【編集部の夏休み01】1カ月間生産者を巡る旅”Full Bag Tour”の幕開け

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こんにちは!食べるタイムス編集部員の荒川です。

今、学生は夏休み真っ只中!食べタイ編集部員たちも長期休みを利用し、それぞれの分野で活動中。そんな食べタイ編集部員の夏休みを覗いてみよう!という企画が、今回の【編集部の夏休み】です。

特集の第1弾は、食べるタイムス編集部員の山坂千晴君と、そのお友達の末永玲於君の夏休み。

彼らは、この夏1か月間、東日本各地の農家さん漁師さんを巡る旅”Full Bag Tour”を計画・準備中だそう。

1ヶ月間にも渡る、生産者さんへの訪問で2人は何を得たいのか、何を学びたいのか。農業への想いと旅の意気込みをじっくりお聞きしてきました。

書き手:日本食べるタイムス編集部員 荒川暁世

左:山坂千晴、右:末永玲於

末永玲於:慶應義塾大学経済学部2年。流通から農と地域を考える学生団体Youの設立者、田畑と森と海でつながる学生団体いろりのメンバーとして農業や地方に関する分野で活動中。山形県村山市の耕作放棄地を開墾して蕎麦を植えて、加工販売するプロジェクトを実施中。富山県砺波市出身。

山坂千晴:早稲田大学政治経済学部2年。学生による農作物・加工品の販売促進チーム「ノウエンモノガタリ」を設立。Nippon Taberu Times(皆さんが今読んでいるこのメディア)で農家・漁師など全国の生産者さんの魅力を発信中。三重県生まれ、東京都育ち。


ー末永君、千晴、今日は宜しくお願いします。まずは、2人が普段どんな活動をしているのか教えて下さい。

末永:

僕は今、主に2つの活動に携わっています。

まず、1つ目は蕎麦プロジェクト。山形県村山市の耕作放棄地を開墾して、蕎麦をまき、収穫された蕎麦を加工して、都内で販売するプロジェクトを率いています。そこで、自分たちで作った蕎麦を、いかにマーケットのニーズに合わせ、最も適した場所で販売するかに挑戦しています。

村山の蕎麦プロジェクト初回  耕作放棄地の開墾を行なった

2つ目は農業を体験したり、学んだりする学生団体の活動です。今、「流通から農と地域を考える学生団体ゆうーYouー」と「田畑と森と海でつながる学生団体いろり」という2つの学生団体に所属しています。ここで一緒に活動している仲間たちは、多かれ少なかれ農業に興味関心があります。それにも関わらず、将来農業の業界に入るのはほんの一部でしょう。

だからこそ、彼らに農業の面白さ、魅力を存分に伝えることで、彼らのうち一人でも多く、将来的に農業の業界で働く人を増やしたいと思っています。

学生団体の活動 慶應大学にて地産地消をテーマにスープを販売した

千晴:

僕も現在、主に2つの活動に携わっています。

1つ目は、栃木県宇都宮市の農業生産法人「農人たち」と共に、学生が生産者さんの代わりに商品を販売する「ノウエンモノガタリ」という団体の活動です。農人たちの代表と共にノウエンモノガタリの立ち上げから関わっています。この活動をきっかけに、「おいしい野菜、こだわりの詰まった野菜を生産しているにも関わらず、農産物の生産で手いっぱいになってしまい、その価値をなかなか伝えきれていない」と嘆く生産者さんの声をたくさん聞きました。そのような商品の販売委託の依頼を頂き、都内のマルシェや店舗での試食販売をさせてもらっています。

ノウエンモノガタリの活動  農人たち代表(写真右)とともに太陽のマルシェで野菜を販売した

そして2つ目が、皆さんご存知Nippon Taberu Timesの活動です。食べタイメンバーとして、地方に出向き、生産者さんの取材をし、記事にして読者に届けています。今回の旅で、新しく出会う生産者さんの取材・記事発信も行っていきたいです。

食べるタイムス編集会議の様子

ーありがとうございます。2人とも農業に関する団体の代表・設立者として様々な活動をされていますね。では、そんな2人がこの夏に企画している”Full Bag Tour”について詳しく教えて頂けますか?

千晴:

この旅の名称「Full Bag Tour」とは、知識も経験と不足している僕たちが、旅を通じて知識・経験を得ることで、ひと回りもふた回りも大きく成長することを、空のバッグに知識・経験・マルシェで販売する商材をパンパンに詰めて帰ってくることになぞらえたものです!

末永:

2019年8月22日(木)〜9月21日(土)の1ヶ月間、2人で東日本各地の農家さんや漁師さんを巡ります。農作業や生産者さんとのお話を通して、生産や、生産者さんの抱える課題、生産者さんが見据える一次産業界の未来などを、勉強してきます。

さらに、1ヶ月の間にお世話になる生産者さんに少しでも恩返しをしたいので、生産者さんたちの商品を仕入れて、10月には東京のマルシェで販売予定です。

ノウエンモノガタリの活動  青山のファーマーズマーケットにて、知り合いの農家さんたちの商品を販売した

ー具体的にどういう生産者さんに会いに行く予定ですか?

千晴:

富山県、石川県、長野県、福島県、山形県、秋田県、宮城県、栃木県の順に回る予定です。

末永:

様々な農業のスタイルを見てみたいので、有機だったりそうでなかったり、規模が大きなところもあれば小さなところもあったりと、幅広い種類の生産者さんを訪ねる予定です。

ー「勉強したい」という言葉が印象的でしたが、2人はこの旅で何を学びたいですか?また、2人が農業の何に関心があるのですか?

