〜裏タケノコ王シリーズ〜
第3弾 呼吸するフェラーリ【前編】
“もうフェラーリはいらねぇ。代わりにオレがブランドになる。”
*
「クワガタで大稼ぎしてフェラーリを買った」たけのこ農家風岡さん。実はその話には続きがあった…。フェラーリを含め1000万円を騙し取られた衝撃の過去。タケノコ王どん底の20代に迫る!
(取材日:2018年3月9日)
◆丸太一本で野生のイノシシに…
森山:「感電注意」という掛札がありますが、これは何ですか?
風岡:今年、電気柵を設置したのさ。これでたけのこの天敵イノシシも竹林には入れないよ。
森山:おお!これでもう野生のイノシシに丸太一本で挑む必要もなくなったんですね。
風岡:あのドキドキ感がなくなると思うと、さみしい気もするね。
森山:どんな野生児ですか(笑)
風岡:さ、森山君、たけのこ探しにいこう。
風岡:あった!
風岡:ここにも!
森山:すごい!ちょっとした穂先を、よく見つけられますね!
風岡:ブ●ーベリーアイ飲んでいるからね。視力は2.5さ。
森山:効果出すぎです(笑)
◆「いいことばかり」は危ない
森山:3時間もぶっ通しで探し続けると、さすがに集中力が切れてきますね。
風岡:毎日この繰り返しさ。テレビではいいところを切り取っているけど、見えてない時間の方が圧倒的に多いからね。誰にも見られない、誰にも褒めてもらえない、そんな時間さ。
でもね、オレはこういう地味な作業が好きさ。いいことばかりあったら、逆に危ないと思った方がいい。
森山:そうなんですか?
風岡:いいことと悪いことは、繰り返し起こる。ある事件がきっかけで、そういう風に考えるようになったさ。今日は、オレが若い頃に経験した、ウソのようなホントの話を教えてあげるよ。
◆悪夢のアナザーストーリー
風岡:20代の頃、当時ブームだったオオクワガタを養殖して専門店を開業したら大ヒット。年に3800万円稼いで、フェラーリを買った、という話は、すでにいろんなところでしているよね。実は、その話には「裏」があるんだ。
これは、若くして成功者になったオレの、悪夢のようなアナザーストーリーさ。
▲クワガタで買ったフェラーリ(当時26歳)
フェラーリを買って3年が経ったころだった。2台目を買おうと、1台目を車屋にしばらく下取りで預けていてね。オレが自分の店で働いていると、友人がやってきた。彼は、見覚えのあるフェラーリに乗っていた。
びっくらこいた。
「オレのフェラーリがなぜここに?!」
それはなんと、オレの愛車だったんだ。話していくうちに謎が解けた。どうやら、車屋が預けていたフェラーリを勝手に売り払い、売却金を自分の店の支払いにあてたらしい。そして、東京に売り払われたフェラーリを友人が購入し、こうして奇遇にもお店にやってきたらしい。
▲実際の写真。自分のフェラーリに乗ってきた友人と
どうしたらいいものか…。途方にくれていたら、救いの手を差し伸べてくれた人がいた。
「車屋の風上にも置けないヤローだ!一緒に売却金を取り返そうぜ!!」
そう言ってくれたのは、尊敬しているアニキだった。怒りを代弁してくれたみたいで心強かっただよ。だから、ふたつ返事でアニキに売却金の取り返しを任せることにしたさ。
でも、そのときオレは知らなかった。差し伸べられた手が、「欲望の手」だということに…
next..フェラーリで1000万円騙し取られる【後編】につづく!
文:森山健太(食べタイ代表)
「裏タケノコ王」シリーズ
第1弾 プロアスリート農家
第2弾 ファイトマネー