漁業社会は、生きる意味だらけ。【生産現場レポ 最終回】

in 東北/青森
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東京の商社で働く、食べタイ読者のももさんが、青森県蟹田のホタテ漁師・高森優さんのもとを訪れました。その迫真の生産現場レポートを、全4回でお届けします。

「フードロス0」を目指す漁師・高森優【生産現場レポ1】

このホタテをずっと食べ続けるには?【生産現場レポ2】

いよいよ漁本番。ホタテ引き上げ【生産現場レポ3】

漁業社会は、生きる意味だらけ。【生産現場レポ 最終回】

 

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「現場のリアル DAY2 〜夜明け〜」

ホタテの引き上げ作業で苦しい中、船上(戦場?)から見た真っ赤な朝焼けがすごく印象的だった。一息も付けない作業の中で、一瞬だけ顔を上げる瞬間に眺める朝日が綺麗で「もっと眺めていたいのに」って思ってた。

港に戻ってくる頃には、もっと日が昇っていて、港が金色の朝日に包まれた幻想的な雰囲気になっていた。ホタテ漁のおこぼれをもらおうと空には鳥たちが舞っている。

「帰ってきた…」と妙な安堵感と達成感。
でも、まだまだ高森さんたちのホタテ漁は終わらない。
今度は船いっぱいに積んできたホタテを1枚1枚選別する。出荷する。日が昇りきってからもまだ作業は続く…船を洗浄する、ホタテを獲り終わった養殖区間の浮きを引き上げる。作業着を真水で洗う。使った籠を洗浄する、乾燥させる、修理する。 やっと落ち着く夕方から夜は、データを収集分析する、色々な人とFBで情報交換をする…

「高森さんは変人だ。」そう思った。
1日同行させて頂いただけでも、体が悲鳴をあげるぐらいしんどかった。合間のお昼休憩では、惇くんと2人で固いベンチの上でも意識を失うくらい寝た。誰がこんなにきつい仕事を好き好んで選ぶのか、続けようと思うのかわからなかった。

 

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そのしんどさから、高森さんがやろうとしてることの意味がじわじわとわかってくる。
これだけしんどい。人手も足りない。
私と惇くんの素人2人が加わっただけでも、「いつもより作業が早く終わって良かったよ。応援ありがとう。」と言われる程の人手不足な状態。
(普段会社で仕事をしていても、システムの導入とかはあっても、新たに人手を投入することで作業の緩和をする状況はあまり見ない。でも、漁業の現場は何かを装置やITで置き換えられる、そんな簡単な環境でもない気がした。誰かが体を動かさないと終わらない。)
完全に担い手不足。
だからこそ、しっかりとした値段でも売れるような、高品質で色んな人に愛されるホタテを作り続けられるようになることが大切になってくる。ちゃんと儲かる漁業の形態が必要になる。

常に変動する環境に泣いたり喜んだりしているようじゃダメ。自然環境も先が読めない状況だからこそ、このまま一喜一憂していては、気づかぬ間に養殖自体が危うい状況に追い込まれてしまうことだってあるかもしれない。
どんな環境にも負けない安定的なホタテ養殖ができる環境を作り上げること。外から人を集めてくるには、そこが最低条件。解は緻密なデータにある、自然にある。
1つ1つの作業が全部繋がってる。
日々の作業を繰り返しながら、まず”変革者”として自分の範囲からできることに取り組む。漁業を変える。職業の1つとして次世代に選ばれるような職業に変える。
だから頑張る。

(2017.7.12)

 

 

 


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漁師 青森県東津軽郡外ヶ浜町