金柑をタダで取っていいよ、という悲しい話。

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農家 鹿児島県南さつま市

先日、隣に住むMさんから相談がありました。

「金柑の収穫ができないから、もう全部あげる。勝手に収穫して物産館なんかに出してもいいよ」とのこと。

Mさんは老齢の両親の介護をしながら、細々とお米やお茶や柑橘を作ってきた人ですが、昨年自分の体調も悪くなり、もう農作業ができなくなったのです。

それで、この金柑園も昨年1年間あまり管理ができなかったそうです。それでも長年Mさんが育ててきた金柑の樹は、たくさんの実をつけました。しかし体調の悪化で、収穫作業がもうできない。せっかくの収穫ができなくなってしまう悲しさ、寂しさ。百姓仕事をやっていたら痛いほど分かります。

正和さんの金柑園

自分が収穫できないとしても、みすみす全部鳥に食べさせるのももったいない。だから私に「せめて無駄にならないようにしてほしい」と話にきたんですね。

この金柑園、軽トラックが通れる道路がないところにあり、ようやく一輪車が通るような細い山道を登ったところにあります。こういう非効率的なところは、仮に「タダで収穫していいよ」と言われても、地元の人はなかなかやりたがらないですから、私に話がきたんでしょう。

といっても、私も自分自身ポンカンの収穫や販売などで忙しいので、20本以上はあろうかという金柑を全て収穫できるとは思えません(金柑の収穫はすごく手間が掛かります)。でもMさんは「全部採れなくても、いいやつだけ収穫したらいいよ」と言っていましたので、出来る限り物産館で売ってみるつもりです。あと、知り合いに声を掛けてみて、欲しい人には金柑ちぎりに来てもらおうかと思っています。

ところで、Mさんは「あげる」と言っていましたが、両親の介護のため収入も僅かなMさんに、少しでも売り上げを渡してあげたいです。私自身かなり貧乏なので生意気な考えかもしれませんが、せめて肥料代くらいは出してあげたいですよね。

ちなみにこの金柑、Mさんが管理できなかったせいで、図らずも今年は無農薬だそうです。無農薬なので、カメムシ被害なども散見されますが品質はわりといいです。ただし、摘果をしていませんので大きさがバラバラで小粒が多いです。でも金柑漬けを作るにはもってこいかもしれません。

(2016.1.16)


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