【レポート】4年に1度のにんにくイベント にんにく南極観測隊~六本木・229昭和基地編~

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こんにちは、種子さんの右腕ミネです。
お久しぶりの投稿となりましたが、社会人になってもマイペースに活動を続けています。

2020年2月29日(土)食のショールームパルズ@六本木にて「4年に1度のにんにくイベント にんにく南極観測隊~六本木・229昭和基地編~」が開催されました。

 

青森県田子町でにんにくを育てている種子さんは、4年に1度訪れる2月29日に「229(にんにく)イベント」と題し、食べる人とつくる人が交じり合う会を開催しています。

今回は、同じく青森県出身で第57次南極地域観測隊の調理師として1年半任務を遂行した渡貫 淳子さんとのコラボレーションが実現。参加者は、にんにく南極観測隊の一員になったつもりで南極での生活や食事について話を伺い、綿貫さんお手製の種子にんにくメニューはもちろん、青森県産食材を使用した食事と美味しいお酒を楽しみました。

イベントの様子をダイジェストにお届けします。

 

―にんにくは、わき役で構わない

イベント終了後、種子隊長はボソッと呟きました。「にんにくはさ、やっぱり主役にはなれないんだよね。渡貫さんがいてくれて本当によかった。」しかし、私を含めた隊員の全員が思っていたはずです。「今日は、にんにくが主役だよ!」と。というのも、会場はビルの3階にもかかわらず入口付近から食欲そそるにんにくの香り。皆、導かれるように入ってきました。

種子隊長の乾杯のあいさつで宴がスタート。

今回のテーマは、「ミッドウィンターフェスティバル」です。

南極では、極夜の折り返し点である冬至の日前後に、越冬を祝うお祭りを開催します。仲間と共に南極での任務を成し遂げるため「絆」を確認しあう一大イベントでもあるようです。南極生活では、体調管理がとても大事!お酒の量も自分で決めて加減するのがルールのようですが、にんにく観測隊たちはいかに?

 

≪にんにく南極観測隊 ミッドウィンターフェスティバルのメニュー≫

・種子にんにくと青森県産長芋のフムス風ディップ

・すき昆布と寒干し大根・人参・油揚げの煮物

・敢えて冷凍させたにんにくでつくる絶品アホスープ

・牛ハラミ肉 源たれソース掛けーりんごのコンポートとにんにくスライス添え

・種子にんにくスプラウトのしゃぶしゃぶ鍋

・悪魔のおにぎり(黒にんにく/にんにくチップ)

・種子家のブルーベリーとりんごのチーズソース和え

 

―南極でのくらし

普段の講演では、約90分かけてお話されている内容を超コンパクトに渡貫さんよりお話いただきました。

日本から南極までは約14000キロメートル!南極観測隊は、オーストラリアまで飛行機で向かい、日本とオーストラリアで滞在期間分(越冬隊:約1年+α)の食糧を積み込み、南極観測船「しらせ」で約3週間かけて到着。最低気温、-45.3℃での昭和基地での生活がスタートします。

出発前は、もう1人の調理師「相方さん」と協力し、必要な食材洗い出しや計算、発注業務、積み込みに追われるそうです。

南極観測隊で調理師は2名体制。すでに過去に1度経験のあった「相方さん」とは、互いに干渉しすぎず良い関係を築けていたのだとか?(詳しくは、著書で)

ちなみに、観測隊は隊長1名、観測系12名、設営系17名で構成されており自分の専門外の仕事を手伝うこともしばしば。渡貫さん自身も、小屋建設や電力施設の施工をされたそうです。まさに、越冬を乗り切るために30人がワンチーム!もちろん30人もいればそれぞれの考えがあるのは当然のことで、ぶつかることもあるでしょうが、自分に向き合い他人を認めつつ営む生活がそこにはあるのだろうと私は感じました。

 

―南極で料理すること

食糧補給は、1年間全くありません。そして、南極生活ならではの制約の中で、隊員たちの心と体の栄養を保つのがミッションです。紹介されたメニューは、栄養バランスの取れたどれも美味しそうな料理ばかり。(素人には分からない献立の苦労があるのでしょうが…)普段、私たちが食べているものと遜色ありませんでした。曜日の感覚を失わないために、毎週金曜日のお昼はカレーなのだとか!これは海上自衛隊と同じ文化です。また、調理隊員には「ミッドウィンターフェスティバル」のようなハレの日のコース料理をつくれる適応力も必要とのことでした。

