【特別寄稿02】北陸の秘境で生み出したどぶろく。 原料にこだわり続ける主人の「今まで」と「これから」。

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前回に引き続き、利賀村(富山県南砺市)にいる中西さんにお話しをお聞きします。今回は中西さんが作っているどぶろく『まごたりん』に注目しました!

「どぶろく」と聞くとなんとなく馴染みにくいイメージを抱く人も多いかと思います。

そんな中、女性人気を集めるほど飲みやすいと言われる『まごたりん』。一体どんな秘密があるのでしょうか?

意外な由来、“幻の熟成どぶろく”などの話題から、限界集落で活動し続ける中西さんの人生観まで、たっぷり語っていただきました!

ライター:川﨑 嘉皓(かわさき かひろ)/慶應義塾大学

【中西 邦康(なかにし・くにやす)】1941年生まれ77歳。富山県南砺市利賀村出身。国有林野での林業経験を経て、現在は民宿『中の屋』を経営。自家製のどぶろく『まごたりん』の販売や有機無農薬の農業も行っている。

「まごたりん」の意外な由来、こだわり抜かれた原料

中西さんが作る利賀どぶろく「まごたりん」。どんな味がするんでしょうか。

どぶろくついて詳しく聞かせてください!
まず、商品名が「まごたりん」ですけど、これはどういった意味なんですか?

川崎
川崎
中西さん
中西さん

「まごたりん」っていうのは私のことだね。

ん?どういうことですか?
中西さん
中西さん

私の祖父が「”たりん”さん」と呼ばれていたんだ。
豪快でお人好し、そして何よりも大酒飲みで「わしは一生飲んでも足りん!!」っと言っていたことが由来。だから私の父は「子たりん」。で、私は「孫たりん」と呼ばれていた。
それをそのまま銘柄の名前にしたって訳。

どう?ストーリーがあって面白いでしょ?

「最初は結構反対されたんだけどね」

すごく素敵な名前だと思います。
その「まごたりん」の特徴はどのようなものですか?

川崎
川崎
中西さん
中西さん

まず、一般的にどぶろくは水とコメを発酵させたものを酵母菌でアルコール化させたもの。清酒(日本酒)の原型で濾していないから、にごりと甘味がある。

「まごたりん」は「自家製の有機無農薬米」と利賀村の湧き水「鴻の貴水」を原料にしているのがこだわりやね。

「『普通のどぶろくとは違う』と言われるのも、とにかく原料にこだわっているからやね」

個人的には、「どぶろく≒甘酒」みたいなイメージを持っているんですけど、「まごたりん」の味の特徴はどうですか?

川崎
川崎
中西さん
中西さん

そうだね。ほどほどに甘さと辛さが共存している。特にまごたりんは天然酵母だから甘味がしっかりしている。
だから、清酒が飲めない女性でも「まごたりんなら飲める!」と言ってくれる人もいるくらい。

樽の中には水とお米が。表面は「ポコッ、ポコッ」と盛んに発酵中。
中西さん
中西さん

「まごたりん」は全3種類。それぞれ酵母が違うから、味わいも変わってくる。
ノーマル・岩魚の酵母・そばの花の酵母」の3種。

元々ノーマルだけだったんだけど、せっかくだから利賀村の特産を酵母にしようと思って追加で2つを作ったんだよ。

冷蔵庫には大量のどぶろくが。個人的には岩魚酵母が飲みやすくておすすめです。

本当に飲める?2年ものどぶろく

中西さん
中西さん

そう言えば、すごく面白い話があってさ
この前、“2年もの”の「まごたりん」を見つけたの。

2年もの…
どういうことですか??

川崎
川崎
中西さん
中西さん

以前、地元の祭りで皆に「まごたりん」を振舞ったんだけど、それを1本だけ公民館に置き忘れてたみたいで。
この前、たまたま発見しちゃったんだよね。
時間で言うと丸2年間も経ってるし、夏の酷暑にも晒されていたはずだよね。

えぇ!どうなってましたか?
(ちょっと嫌な予感がする…)

川崎
川崎
中西さん
中西さん

酸っぱくなったりしてとても飲めないんじゃないか、と思っていたんだけどちょっと試しに飲んでみたら….これがまたおいしくて!

まだ少しだけ取ってあるからよかったら飲んでみない?

2年もの(左)・新品(右)。これ本当に大丈夫ですか…?
中西さん
中西さん

夏場は35度を超えるような場所に2年間も放置していたけど、全然平気。だから最近は賞味期限は無いんじゃないかと思っとる。
とにかく飲んでみて!

……

川崎
川崎
お腹弱いタイプなんだけどなあ….
中西さん
中西さん

どう??

めちゃくちゃおいしいです!!
自分はむしろ2年ものの方が好きかもしれないです(笑)
甘味が強くなってますよね?

