「宇宙」と対峙する若手農家の描く未来

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私たち日本食べるタイムスは全国各地の生産者の皆さんに、たくさんお世話になってきました。しかし、私たちの知り合いの生産者さんの中にも新型コロナウイルス感染拡大により影響を受けている方が、少なからずいらっしゃいます。「今、生産者の皆さんの身に何が起きているのだろう?」編集部員がコロナ禍の農林業のリアルに迫ります。

今回取材させていただいたのは山形県米沢市の若手農家、岡義将さん。
2019年に米沢市に移住し農業を始めた岡さんは、蕎麦をメインにジャガイモや小麦などを自然栽培されています。

農業に向き合った1年を過ごし、そして世の中が大きく変わろうとしている今、どんなことを思っているのでしょうか。

聞き手:中村謙吾(食べタイ編集部/山形大学人文社会科学部4年)
樽本理子(食べタイ編集部/早稲田大学政治経済学部4年)

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移住・就農までの歩み

実家は農家ではないという岡さん。

大学卒業までずっと富士見市にある実家で過ごし、帝京大医療技術学部スポーツ医療学科に進学。体育の先生やアスレチックトレーナーを目指す学生が多い環境でした。

そんな環境で育ってきた岡さんが大学卒業後の最初のキャリアとして選んだのは農家。

岡さんがなぜ農業をするに至ったのか、そのバックグラウンドをお聞きしました。

米沢に来たきっかけ

大学在学中に二泊三日ゼミ合宿で、米沢に行くことに。

「畑は宇宙だ!」

そんなことを言っている農家さんがいると、友人づてで聞いたそうです。
畑が宇宙?当時、学生だった岡さんには理解不能。

当時は農業に関心がなかった岡さんも、
そんな言葉を使う農家さんに惹かれていきます。

実際にその農家さん会ってみたいという想いが募り、
合宿後に米沢に来訪。

1週間手伝わせてくださいとお願いしに行ったのです。
そうして、現在では岡さんの師匠となる農家さん“千葉さん”と出会いました。

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岡さん(右)と師匠の千葉さん(左)

千葉さんは、全国や中国で講演したり、書道をしてたり。
日本一高い乾麺のそばを売っているそう。

当時、なぜあの発言をしたのかを問うたところ、

「畑はすべての生命の始まり。女性の子宮のような働きをしているから。」
と真相を語ってくれました。

女性が子供を産むのと同じように、畑は野菜を産んでいるのです。
農家さんにとって野菜は子供のような存在だそうです。

その後も岡さんは15回以上通って、
どんどん米沢と農業にはまって行きました。

だから、就活もするつもりはなかったそうです。
同期で農家志望は彼一人だけ。

「もし米沢で千葉さんに出会ってなかったら、就活してサラリーマンになってたはず。
就職って結局、先輩のやり方を見て、社長の考えを聞いて、自分に取り込んで成長していく。だったら結局人についていけば自分は成長できるんじゃないか。」

その考えに行き着いた時、岡さんには千葉さんと言う大きな背中があったのです。当時、農業をやりたいと言うより千葉さんから勉強したい気持ちがとても強かったのです。

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今まで大変だったことは?

「大変だったことはない。」

おじいちゃんおばあちゃんから信頼してもらえるような工夫をしてきたから
今までにやりづらいと感じたり、大変だったことは一度もなかったそうです。

「東京にはもう戻りたくない!のんびり自由に生きてるし、田舎の方が自分が生き生きしてる!」
ものすごくキラキラな笑顔でそう語ってくれました。

コロナの影響について

コロナの影響はほとんど受けていません。
だからこそ、農業って本当に強いと実感したそうです。

消費者と繋がるイベントは確かにできなくなってしまったけれど、
岡さんが困っていることは、ほとんどないそう。

飲食店は仕事できなくなってしまったけど、農家は仕事を継続できる。

生きることを支えている農家だからこそ、地域とともに農業を営む農家だからこその強さなのかもしれません。

大切にしていることと今後について

嘘をつかないこと。

これが岡さんが一番大事にしていることです。

作物は自分の子供。

イベントの時に直接美味しいね〜って言われた時にすごく嬉しいし、
個人で販売しているから顔は見えなくてもどんな人に届いているのかわかる。

自分の子供を、愛情を、食べてくれる人に対して嘘は絶対につけない。

人とのつながりはお金よりもすごく大事で、
繋がりと信用は生きる上で何にも変えがたいものです。

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これから農業の形がどんどん変わっていってしまうかもしれないけど、
岡さんの姿や農業の方法を日本中の子供に知ってもらいたい。

そしていつかは海外で勝負できたり、
農業ではない違う夢中になれることも見つけたいと
教えてくださいました。

また岡さんが畑を持つ南原地区には昔、ホップ畑が広がっていたそうです。
そのホップ畑を再生させたいという思いも語っていただきました。

一面に広がるソバ畑

あとがき

今回のインタビューを通して、岡さんの生き方そのものに惹かれました。
周りに惑わされず、自分を貫き、やりたいことに素直で、社会からいい意味で離れて生きている。

タネをうえて、芽が出て出荷までの全てに感動して、自分が作ったものを食べて喜んでもらえる。誰かを必ず笑顔にすることができる農家さん、岡さんって本当に強いです。

一人一人の生き方が問い直される今。
力強く自分の生き方を貫く岡さんの姿をこれからも追っていきたいです。


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