【編集部の夏休み09】なぜ人は地方に惹かれるのか 〜人と人がつながる『農縁』〜

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9月8日(日)、9日(月)  山形県新庄市

今回お世話になったのは山形県新庄市の高橋さんご家族。山形の幻の在来米「さわのはな」の伝承をはじめ、水田トラスト、大豆畑トラストの運動などの先駆的な取り組みをされている高橋保廣(たかはしやすひろ)さん。その活動を通して食や日本の農業さらには種のことを伝える活動を実践され、生産消費連携団体『ネットワーク農縁』の代表を務められている。

高橋保廣さん

訪問させていただく前日に、僕はご挨拶の電話をした。新庄市に既に到着している旨を伝えると、保廣さんは「朝飯、食いにくっか。」と誘ってくださった。その日は朝早くからお邪魔させていただくことに。初めましてにも関わらず、壁を感じないというか自然体でいられるというか、不思議と落ち着ける雰囲気。「いつも周りには思いのある仲間が集まるんだ〜。」と話す保廣さん。その保廣さんの人を引きつけて虜にする魅力を懐垣間見た気がする。事実、お邪魔させていただいた日も2組の来訪者が保廣さんの元を訪ねていた。

新庄ふるさと歴史センター内の喫茶店でコーヒーをいただいた

朝御飯をいただいた後は農作業を一緒にさせていただくことに。作業のご指導をいただいたのは、保廣さんを父とする広一(ひろかず)さん。広一さんは「さわのはな」の生産を主に管理される一方で、米香房Gratia*sを設立し「さわのはな」の6次産業化にも取り組む。幻の米「さわのはな」から作る米粉のパスタは絶品だ。

上段中央:広一さん
下段:広一さんの息子さんお二人

その日入らせてもらった田んぼは仙台市の子供達と一緒に苗植えをされたものだそう。10月末にはまた子供達との収穫を控えている。その田んぼに生えてしまったひえを取り除く作業。ここにも一つの「農縁」が生まれていた。

ひえとりの様子
この日刈り取ったひえ

広一さんとの対話は夜が深くなるまで続いた。これからの農業のこと、地域のこと、経済のこと、若い世代が作る未来のこと。「こんな社会を作って行きたい。」熱い想いをぶつけた。お互いを理解するまでに時間はいらなかった。「世代や場所は違っていても、次の社会を作り上げていく同志だ。」そうおっしゃる広一さん。『同志』という言葉に僕は強く惹かれた。微力だが一緒に新しい何かを作って行きたい、そんな気持ちになった。

高橋さんご家族と米粉パスタを囲む様子

保廣さん、広一さんは共に市場原理の中でないがしろにされたしまったものを的確に捉え、そのアンチテーゼを実践的に世間に突きつける。その中の一つが在来種の継承や大豆トラストであり、そして「縁」だ。資本主義が解体してしまった貨幣に換算できない価値。都会では感じづらくなった価値。でも、人間的な営みの中に必ず必要なもの。そういったものに惹かれて多くの人が彼らの周りに集まるのだろう。僕はここに「なぜ人は地方に惹かれるのか」という問いに対する一つの答えをみた気がした。

「人と人との繋がりが大事なんだ〜。」保廣さんは言う。今日生まれた「農縁」をこれからも大切にさせていただきたい、心からそう思う。

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書き手:末永 玲於

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