当イベントで振舞われた料理の一部

<南極生活で料理するポイント>

①食糧補給は「1年間一切ない」ことが前提である

②生野菜は「常に」不足している

③使用できる「水」の量は限られている

④ごみは「すべて」持ち帰る

⑤なるべく「排水」を出さない

 

―南極生活で生まれた「悪魔のおにぎり」

ポイント④にあるように、持ち帰るごみの量を減らすには出すごみの量を最小限に抑える工夫が必要です。渡貫さんは、夕食で残ったごはんに具材を混ぜてよくおにぎりにしていました。ある日のお昼は天ぷらうどん。残った天かすをアレンジすべく、天つゆをご飯に馴染ませ、天かすとあおさのりを混ぜて完成したおにぎりこそ例のもの!渡貫さんは、たぬきのおにぎりを作っているつもりだったそうですが、ある隊員が

「こんな時間(夜食)に、高カロリー。これ、悪魔っすね!」

と呟いたのがきっかけで隊員たちの間で「悪魔のおにぎり」という名称になったそうです(笑)

悪魔のおにぎり 黒にんにくバージョン
悪魔のおにぎり にんにくチップバージョン

今回は、種子にんにくバージョンの「悪魔のおにぎり」が登場!にんにく観測隊も、手がとまらず頬張っていました。

―南極生活を今に生かす にんにくでできること

最後に、南極に簡単に行くことができない私たちの日常について考えてみます。豊かな暮らしを送ることのできる日本。しかし、異常気象や自然災害、新型ウイルスの発生等とりまく環境は日々変化しています。食材を最後まで美味しく食べる工夫、ごみを減らす努力、エネルギーの節約など今すぐ取り組めることはあるはずです。にんにくという食材でみると、少し地味で影の立役者のような存在かもしれません。しかし、今回分かったことは知られていないポテンシャルがあるということ。

人工的に発芽させた種子にんにくスプラウト(非売品)は、アミノ酸、ミネラル、ビタミンなどが豊富で普通のにんにくより臭みがないように感じました。冷凍にんにくを使用したアホスープは、甘みが凝縮されホクホクとした食感が病みつきに。保存方法も様々で長期的に使用することが可能です。

<にんにくの保存法(例)>

①日陰で常温保存

②皮を剥いて冷凍保存

③オリーブオイルや醤油・塩につけて調味料

④少し手間をかけて熟成黒にんにく

<スプラウトを自宅でつくる方法>

冷蔵庫で保存しておくと、にんにくが発芽・発根し「食べれない!」なんて経験ありませんか?そこで捨ててしまわず一呼吸おいて・・・
根をペットボトルや脱脂綿に浸した水につけ、発芽発根をあえて促進させることでスプラウトができます!今回は、スプラウトをしゃぶしゃぶに入れてみました。

にんにくスプラウト

遠く離れた別世界だと思い込んでいた「南極大陸」

慌ただしい日常に追われ「自分たちには関係のない場所」と無意識に感じていても、視点を少し変え、アンテナを高く広げると、新たな発見や学びがあります。

「南極観測隊」「にんにく」

異色のコラボレーションが実現したことで、隊員たちの明日を変えるヒントになったことを祈ります。次回は、4年後の2月29日!新たな場所で会いましょう。

 

 

【当イベントに協力してくださったみなさん】

〇第57次南極観測隊 調理隊員 
渡貫淳子さん
某大手食品開発部所属。調理師。「エコール辻 東京」卒業後、同校の日本料理技術職員に。結婚・出産を経て、南極観測隊の調理隊員にチャレンジ。南極での活動中に考案された「悪魔のおにぎり」が大ヒット。女性では2人目、母親としては史上初の南極観測隊 調理隊員。  
著書:「南極ではたらく:かあちゃん、調理隊員になる」

〇イベントスペース
食のショールームパルズ 

〇映像&広報
合同会社Variable

文:ミネミキコ (noteでも紹介中)



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農家 青森県田子町