東京都で狩猟免許が受けられない?「狩り部」の学生に聞いてきた

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東京都で狩猟免許が取れない?

その問題を知ったきっかけは、早稲田大学の岩井雪乃先生のFacebook投稿だった。

引用: 岩井先生のfacebookページより

いま、狩猟文化が若い世代に受け入れられている。10年間で狩猟免許を持つ40代以下は2倍になっており、流行・ファッション以上に関心を持ち「免許取得」まで挑む若者が増えていることがわかる。

岩井先生が顧問をつとめる早稲田大学“狩り部”には、「免許取得」に挑む若者たちが大勢集まっている。ところが、東京都の学生たちは、「免許が取りたくても試験すら受けられない」という。これはどういうことなのか。“狩り部”の学生に聞いてきた。

書き手:森山健太(食べタイ編集部、早稲田大学OB)

 

早稲田大学 狩り部とは

狩り部は、獣害対策ボランティアを目的とした団体だ。早稲田の学生だけではなく、早稲田出身の社会人も含め、15人が入っている(2018年12月現在)。その中には、岩井先生をはじめとして狩猟免許の資格者もいる。

今回の取材では、東京都で免許取得中の岩瀬詩由(しより)さんと、千葉県ですでに狩猟免許を取得した森裕紀くんの2人がインタビューに応じてくれた。

 

四度目の正直

岩瀬詩由さん (早稲田大学大学院 環境エネルギー研究科1年)

 

「狩り部のイメージガール」のしよりさん。7月、狩猟免許試験を受けようと都庁まで申し込みに行った。ところが午前中で締め切られてしまっていた。その後も8月、10月とチャレンジを続けたが、「わずか30分で締め切られてしまった回もあった」という。

 

なぜこんなことが起こるのか?

 

東京都では、試験会場の制約のため一度の試験の受験者数に上限がある。その上限に対し、免許を取りたい人が多すぎるので、受付開始前に受付が締め切られるということが起きたのだ。

 

「 “ひどい獣害に悩んでいるのにどうしてくれるんだ”と怒っている現場の方もいて、胸が痛くなりました」

 

11月、「都庁が開く8時きっかりに」入館し4回目の正直を果たした。

 

「これでようやく試験が受けられます(笑)」

 

東京で無理して取らなくてもいいのでは、と思った方もいるかもしれないが、免許の取得は住民票のある都道府県で行う必要がある。つまり、東京に住んでいる人は東京で試験を申し込まなければいけない。総人口の1/10が集まる東京では、他都道府県と比べ、免許を取りたい人がふくれあがっている。今後の対応に注目したい。

 

一度で通過

森裕紀くん(早稲田大学政治経済学部4年)

 

千葉県在住の森くんは、1回で試験申し込みできたという。

 

「今年10月に千葉で申し込みましたが、それほど混んでなかったですよ」

 

11月の試験も一発で合格。まだ「猟銃所持の許可」がおりていないので、実際に猟ができるのは来年になるが、すでに狩り部でお世話になっている猟師さんに弟子入りし、デビューの日を楽しみにしている。

 

ちなみに森くんは、総合格闘技で国際的に活躍した“ファイター”でもある。実は狩猟に興味を持った入り口は、格闘技だった。

 

「憧れの格闘家にアメリカのチャドメンデスという人がいるのですが、トレーニングの一環で、イノシシをハンティングしているんですね。それを見て、“カッコいい!おれもやってみたい!”と」

 

身近なところから興味を持った森くんだが、いまは一人前の猟師になるため真剣に命と向き合っている。

 

狩猟に縁もゆかりもなかった若者たち

取材を通じてわかったことは、森くんのように、狩猟に縁もゆかりもないところから入ってくる若者が意外と多いということだ。狩り部が「現地活動」とよんでいる、千葉県鴨川市での狩猟活動に参加してきたが、実にさまざまな学生が集まっていた。

 

たとえば、しよりさんは岩井先生の授業でタンザニアに行き、アフリカゾウの獣害ボランティアを経験したことがきっかけで狩り部に入った。グローバルな問題をきっかけにローカルな問題にも目が向くようになるのは、「獣害」という共通の視点があるからだ。早稲田の狩り部ならではの面白い取り組みで、狩猟への関心を広げることに成功している。

 

ちなみに、岩井先生は狩り部に入ってくる若者には、大きく分けて2パターンあると考えている。

1. 食べることが好きな学生、ジビエ(食肉)に興味のある学生

2. 複数の農山村を周り、「獣害」という共通問題を見つけた学生

 

狩猟の世界を経験するには

最後に、狩猟の世界を経験する方法を2つご紹介したい。一般的な狩猟の世界を知りたい方は(1)が、ディープなマタギ文化を知りたい方は(2)をおすすめしたい。

 

(1)狩り部への入部

千葉県鴨川市や、山梨県丹波村での現地活動に参加することができる。早稲田以外の方の入部も可能。

お問い合わせ:wasedakaribu@gmail.com

 

(2)食べるタイムスツアーへの参加

私たち食べるタイムスは、山形県小国町の「マタギ」と仲良くなれるツアーを定期開催している。次回は、2019年3/2(土)〜3(日)に、マタギたちから雪山でうさぎの巻き狩りなどを教わる「雪の学校」が開催される。

お問い合わせ:contact@taberutimes.com

 


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