食べタイは、数多くの団体やゼミと連携していますが、その1つに慶應義塾大学 牛島利明研究会 「利賀プロジェクト」があります!
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今回はそんな「トガプロ」メンバーが食べタイに寄稿してくれた内容を、全2回にわたってお届けしたいと思います!
活気が無い、人の出入りが無い、とにかく何も無い……
過疎村や限界集落と聞いて皆さんが思い浮かべるイメージというのは、こんなものが多いのではないのでしょうか?
でもここ※1利賀村(富山県南砺市)では少し違うかもしれません。今回はそんなイメージを壊すような人物をご紹介したいと思います!
※1 富山市内から車で1時間、山々と川に囲まれた自然豊かな村。人口は約500人ながら、世界的演出家率いる劇団が拠点を置くなど「演劇の聖地」としても知られる”秘境”。

なんだか凄そうな人…!
人口500人の集落で一体何をして暮らしているのか、そしてどんな方なのでしょうか?
ということで今回は中西さんが利賀村で経営する民宿「中の屋」に行って来ました!ワクワク!
ライター:川﨑 嘉皓(かわさき かひろ)/慶應義塾大学

“総合力で勝負する” 『現代の百姓』って?

どうも!こんにちは!よく来たね、さあ上がって上がって!
こ、こんにちは!よろしくお願いします!
(なんか既にパワーが溢れ出ている…..)

いきなりですが、中西さんは普段は何をしてらっしゃるんですか?
うーん。色々あるけど、メインは「民宿・農業・どぶろく」かな。あとは東京(武蔵野市)の小学生をセカンドスクールとして受け入れたりもしてるよ。
色々やっているんですね。注力している割合で言うと、どれが多いのですか?
(全体を100とすると、)今は「民宿40:農業40:どぶろく20」ぐらい。でも私にとってはそれぞれを『分けて考える』こと自体がナンセンスやからね。

それぞれが関連し合っとる。
例えば、コメを作って売ったりもするけど、民宿の食事として出したりもする。民宿で泊まってから、どぶろくをお土産で買って帰るお客さんもおるし。
だからね、どれも一生懸命にやるし私としては“総合力”として考えているんだよ。
よく言うのは『百姓』ってことだよね。
確かに。一見別のものでも全部が繋がっているんですね!あれ、でも「百姓 =農業をやる人」のことですよね?
いや、百姓って言うのは『百(ひゃく)の姓(しょう)』。つまり、色々な仕事を担う人のこと。本来は農民だけを指す言葉ではないからね。

民宿「中の屋」のおもてなし①
「ここでしか味わえない食」
今経営している民宿の『中の屋』についても教えてください!
ひとことでいうと「体験型農家民宿」。
「ここでしか味わえない食」を提供すること、寝泊り以外でも「あらゆる体験」をしてもらうことが推しポイント。

宿の食事は地元(利賀村)の食材だけでなく、私が有機栽培で育てたものを使っているからとにかく新鮮で大好評!
だって、そこの畑で朝採れたものを食べれるんだからそりゃあ鮮度は一番じゃない?

あとは、(特定の食材や品種というよりは)ここ利賀村は地理的に川(庄川)の源流に位置するから水が澄んでいて、なんでもおいしく育つ。皆にもそういうここでしか味わえない食体験を楽しんでほしいね。
中の屋のおもてなし②
「要望に合わせた多様な体験」
体験のところも同じ。ここでしかできない体験をしていってほしいね。
「利賀村の伝統、地理条件」だったり、私が営む「農家やどぶろく製造」などを活かしながら、他ではできない体験を要望に合わせて考えているよ。
宿として泊まるだけじゃなく、遊べる(体験できる)っていいですね。例えば、どんなものがあるんですか?
たくさんあるね。例えば、山のトレッキング、流しそうめんや餅つきなど。田植えや稲刈りなどの農作業の体験もできる。
何か要望があれば、できるだけそれに合わせてやるようにしているよ。

海外ウケは抜群!でも英語対応はどうしてるんですか?
外国人のお客さんもいるんですか?
最近は3分の1くらいが国外からのお客様なの。
外国人は“THE 観光地”を見て回るよりも、「地元の生活者視点で滞在する」というスタイルが流行ってるみたい。
そういう人にとってはまさにうち(民宿「中の屋」)みたいな場所がとっても良いんだと思う。
山奥の農家に泊まれて、食も体験も充実しているからね。
おおっ!そうなんですね。一体どうやってこの民宿「中の屋」のことを知るんだろう….
うちはHPも持ってるし、ネットの代理店にもいくつか登録しているからそれで知ってくれる人が多い。最近だとAirBnBとか。
後はお客さんとFacebookで繋がって、投稿をシェアしてもらったりとか。口コミで輪が広がるように新しい技術もどんどん活用している。そういう成果もだんだんと出始めているね。

(山奥に住む77歳とは思えない….)
でも、言葉が通じなくて大変じゃないですか?
そんなのはスマホの翻訳アプリを使えば全然大丈夫。

あ、あとうちの母ちゃん(※奥さん)は英語が話せるから。連携プレーで対応はなんとかなるよ。
あっ、そうか。奥さんの「グレンダさん」はフィリピンの方でしたよね!
村の出身ではない奥さんとはどこで出会ったんですか?

まさか….民宿のお客さんとかですか….!?
それは……

本題に戻るとね、(技術の進歩も含め)どんどん良い時代になっている実感があるから、私も新しい取り組みにチャレンジしつつ、より良い「宿・食事・体験」などを通じて村を盛り上げたいね。
ここは「(過疎が進行した)限界集落」なんて言われているけれど、利賀村が面白いのはこれからだよ、と私は本気で思ってるんだよね。

過疎村というとなんとなく元気の無いイメージでしたが、実際に聞いてみるとそのイメージとはかけ離れていました。
素敵な民宿と地元の美味しいごちそう。そしてそれらを運営するエネルギー溢れる中西さん。
富山の秘境「利賀村」とそこで暮らす中西さんに少し興味が湧いてきたのではないでしょうか?
次回は、中西さんの作るどぶろく『まごたりん』の秘密に迫っていきます。
意外な由来、おいしさの秘訣だけでなく、中西さんが考える100年時代の生き方まで語りつくしていただきました。とにかく見どころがたくさんです!お楽しみに!
告知
~TOGAサマーフェスティバルのお誘い~

記事に登場した、中西さんが住む富山の秘境『利賀村』。
実は世界的な演劇団の鈴木忠志率いる劇団SCOTの拠点であり、「演劇の聖地」として知られています。
今年はロシアと共同開催のシアターオリンピックスが8/23~9/23に開催され、世界的な舞台芸術の祭典として利賀村にも世界中から人々が集う特別な期間となります。
そして、私たちトガプロも屋外ブースにて出店します。(8/31,9/1)
演劇と共に地域の食を味わい、利賀を味わい尽くしてみませんか?
「山菜ピザ」や「ジビエピザ」など”利賀の食”を楽しんで頂けるようなメニューをご用意してお待ちしています!
※演劇プログラムや宿泊・交通等については以下のシアターオリンピックスHPをご覧ください。