“職場体験”から子どもたちに伝えたい“生の体感”

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農家, 畜産農家 福島県相馬市

先日の13、14日にかけて、大野村農園に中村第一中学校の生徒さん達が職場体験として来てくれました。

当日はKFB福島放送のテレビ取材も入り、中学生達は緊張した表情でカメラを向けられていました。

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この中村第一中学校というのは、僕の故郷である福島県相馬市にあり、僕の母校でもあります。

僕自身は高校を一年で中退しているため、専門学校を抜かせば最終的な学校というのはこの中村第一中学校となります。

なので思い入れというのは、人一倍あると自分自身で感じています。

当時中学生だった僕は、成績も体育以外は学年最下位を争うほど悪く、そもそもテストに名前を書かずに落書きだけして提出するような、学校に来る意味がないような生徒でした。

なぜ真面目に生きられないのかと大人から訊かれたこともあります。

でも僕には、なぜ皆が皆同じように並ばされて生きさせられるのか理解できず、同じようには生きられないと感じていました。

中学生特有の中二病と言えばそれまでですが、同じレールには乗りたくないと思っていました。

当然、担任の先生方にはご迷惑おかけしました。

あまりにも迷惑だった時は、学校に来ないでくださいと先生方から何度か言われたこともありました。

今でこそ目で見えない障害や、個性というものに理解が出てきた世の中ですが、当時は今ほど理解もなく皆と同じように生きられない者は容赦なく切り捨てられたように思います。

中学生だった僕の家庭も、シングルマザーの母と、兄と僕の三人での狭いアパート暮らし。

裕福な訳がなく、毎日食卓に並ぶ夕食を見てうちが貧しいことを母にたずねなくても理解していました。

今振り返れば、幼少期の僕に精神的な障害が出てたこともわかります。

それでも障害は理解されなければ、ただの不真面目な生徒と見なされるだけです。

時代が変わり、理解は広まってはいますが、今現在でもうちの農園には引きこもりだった子や、学校を中退した子、障害のある子などから受け入れてほしいと連絡があります。

全員が全員受け入れられるはずもないし、助けになれるのかもわからない。

ただ、あの頃の自分自身と重ねて、助ける大人が必要なんだということはわかります。

僕自身が苦しい時期に救われたのが、じいちゃんとばあちゃんが迎え入れてくれた田畑だったから、人生のやり直しのような1つの道として、自然から学べる農業は可能性がある職業であり、多くの人を『食事』としても『精神』としても救える職業であるべきだと思います。

今回の職場体験として来てくれた子の中には、将来は農家のなりたいと言ってくれた子もいて、今はまだ理解できなくても、いつかきっと農業は生産することだけじゃないことも理解してほしいなと思いました。

また来年も、再来年も、ずっとこうした職場体験としてうちを選んでもらえたら、僕は僕なりにお世話になった故郷に恩を還す役割を果たしていきたい。

あの頃の僕から見たら、今僕が中学生を受け入れる立場になっていることが可笑しなことでしょうが、生きてて良かったと思います。

ここ大野村農園は、職場を体験させるという理解ではなく、生きてることを体感させる農園です。

やがてこの土地で学び育っていった子供達が、この土地の自然を守るために帰ってきてくれたら僕らは嬉しい。

そんな種蒔きを、僕らはずっと続けていきたい。

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(2016.9.20)


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