彼女が作ったイマイチなごはんを、なぜ僕らは「おいしい」と感じてしまうのか?

in 東北/福島
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農家 福島県石川町

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「おいしい」て、どういうことだと思いますか?

脂がのっている?甘い?軟らかい?旨味がある?
仮においしさを数値化したら、おいしさが絶対的なものになるのでしょうか。
それで果たして、万人がおいしいって思うかどうか…
私は、「おいしい」て、とても曖昧で不確かで自由なもののような気がします。

西日本と東日本じゃ好みの味付けだって違う。彼女が作ったゴハンなら、たとえイマイチでもNo.1。私が19歳の時、手術後に初めて口にしたコンビニの梅干しおにぎり。あれは本当に本当においしかったなぁ。それに、私がもし、死ぬ前に食べられるものを選んでいいなら、どんなにおいしいものより、母のおにぎりと死んだ祖母のおいなりさんにする。

野菜で考えてみたら、この肥料を使ったから、この農法だから絶対においしいってないし、たいていの農家さんは、自分の野菜が一番おいしいって思ってる。
そう考えるとおいしさってとても主観的なものなんだと思います。

じゃあ、うちの野菜を「おいしい」て思ってもらうためにどうしたらいいか。

技術を向上させる。
野菜をよく見る。
心を込めて育てる。
ひとつひとつの手間を惜しまない。
丁寧な仕事をする。
自分の野菜がおいしい、という主観を捨てて野菜に向かう。
私たちを大好きになってもらう。
信用してもらう。

好きになってもらっておいしいと思ってもらおうなんて、
農家としてとても無責任だけど。でも、大切なことだと思うのです。

そのために、人間性を磨く。そして、情報を公開する。野菜のことも作ってる人のことも。

大好きな人が作った野菜だ、だから安心だ、だからおいしい‼元気出る‼て思ってもらう。
そういう人間になれるよう努力する。お客様とそういう関係を育めるように努力する。
生産者と消費者を越えた共同体みたいな感じ…
そんな関係に一歩でも近づけるよう努力する。

そんなことを思っています。

そしてもうひとつ。
大切な誰かのために、大切な大切な自分のために、
ゴハンを作ってください。
大好きな誰かや大好きな大好きな自分に優しい言葉をかけながら、
ゴハンを食べてください。
きっとそれも「おいしい」だと思います。

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(2016.3.27)


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