川崎
川崎
中西さん
中西さん

そうでしょう!
恐らくアルコールが少し抜けた分、より甘味を感じられるどぶろくに仕上がっとるのかな。

「流石にダメかと思っとったけど、これでまた一つ自信になったちゃ(笑)」
中西さん
中西さん

やはりどぶろくは「生き物」なんだなと。

2年ものまでいかなくとも、そのときによって味や度数は少しずつ異なってくる。
こだわって作った「まごたりん」だからこそ、その瞬間ごとに味わいの違いを意識してみるともっと楽しめるはずやね。

なるほど「生き物」ですか。
2年経っても成長し続けていたとは。

川崎
川崎
この後、youtubeでみつけた「まごたりんの歌」を一緒に視聴。なんじゃそりゃ….

「永遠のチャレンジャー」中西さんの夢

既に「民宿・農業・どぶろく」をはじめとして色々なことに取り組んでいらっしゃると思いますが、今後やってみたいことってありますか?

川崎
川崎
中西さん
中西さん

もうたくさんあり過ぎるくらい!

一番大きなものは「自然栽培」に挑戦すること。
有機無農薬の栽培を始めて10年。それがほぼ確立した感じがあるから、より環境に優しい、そしておいしい農法を目指そうということでもう既にやり始めている。

また新しい挑戦をするんですね…!

川崎
川崎
中西さん
中西さん

最近、利賀村への移住者で農業に関心の高い若者と「自然栽培研究会」を立ち上げたりもしたよ。
ここ(利賀村)は庄川の源流に位置する。だから川の水を汚さない、環境に優しい方法の確立に大きな意義を感じとる。

そして何より、意思のある若者と一緒に目標を持って取り組むことが楽しくてしょうがない!

78歳にして凄まじいエネルギー。あと歯並びがきれい。
中西さん
中西さん

農地として非常に優れた環境である、そしてそこに意思をもった人々が集まって来とる。
だからこれまで言ったけど、利賀村が面白いのはこれから”。「いよいよおもしろなって来たわ」ってね!

素敵です…!

川崎
川崎
中西さん
中西さん

人生100年時代っていうけれど、ただなんとなーく100年間生きても意味ないじゃない?
健康であり、夢をもって前向きに挑戦し続けることが一番大事。
だからどんどん挑戦していくし、食を通じてよりみんなの健康をサポートしていけるようにもなりたい。

徐々に熱が入ってきました。
中西さん
中西さん

そうやって健康で前向きに夢を追いながら、「ピンピン、コロッ」と逝けたら幸せだと思わん?
だから、今はいつ死んでも悔いが無いっちゃ!
そう思って毎日頑張っとる。

カッコよ過ぎる!そんな大人になりたいです。

川崎
川崎
中西さん
中西さん

だけどあと最低10年は頑張って続けようと思っとる。その後は私の想いに共感さえしてくれれば、その人にお願いしても良いかな。血縁は無くとも構わない。

「連絡待ってるよ」
中西さん
中西さん

「(村には)過疎で人がいない」とか愚痴ばかりを言ってても始まらん。
とにかく前向きに、コツコツと努力することが大事。そうすればこうして少しずつ結果はついてくるし、何よりも毎日が楽しいから。

運営している「百姓塾」でも次の世代の子供たちにそういったことを伝えるようにしとるよ。

いかがでしたでしょうか。

全2回を通じて、富山県の山奥の秘境で民宿経営・農業・どぶろくとマルチに活躍する中西さんにお話しを伺いました。

中西さんが暮らす利賀村。富山市内から車で約1時間の距離にあり、人口500名の方が住む地域です。標高1,000mを越える山々に囲まれ、庄川の支流である利賀川、神通川の支流である百瀬川が縦断する自然豊かな集落。

“限界集落”というとなんとなく元気の無い印象でしたが、実際に聞いてみるとそのイメージとはかけ離れていました

素敵な民宿と地元の美味しいごちそうやどぶろく。そしてそれらを運営するエネルギッシュな中西さん。

富山の秘境「利賀村」とそこで暮らす中西さんに少しでも興味が湧いた方はぜひ民宿「中の屋」へ!


◎今回ご紹介した中西邦康さんやまごたりんの詳細について

◆中西邦康さんFacebook:Kuniyasu Nakanishi

◆利賀どぶろく「まごたりん」お買い求めの先:
百選横丁
Amazon

◆中西さんが運営する民宿「中の屋」:
HP 
楽天トラベル
AirBnB
るるぶトラベル


この記事を書いたのは慶應義塾牛島ゼミ「利賀プロジェクト」です。

通称「トガプロ」。これまでにカタログギフトの作成やマルシェの出店など様々な活動をしてきました。豊かな自然と伝統文化等魅力にあふれる一方で、高齢化と過疎が進む「利賀村」と向き合いながら活動は今年で9年目。

◆Twitter:@gyutoga
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