本物にふれた?鴨川での田植え 【ももの体験記vol.1】 

in イベントレポート/スローライフ/ピックアップ/千葉/地域/編集部から/農村漁村暮らし
この記事の書き手

5月4日に、鴨川自然王国で田植えをしてきました。これは早稲田大学の大隈塾という授業の伝統行事です。今年は、学生と社会人あわせて30名という、歴代最多の人数が集まりました。
この田植えの目的は、「身体を動かし、良いチームを作ること」と「本物にふれることで、なまった直感力を取り戻すこと」です。ということで、あのときの直感のまま、私の田植えの体験を書いていきます。

書き手:もも(食べタイ編集部員/大隈塾生)
美味しいものを食べることが大好きだけど、自分で食料を作った経験がないことに危機感を覚え、野菜の中で1番好きなナスをお家で育てはじめました。こんな風に、なんでも自分でやってみないと気が済まない「ももの体験記」を、これから食べタイでシリーズとしてお届けします。

鴨川に到着

今回、田植えをさせてもらったのは、千葉県鴨川市にある鴨川自然王国。近くには有名な千枚田の棚田があります。

東京から車で3時間ほど(今回はゴールデンウィークのためもっとかかりましたが)で着くとは思えないほど、視界いっぱいに緑が広がる場所です。来る途中には綺麗な海も見え、海なし県埼玉で育ってきた私のテンションがあがります。このときばかりは、海も山もある千葉を羨ましいと思いました。

楽しそうな田植え風景

初夏は、私が1番好きな季節です。桜の花が散ってしまったかわりに、そこら中の緑が生き生きと輝き始めます。真夏のように嫌な暑さもなければ、真冬のように寒すぎることもありません。
そんな、太陽のありがたみを感じる気持ち良いお天気の中、田植えが始まりました。

田んぼには、土を感じるためはだしでインすることに。ビクビクしながら最初の一歩を踏み出します。

ウ〜〜、水と土の生ぬるさがヒヤッとします。土は柔らかくてサラサラなのに、水を含んで重みがあって、足がズボーッと埋まってしまう。

横一列になり、タイミングをそろえて苗を植えていきます。重くなった足を片方ずつ持ち上げながら、ゆっくり進みます。
ちなみに苗というのは、あのよくある普通の玄米から芽が出ているものでした。これが本当に稲になるのかとびっくり。

あとで先生から、「土の中には何億という微生物がいて、はだしで土に触れると足の裏とその微生物たちが交流するんだ。感じたか?」なんていうお話を聞きましたが、正直このときはそこまでは感じられませんでした。

自分の感覚を研ぎ澄ますというよりかは、みんなとワイワイしながら作業するのに夢中だったからです。歌なんかも歌って陽気にやっていたら、一面の田植えは1時間もかからず、あっという間に終わってしまいました。

なにせこの大人数です。

「疲れたー!」「しんどいー!」となるまもなく、楽しい思い出の中で田植えは終わりました。

最後は、植えた苗を踏まないように気をつけながら撤収です。

みんなからも、「楽しかったー!」とか「これが食べ物になるの楽しみー!」という声が聞こえてきました。

本物にふれた?

さて、この田植えの目的は「身体を動かし、良いチームを作ること」、そして「本物にふれることで、なまった直感力を取り戻すこと」にありました。
慣れない田植えの作業をみんなと声をかけあいながらやることを通して、仲間との距離は一気に縮まった気がします。そこは100点満点です。

しかし私にはちょっと疑問が残ります。
この体験は、本当に“本物”にふれたことになるのでしょうか?

みんなでやるからあっという間で、楽しかったけれど、もし私が農家さんだとして、これより少ない人数で、しかもこれより大きな田んぼに苗を植えるとなれば、楽しいとだけも言っていられないでしょう。

それにこれを見てください。私たちが植えた田んぼです。ちょっと?だいぶ?ガタガタですね。

この苗たちが稲になることにもっと想いを馳せていれば、もう少しまっすぐ植えようという気になっていたはず。

もちろん体験することは大切です。でも、それだけでわかった気にならないこと、何が“本物”なのかをちゃんと見極めることも同じくらい大切なのではないでしょうか。

今回だったら、私たちが体験しやすいように田んぼを整備し、苗を育ててくださって、これから田んぼに行けないあいだ、代わりに稲の世話をしてくださる方がいて…それこそが本物だと思います。

楽しい体験の裏にある“本物”を垣間みたとき、そこに感謝と尊敬の気持ちが湧いてきました。

田植えの帰り道、車窓から田んぼを見つけては、仲間たちと

「この田んぼ上手いね。」
「苗がまっすぐ植わっているね。」
「機械かな〜。」

なんて言い合いました。

この体験をしなければ、起こらなかった会話でしょう。

私たちが普段気に留めずに見ている世界には、実はたくさんの“本物”の仕事が隠されているのかもしれません。今回ちょっとだけだけど“本物”にふれる体験をしたことで、いつもの風景がありがたく思えるようになりました。

さて、次はどんな体験をして、どんな新しい世界をのぞくことができるでしょうか。本物に謙虚であり続けることは忘れずにいたいと思います。それでは次回の「ももの体験記」もお楽しみに!


➤この農家・漁師のプロフィールを見る