の里ができる以前から福賀地域に染みついていた「お互いさま」という感覚が形となったものである、と話します。

 農業は一人ではできません。忙しい時期などは近所から人手を借り、そして近所が忙しいときは手伝いに出向く。お互いが助け合ってやってきた地域であるからこそ、このように働くことができるのでしょう。

不思議な魅力を感じる町

 福の里がある阿武町は一面に田んぼがあり、山に囲まれ、昔ながらの日本の風景が残されている美しい場所です。

 地域内での交流がとても盛んで、お祭りなどのイベントが盛りだくさん。阿武町で育った市原さんは、そういったイベントがとても楽しいとおっしゃっていました。福の里でも、定植や移植などの仕事で区切りがついた時にはみんなで集まって飲み会をしたりするそう。お話を聞いているだけで、和気あいあいとした光景が浮かんできます。

 自然が豊かな反面、周りにお店はほとんどなく、スーパーに行くのに車で30分程走らなければなりません。生活する上で不便なことも多いと思います。

 しかし柳沢さん、加藤さんは「周りにお店がないということで不便な思いもしたけれど、珍しいくらい本当にのどかで、不思議な魅力を感じる。実際に来てみてこの自然を体感してみてほしい」と話します。

 生活するうえで、何を重要視するかは人それぞれ違います。阿武町がどのような町だと感じるかは、行ってみないと分からないことかもしれません。

福の里管理圃場の様子

 柳沢さん、加藤さんは何度も「とにかく人が優しい」ということを強調していました。親切で個性的な方ばかりで、さらに新人への教育が行き届いており、本当に良い職場であるとのことです。

 そして作業をしていて、袋詰めのスピードが早くなったり、組合員の方と共にスムーズに作業ができるようになったりするなどの成果が目に見えることに魅力を感じていました。実際に従業員の市原さんも楠さんも、一番やりがいを感じるのは自分が作った作物を収穫する時だそう。

 作物の生長とともに仕事の成果を目で見て感じ感じることができるのは農業の魅力の一つですが、福の里ではさらにその作物の加工、販売にまで携わることができるというもう1つの魅力があります。

直売所

 福の里は農地を守るために設立された当初から、福祉法人との連携、酒米作りや直売所の設立などを通して積極的に様々な人たちと繋がりながらその影響力を広げ、地域を盛り上げてきました。そのため、地域のためにも福の里を失くしたくないという組合員の方々の強い思いがあり、農業だけでなく様々な分野の人材を求めています。

 “誰もが主役”が福の里のキャッチコピーです。

 農業をしてみたい方はもちろん、のんびりとした場所で仕事をしたい方、地域を盛り上げる一員となりたい方など、どんな目的を持った方でも受け入れてくれる職場です。ぜひ一度福の里を訪れてみてはいかがでしょうか。

農事組合法人福の里の採用情報、お問い合わせはこちらから。
https://ja-jp.facebook.com/happynosato/


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