実は全然報道も何もされておりませんが、各地で作物が被害を受ける災害が起こっていますが、ここ福島県相馬市でも例年にない大凶作の年になっております。
僕の記憶では8月の25日辺りから雨が降り続き、台風も9月は三週連続でぶつかり、雨が降らない日があっても畑が乾く前には次の雨が降るため、ようやく畑に入れるようになったのは10月の5日を過ぎた辺りからでした。
僕は震災後から農家になった為にまだ年月としては5年程度ですが、それでも1ヶ月以上畑に入ることが出来なかったのは初めてです。
知り合いのベテランの農家さんの話でも、ここ10年以上でもこんな年はなかったと言うほどの異常な雨になりました。
一日一日の雨はそれほど酷くはないため農業をやっていないと気がつかないかもしれませんが、1ヶ月以上、畑に足を踏み入れると足首までぬかるんで前にも進めないような状況だったのです。
知り合いの農家さんは畑にベニヤ板を敷きながらその上を歩いて作物を植えてまわったと言っていましたが、こんなことまでしなければ畑に入ることさえできないというのが異常すぎるのです。
残念ながらうちでは雨が降り続いた1ヶ月以上の間は野菜の植え付けはできず、ここ相馬市の農業では9月は最も重要な冬野菜の植え付け時期でして、9月を逃した分の冬野菜はほとんど採れないことが確定してしまいました。
おそらく、12月、1月、2月、長ければ3月までの野菜が無くなりました。
この時期の一日の植え付け遅れは一週間は収穫時期がずれるというほど、温度により育つ作物たちには一日一日の温度が貴重なのです。
それを1ヶ月以上逃したとしたら、それはもう取り返しのつかないことになるのは確実でした。
でも、今回ばかりは仕方ないと思い諦めました。
僕自身の技術的なミスではなく、これは自然災害なのでそもそもどうすることもできないものです。
相馬市中の野菜農家が被害を受け、それぞれに畑一枚全部ダメになったなど、あちこちから被害の話を聞いています。
今年は同じように各地で野菜がやられ品薄になり高値取引になっていますが、うちでも野菜が無いため高値取引の意味もありません。
ようやく雨が上がり畑に入れるようになってきた今、僕たちは1ヶ月以上入ることのできなかった畑の雑草取りに追われています。
本来ならこれも雨さえなければやらなくてすんだ作業です。
もうキャベツさえどこにあるのかわからないような草の生えっぷりに、途方に暮れていた僕を助けに来てくれたのは、何と海外から来た助っ人でした。
アジア系アメリカ人のカボゥ。
ドイツ人カップルのビヨンとマヤ。
約一ヶ月に渡り助けてくれることになり、数日間でみるみるうちにキャベツを草から救出してくれています。
本当に有難いです。
今年はそれでも前年と比べて冬の作物は八割以上が駄目になり、できた作物も長雨で出来の悪いものが多くなっています。
本当に大変な年ではありますが、全く英語の話せない僕が、ほとんど日本語の話せない異国の3人と1ヶ月共にわが家で暮らすなんていうのも、面白くて良いなと思います。
過ぎたことを悔やんでいても仕方がないので、こんな状況になってから起きることを楽しみ、学べることを学んでいきたいと思います。
今年はブロッコリーもほとんど駄目になり、楽しみにしてくださった方々にはご迷惑お掛けしますが、このような事情ですので、どうぞご理解のほど宜しくお願い致します。
(2016.10.10)