【これから農業をしたいあなたへ】直売所編

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農家 愛知県碧南市

国の政策もあり新規就農者が増える中、個人宅配でなく、産直店舗などを販路とした直売農業をやりたいという人も増えてきているようです。

鈴盛農園は開業してから農産物はすべて直売で販売していますが、上記のような直売所向けスタイルでスタートしています。

そこで感じた事を書いてみます。

難しい話は頭の良い人達が色んなところで情報を出していますので、僕は【直売農家 基礎の基礎】としてこれから農業を目指す人向けに基礎的な事をまとめます。

【ファン、リピーターの確保】

鈴盛農園もスタート時から栽培面積は5倍くらいになり、比例して販売先は店舗数で25倍+まとまった卸先もかなり増えました。

栽培面積が広がり収穫量が増えていく中で、変わらず全量自分で売り切るために重要なのは当たり前ですが出口を確保することです。

既存販売店舗あたりの販売数量を増やすか、販売先店舗数を増やすかですが、もちろん、その両方を同時にやっていくのがベストです。

直売農業は顔と名前と味で勝負です。

それを踏まえた上できちんとした良いものを出し続けていけばリピーターが付くので、真っ当にやっていけば店舗ごとの販売数量は増やしやすいといえるかもしれません。

POPや試食イベント、メディアでのPRなどで新規のお客様を増やし、その中の何割かの方に「ここに来たら必ずこの人の野菜を買う」というファンになってもらえれば分母が大きくなり1日あたりの販売数量がじわりじわりと増えていきます。

ただ、きちんとした良いものを、品切れさせず、一定量毎日出荷し続ける(棚を空けない)というのが実は非常に難しいんですけどね。

 

【直売所は増えている】

新規販売店舗を増やすのも容易になってきました。

まだ私が就農するはるか前に農産物直売所ブームがあり、大なり小なり直売所が乱立したという話を聞きます。

そこからかなりの数が淘汰され、結局JAが母体についているところが多く生き残ったという感じでしょうか?

そしてまた今、農業周辺産業バブルといった状況で、企業の参入による農産物直売所は増加傾向だと思います。

青果卸がスーパーの中に農家の直売ブースを確保したり、農業ベンチャーが参入して農産物直売所の数もどんどん増えています。

相手は手数料ビジネスですのでとにかく契約農家数と出荷量を増やすのが重要。

とくに、長期的な安定出荷が見込める青年農業者はお宝物件であり全身を使って手招きしてくれています。

青年農業者のみなさんは、そこに自分の価値を感じてください。

ということで物流の問題さえクリアできれば、販売店の拡大は問題ないでしょう。

さらに、販売店舗数を増やしていくとドミナント効果も期待できます。

直売農業では市場占有率を意識して販路を拡大するのは知名度向上の効果も大きいですが、逆に飽きられやすくなったり、レア感の希薄化につながってきますので匙加減が重要です。

また、大事なことですが農産物直売所はたいていが委託販売であり、買取ではありません。

つまり、販売店を増やして多くの店に野菜を並べられるようになっても、売れなければまったくお金にならないのです。

闇雲に販売店を広げず、一店一店きちんと腰を据えてファンを増やしましょう。

経験からいって、三ヶ月の間毎日欠品なく、その日売り切れるくらいの適切量の農産物を並べきることができるとぐっとリピート率が上がります。

もちろん、季節物で一ヶ月しかとれない農産物などもありますが、その一ヶ月に全力で取り組み翌年以降の季節の風物詩的なポジションを取っていく事が大事です。

【耕作面積の拡大】

耕作面積の拡大は地域性がかなり大きいでしょう。

後継者のいない中山間地域ではある程度実績のある新規就農者が、この集落は俺にまかせてください!といえばまとめて10haくらいの農地が出てくることもあるでしょう。

農業の盛んな地域や有力な農業法人がある地域では思ったように農地が買えない、借りられない事も多いです。

自治体やJAがどんな動きをしているかなども影響してきます。

ただ、どちらにしてもきちんとやっていれば多かれ少なかれ自然と拡大する事になるでしょう。

どの時期にどれくらいの面積に拡大していきたいかというのは明確にしておくべきです。

【規模拡大に合わせた経営スタイルの変化】

面積を拡大すると収穫量も増えますが当然肥料代、種代、人件費その他諸々コストも増大していきます。

販売先があれば良いのですが、作っておいて売り先がないとなると売り上げが立たないのみでなく諸費用コスト分に加えてそれを処分するコストもかかり、赤字額が増していきます。

ですので、リスク分散のためにこのタイミングで直売農家を卒業して市場出荷や系統出荷も視野に入れるという人も多いでしょう。

直売農家でやっていきたいという人も市場出荷や系統出荷を毛嫌いしてはいけません。

価格はどうであれ、市場は全量必ず買い取ってくれますので、生産量が増えてきたときには大きな販路の一つとして頭に入れておくべきです。

 

ということで今日はここまで。

また次は上記の内容のまとめや加工などについて考えていきます。

気が向いたら。

これから農業をやりたいという人に届きますように。

鈴盛農園 鈴木啓之

(2017.11.01)

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