取材を終えて(南信州サポーター)

in 長野
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農家の方々への取材や記事の作成は、私たち「南信州サポーター」にとって初めての取り組みでした。3 名の農家の方々に取材を行いましたが、3 グループともどんな内容の記事になるのか、当初は想像がつきませんでした。こうしてできあがった記事を読み合わせてみると、意外にも共通する特徴があったのではないかと思います。

 

それは、どの記事も、農家という「人」を見ていたということです。 「生き方」と言ったほうが適当かもしれません。

たとえば、きゅうり農家の横田さんを取材した記事は、農作業体験にとどまらない横田さんとの濃密な交流の中から見えてきた、横田さんの就農に至るキャリアに着目しています。横田さんという農家にとっては、農家という生き方がそれまでの サラリーマン時代との対比として、大きな意味を持っているのです。

【寄稿】農業とキャリアについて考えた大学生の話

次に養鶏畜産農家の 伊豆さんを取り上げた記事では、伊豆さんの畜産に関する技術的な試行錯誤に触れて、そのこだわりのルーツを探ろうとしています。わかったのは、「動物のいない生活は想像できない」という伊豆さんの幼少期からの生活環境と、そこでともに暮らしてきた牛や鶏に対する丁寧な向き合い方でした。

【寄稿】上下水道も通っていない長野の山奥に住む若手の女性畜産農家に密着!

また、「いなっこトマト」を中心とした野菜農家の岡島さんに取材を行なった記事は、岡島さんの経営的な戦略と地元への視点との交点をとらえ、そこに筆者自身の生き方の方向が重ねられます。

【寄稿】岡島農園がみせる「農業」と「地元」 ~飯田出身の私が、飯田で6代続く農家を訪ねて見えてきたこと~

このように、3 つの記事が、意図せずして農家という「人」、つまり農業を通して見える人の「生き方」に焦点化していったのは、もちろん私たちが農業の専門的な話題(たとえば「みたぼら農園」での資料の配合や、「岡島農園」の中玉トマトの育成技術など)を深められるだけの知識や経験を持ち合わせていなかった事情にもよる のですが、しかし、ここにはもうひとつ理由があります。

それは、私たち「南信州サポーター」が、若者としての課題意識や悩みを持った上で取材・執筆に 臨んだことです。たとえば、横田さんを取材したチームの学生は、就職や進路のこと、働き方のことに不安や悩みを抱く学生生活を送る中で横田さんに出会い、取材を行っています。岡島さんに密着した学生は、岡島さんと同じ飯田市出身であり、大学進学のために上京してからも「地元」とのかかわりを考えてきたという背景があります。また伊豆さんについてまとめたチームの学生は、自分を取り囲む環境や人々を大切にする伊豆さんのライフスタイルに自分たち自身が惹きつけられたのだとして記事を結んでいます。これらの記事はすべて、その結論が執筆した学生自身にかえってきています。

さて、この「人」への着目は、「南信州へおいでなんしょ!プロジェクト」が重視する点でもありました。このプロジェクトの中で、今後さらにどのような活動・交流が生まれていくのか、「かたつむりの会」から刺激を受けた私たち学生が今度は逆にそれを農家のみなさんへと返していく番と感じています。

ご協力いただいた NIPPON TABERU TIMES、かたつむりの会、飯田市観光課、飯田観光協会のみなさま、ありがとうございました。

南信州サポーター代表 大野公寛(おおのきみひろ、東京大学大学院)


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