伝えたいことは、レシピや育て方じゃない。

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この記事の書き手
農家 福島県石川町

5月。
学区内の小学1年生2年生が、生活科の授業でサツマイモ植えに畑にやってきた。

子ども達が来るにあたって、

サツマイモのクイズや小話から
生物としてのサツマイモの話、そして植え方育て方を
説明するための紙芝居を作った。

最後のページに、私たちが子ども達に一番伝えたいことを書く。

一番伝えたいこと。一番伝えたいこと。

サツマイモのレシピや栄養じゃない。
育て方じゃない。
品種の違いでもない。

やっぱり一番伝えたいのは、

自然は、生き物は、思い通りにならないってこと。
必ずしも成功しないってこと。
失敗することがあって、失敗を悲しんだり悔しがったり、
それを次につなげることが大事だっていうこと。

私たちは、きみ達と一緒に一生懸命お世話をするよ。
でもね、予想外の天候や、獣や、サツマイモ自身の力だったり、
もっといえば、分からないことが理由だったりして
思うように育たないことがあるんだ。
失敗することがあるんだ。

だから、私たちと一緒にハラハラしながら、
いっぱい心配して気にして、育てて欲しい。
そして、頑張ってお世話しても失敗したら、
一緒にガッカリして欲しい。

そういうこと。

思い通りにならないことばかりなのが自然や農業で、
その中で、思い通りにいかない体験をしっかり感じてほしいんだ。

お芋、いっぱいとれるといいね。
でも、正直に言うよ、
それとおんなじ位、思い通りにいかない相手にオロオロして欲しい。

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そして、6月始め。

カラスのいたずらで、何本かの苗がダメになってしまった。
先生に報告し、ウチの出荷用の苗の残りがあるから、植え直すこともできる、と相談すると、

「それが自然相手ということだから、そのままでいきましょう‼」と温かいお言葉をちょうだいする。

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6月終わり。

またもカラスのいたずらで、抜かれたり折られたり、
相当数のサツマイモが枯れてしまった。
先輩農家さんに見てもらうと、こんなの見たことない、と。
(同じ畑の出荷用のサツマイモもひどいもんでした。)

もうここまでになると、子ども達にとっての最低限の収量が見込めないので
(一応食べるまでが授業なので)
ウチのサツマイモから茎を折り、補植する方法で対応することにした。

子ども達に事の顛末を手紙で伝える。

私は、とても驚き悲しかったと書いた。

子ども達に悲しんでほしかった。
予想もしないことが起こるんだなぁ、て感じてほしかった。

種をまいて(苗を植えて)肥料や水をあげて、時が来れば成功の結果が得られる。
半年かけて、そんな授業にしたくなかった。

先生から「子ども達はショックを受けていた。でも、サツマイモの草取りをやってあげたいって言ってます。今度畑にいきます。」
こう連絡をいただいた。

サツマイモと自然を相手にした半年の体験が、
どんなに小さくても、子ども達の人生に、濃い点となったら。

そのために秋まで、試行錯誤していきたいと思う。

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なすとキュウリがとれ始めた。夏がきた。

朝収穫したキュウリを浅漬けにして、
学校や保育所から帰ってきた子ども達がおやつにして食べる。

これって幸せなんだよな、と思う。

(2018.7.15)


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