【編集部の夏休み13】in五木村 熊本県一人口の少ない村で生きていく。林業と観光の可能性

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 コンビニもスーパーもない、青く透き通る川と美しい森林に囲まれた熊本県五木村。古くから林業を生業としてきたこの地に生きる人々の思いと五木村の魅力を探ります。

五木村って?

 夏真っ盛りの8月、去年の夏に1か月住み込みでインターンをしているうちに五木村にはまってしまったという先輩記者の荒川さんに連れられて熊本県五木村を訪問しました。この企画のコンセプトは五木村の自然や村の人との交流を楽しみ、学びや気づきを得ることです。五木村は人口1078人の人口が熊本県一少ない村で特に林業が盛んなことで有名です。

▲川は澄み渡り、奥の洞窟に続く鍾乳洞も観光スポットになっている


五木村の住民と森林の関係

 滞在中私たちは五木村の住民の津ヶ原さんご夫婦のお宅に二日間泊めていただきました。津ヶ原さんは五木村の築100年以上のお家で奥様と暮らしており、料理教室から木材加工まで五木村を活気づけるため様々な活動を行っています。五木村産木材の活用を進めるため津ヶ原さんは息子さんに保証人になってもらい、100万円近くする木材加工用機械をローンで購入したそうです!そこで、自分たちで書いたデザインを木製キーホルダーにしてもらいました。
 五木村ではこの他にも木材を住宅・家具にも利用しています。また、五木村に魅せられたアーティストたちによる木製キートレイやタペストリーなど五木村の良質な木材は多面的に使用されています。これらに使用される木を育てるためには森林を管理する「森の守り人」の存在が不可欠なのだそうです。本来、農村には水田や畑が広がり、ため池や水路などがあります。この周囲には古くから人の手で管理・利用されてきた雑木林や草地が広がっています。これらが存在する一帯は里山と呼ばれます。これらの雑木林は「守り人」によって定期的に伐採されることで維持され絶滅が危惧されるサシバなどの大型鳥類を始め多くの野生動物に豊富な食物や営巣場所を提供します。このように里山は人間による適度な働きによって多様な環境が維持されており、様々な生物が生息しています。

後世に残る林業のために

 しかし、近年の人間活動の変化に伴って里山が手入れされにくくなり様々な生物の生息に影響が現れています。輸入木材に押された日本の林業の縮小は変化の一つであり、農林水産省の統計によると日本の林業戸数は1980年の111.3万戸に対し2015年は82.9万戸にまで減少しました。さらに林業従事者は平成2年から平成27年の25年間の間に4万人以上減少しています。その一方で新規林業就業者は2013年には2827人でしたが2017年には3114人とわずかに増加しています。こ後世に残る林業のためにの五木村でも林業インターンシップを目的とした大学生や若い移住者の方が多くいらっしゃいました。さらに平成31年4月に五木村では県が運営する、くまもと林業大学校が開校しました。ここでは即戦力となり、次世代をリードする林業の担い手の育成・確保を図っています。

新たな魅力を発信

 次に訪れたのは今年4月にリニューアルオープンしたばかりの「カフェみなもと」です。このカフェは、もともと食堂だった場所を村民のオーナーさんと全国からのインターン大学生などが協力して昔の店舗からおしゃれな店舗へとリノベーションしたそうです。デザインや商品開発をはじめ、村内外の多くの人がかかわりました。こちらのカフェで使用される野菜やメニューはその多くが村民の希望に基づいて選ばれたそうです。ゴールデンウィークには目の前にキャンプ場があることもあり、大勢の観光客でにぎわいました。シイタケボロネーゼやイノシシ黒カレーなど食べ物を通じて五木村をアピールするという新たな取り組みが始まっています。

▲カフェみなもとの外観 季節のメニューや日替わりランチも楽しめる
▲豆腐シフォンケーキと黒豆とチョコレートの自家製アイスクリーム!

五木村を元気にしたい

 第一次産業で後継者不足が騒がれる中、五木村では若い移住者の方々と地元の大工さんや住民の皆さんが交流し合い、村を活気づけていました。若い人へと林業を受け継ぎ、五木村の美しい森林を育て、次の世代へと受け継ぐという使命を持ってはたらく人々が五木村にはいらっしゃいます。

 「木の村五木」をコンセプトにした五木村の住民の皆さんの真っ直ぐに伸びる杉のような力強さと優しさを堪能した3日間でした!

(食べタイ編集部 岩田なつこ)


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