末永:

そもそも、僕は将来、農業の業界で働くこと、その中でも特に”流通”を良くすることを心に決めています。各家庭で「今日の白菜は〇〇さんが作ってくれたものだよ」という話が日常会話になるような社会、美味しいモノがきちんと評価される社会を作りたいと考えています。

きっかけは高校生の時のある経験です。僕はもともと料理や美味しいモノが好きですし、自分で言うのも何なんですが舌は繊細です笑。

ある時、同じ値段のニンジンを2本買ってきて食べたら、味が全然違ったんです。僕は「ニンジンはニンジン」だと思っていたのに、同じニンジン、同じ値段のニンジンなのに味が全然違うことが衝撃でした。

後日、近くの農家に聞きに行ったら、「それ、当たり前じゃん。育て方も違えば土も違う、あげる肥料も違うんだから。」と言われ、「え、なんで?美味しいモノは美味しモノとして高く売れないの?」という疑問が湧いてきました。

農家さんから「農協に出荷すると規格で分けられるから、必ずしも”美味しいモノ”が高く売れるわけではないんだよ」と教えてもらい、「やばいな」と。美味しいモノを一生懸命作っても、同じ値段で買われちゃうんですよ。

そりゃ農家さん美味しいモノ作る気なくなるでしょと思い、農業の業界に入って流通を変えたいと考えるようになりました。ちゃんと美味いモノ作ったら、それなりに評価される社会を僕は作りたいです。

でも、どうすれば良いのかはわかりません。わかってたら起業しています笑。

知識も経験も不足していて、いろいろ知らない事だらけです。

農業流通に携わるには、農業の事も他の産業の事も幅広く知る必要があると思っていて、特に生産者さんのことをしっかり知り、消費者をじっくり観察することが大切だと思っています

でも、生産現場の事を僕は全然知らないんですよ。それで、「じゃあ現場に学びに行こう」と思いました。

千晴:

私も将来、農業業界で働きたいと思っています。その中でも特に「生産者さんと共に価値を創造すること」に関心があります。ノウエンモノガタリの活動のように、良い商品なのに価値が伝えられなくて売れない商品を集めて、売る事が出来れば、それってすごく良い事だと思います。

でも、それだけではそんなに面白くないなって。ただ単に良いモノを売っているだけでは、良いモノがなくなれば成立しないやり方だと思うからです。

だから、消費者と生産者さんの間に入り、生産者さんと共により良い商品を作って消費者に届ける仕事をしたいです。例えば、マルシェでの委託販売を通じてお客様の声を集め、それを農家さんにフィードバックしていければ、より消費者のニーズに寄り添った商品を作れて、良いんじゃないかなと思っています。

日本の農業を見渡してみると、生産者さんの激減・高齢化、新規就農者も増えない、そんな現状が続いています。このままいくと、「本当に」日本の農業が消滅してしまうのではないか、と僕は危惧しています。

だからといって、1人の若者が農家になったところで、根本的な解決には至らないと思います。

だからこそ、私は複数の生産者さんと連携し、生産者さんのニーズ・意思を尊重しながら、「その地域では何が必要とされているのか」を考え、行動に移していきたいと思っています。

しかし、僕はまだ農業の知識も経験も全然ないため、何が学びたいかすらもわかっていない状態かなと思っています。だから、様々な生産方法や生産者さんの考え方に触れて、現場で農業について勉強していきたいと思ってこの旅を企画しました。

末永:

これは例えなんですけれど、僕は100円のモノはきちんと100円と評価されて売れる社会を作りたいと思っているのに対し、千晴は100円のモノにさらに価値を付けて120円で売ろうとしているのかなと思います。千晴、めちゃくちゃ熱いですよね。

ー2人とも素敵ですね。では、最後に旅に向けて一言ずつお願いします!

末永:

2人とも農業に興味があって、それぞれ少しずつではありますが、やっていることがあります。でも、それぞれが目指していることを達成するのはとてつもなく遠いと感じます。そのためのキックオフイベントがこの旅です。

僕ら2人、ただ旅がしたいだけじゃないです。例えば、IT業界の先端がシリコンバレーのように、農業や地方創生の案件や情報が転がっているのが地方だから地方に行きたいんです。そして、今回の旅をできるだけ次に繋げたいと思っています。

千晴:

実は、既にFull Bag Tour後の取り組みとして旅の後半に訪れる福島県東白川郡矢祭町との企画を1つ考えています。

矢祭町では、鮎とゆずが、基幹産業になっていましたが、東日本大震災と原発事故による風評被害を受けて、特にゆず産業が苦境に立たされています。現在、栽培されているものの、収穫されずに廃棄される余剰のゆずが10トン近くあります。ゆずの「販路がないこと」と「高齢化による担い手不足」を、マルシェでの販売(販路作り)×学生ツアー(労働力供給)で解消しようという取り組みです。


2人の今後の活動はこちらをご覧ください!

■Nippon Tabetu Times の Instagaramにて旅の様子を動画配信予定!

>>>https://www.instagram.com/tabetai_gram/

■流通から農と地域を考える学生団体 ゆう-You

>>>https://bit.ly/2ZbNdRK

■ノウエンモノガタリ

>>>https://bit.ly/2z5C6Lp


➤この農家・漁師のプロフィールを見る