牛の砂に2億円かけた牧場が目指す酪農の新世紀とは【前編】

in 北海道/編集部から/編集部のインタビュー記事
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藤井雄一郎(ふじいゆういちろう)さん
今年で創業115年目を迎える北海道富良野市藤井牧場5代目代表。
代表就任3年後の2012年に国内初となる農場HACCP認証を取得。
昨年には、富良野藤井牧場直売カフェをオープン。
2014年には台湾で行われた物産展に参加、2016年には同じく台湾で単独催事を開催。

 

「牛も人もどんどん育てる牧場」というスローガンのもと、100年先の未来を考え、マーケティングや海外進出など新しいことに挑戦し続ける牧場。それが藤井牧場である。代表の藤井雄一郎さんの取材を進める中で21世紀の新しい酪農のあり方が見えてきた。

酪農界のマーケター

”チーズケーキに合う牛乳”。

チーズケーキに合う牛乳と聞いて、「牛乳は全て一緒じゃないの?」そう思わないだろうか。しかし、藤井牧場ではタンパク質や乳脂肪を濃くしたり、牛の餌を変えたりすることで、チーズケーキに合う牛乳を作ることができるのではないかと考えている。
酪農界において、新しいマーケティングの挑戦が始まろうとしている。

なぜマーケティングなのか?

▲社員たちと(前列左から4人目が藤井代表)

2018年の4月に酪農の大きな規制改革があったんですよね。今までは、いわゆる農協系に出すか、乳業メーカーに出すか、酪農家が売り先を考えることはできなかったんです。だけど、4月に制度が変わって、売り先を農家が自由に選べるようになったんですよ。

これまでの酪農ははっきり言って、農協に出荷するしか道がなかったので、あまりマーケティングやブランディングとか、売るということに対してほとんど考えてきてなかったんですね。ところが、その規制改革によって、大きく業界が変化したんですよ。一番重要なのはやはり、マーケティングのできる酪農をやっていこうと。このことは9年前に代表になった時から考えてはいましたね。

ーマーケティングということに関して、以前に台湾で物産展を行なっていますが、台湾以外での海外進出は考えていますか?

最初に台湾に取り組んだのは、台湾は日本との親和性も高いし、海外進出の入り口として考えていました。台湾に一つ足がかりを作れれば、そこから韓国だったり、上海だったり、そういったところに展開していきたいというのは考えていましたね。ただ、なかなか難しい部分もありますので、他企業さんと連携してやっていきたいという風に考えています。

ーそれは、商社やメーカーと連携していくということですか?

そうですね。数年いろいろな取り組みを行なってきた中で、製造から販売から流通まで全部やるとなると体制が重くなりますし、海外で戦うのは大変なことだということがわかりましたね。うちは生産ではトップクラスだという自信はあります。ですが、製造や販売は勉強不足なので、より強いところと組んでいきたいですね。最近では、北海道のアイスメーカーが台湾に工場を作り、富良野産という名前を使って、一緒に商品を作りたいということでオファーがきたんです。このように世界に勝てる商品を作っていかなければいけないですね。

 

こうして始まったのが、日本の未来の「食」を考える、「新世紀牧場」である。
しかし、「販売の展開より、一番大切にしたいのは生産現場ですね」と藤井さんは言う。

その生産現場を大切にしたい理由とは何なのか。後編につづく。

書き手:山村奏(食べるタイムス編集部)


 

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