バングラデシュからやってきた胡瓜。
日本では、「白黄うり」と呼ばれています。
見た目を表している「白黄うり」ではなく、バングラデシュからやってきたということを伝えたくて「バングラデシュ胡瓜」と私たちはあえてそう呼んでいます。
今では伝統野菜と呼ばれるようになった古くからある野菜でも、そのほとんどが、どこかの時代に他の国から日本に伝わり、根付いたものです。
調べてみると、日本原産の野菜は、ミョウガやフキ、ワサビなど20種類ほどしかないようです。
宮島の畑でよく育つバングラデシュ胡瓜が、この地に根付いたとしても、「それがどこから来たのか」ということを忘れず、名前にとどめておきたいと思っています。
「それがどこから来たか」というのは、つまりそのルーツを知ることです。
ルーツは根っこ。
根っこは水を吸い、養分を吸い地上に送ります。
それから土の中で伸びて、その体を支えます。
根っこを失えば、地上部分はいずれ枯れてしまいます。
そんなことを考えていると、人間もきっと同じなのだろうと思えてきます。
自分がどんな時代に、どんな場所に生まれ、どんな風に育ち、どんな人に出会ったかを常に心にたずさえておくことはきっと大切なことなのだと思います。
それらが今を支えている。
それがなければ枯れてしまう。
千草が、私の目の前で「おいし」と言いながらバングラデシュ胡瓜をかじっています。
太く逞しい根っこを育ててやれる母ちゃんでありたいと、今、強く思いました。
(2017.7.25)
書き手:中岡農園 山本千内