「ブームに終わらぬ文化を作る」〜人口1万人の街に “シードル文化” を築く男〜

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11月3日〜4日、南信州生産者ツアー(NIPPON TABERU TIMES主催)に登場する、りんご農家の北沢公彦さん。北沢さんは、長野県松川町に「シードル文化」を築き上げようと尽力されている、まさに松川町のリーダー的存在だ。

いま農村に求められるのは、一過性のブームではなく、100年後も残る文化づくりである。地域の特産のりんごを活かし、その発泡酒であるシードルを、文化に高めようとする一人のリーダーを追った。(編集部:上野)

 

シードル文化を作る

―なぜシードルを作ろうと思ったのですか?

若者の果物ばなれや、自然災害によっておきるりんご農家の不安定さを何とかしたい! という思いがはじまりです。はじめはジャムとかジュースを委託で作ってたんだけど……。目の前からりんごは無くなっていくのに、お金になっている実感がない。経営的にあまりプラスにならない。そんなジレンマを抱えていました。そんなときに、世界的にはビールよりもシードルの方が飲まれていること知り、制度や技術的にも作れるようになったのをきっかけに作り始めました。でも、シードルを生産して出荷し始めた2-3年前は「シードル」って単語は認知されてなかった。町の年長者の方なんかは、「シールド」と勘違いしちゃったり(笑)

 

―「シールド」ですか(笑)

だからこそ、「売る努力」をしなければ、と強く思いました。そこで、特に広報活動に力を入れ始めたのです。手始めに松川町の人たち、つまり自分たちがシードルを知ろう、ということで行政や商店街に協力してもらいながら様々なイベントを開いたりしました。ストーリー性を重視するために、シードルも個人個人で作るのではなく、「松川町のシードル」として作ったんです。そうすることによって、メディアに取り上げてもらったりもしました。そうして、うちのりんごでもシードルを作ってみたい!という農家が集まって、松川町全体でシードル文化が作られてきました。

 

―今後の展望は?

いまはシードルの「目新しさ」が引き起こしたブームに支えられているけど、今後は「美味しい」「不味い」という明確な差別化が進んでいきます。そして、私たちの強みはりんごの「生産者」であることです。シードルってブレンドとかりんごの熟度とかによって、まったく味が変わってくるんですよ。ここの調整は、りんごという原材料からこだわることのできる「生産者」にしかできませんから。

 

松川町のリーダーとして

―いろんな方から「北沢さんは松川のシードルのリーダーだ!」と伺ったのですが。

ありがとうございます(笑)。そうですね……。「いいものを作ること」「売れるものを作ること」この二つを達成するためにいろいろな仕掛けをしたことでしょうか。やっぱり、シードルを売るためには、シードルを知っている人、シードルに関わっている人を増やさないといけないんですよ。なかでも、行政・地元商店街・飲食店・町外のシードル関係者とのつながりもとても大切にしています。

 

―リーダーとしていま特に考えていることはありますか?

やっぱり、今後の「りんご農家」についてですね。いま、後継者がいなかったりして、放置園がどんどん増えてるんですよ。その一方で農業をやりたい若者の数も増えてる。これは一見いいことに見えるんだけど、果樹の技術って大変なんですよ。生食用の、しかもちゃんと売れるりんごは簡単には作れない。そんなとき、「シードル」の存在が加工用のりんごの価値を高めて、結果として新規のりんご農家が生計を立てられるようになる。そんな流れをつくっていけたらな、と考えてます。

 

―今後、松川町をどのように引っぱっていこうと思いますか?

引っぱっていきたいとかはないかな(笑)。でも、一緒に盛り上げていきたいですね。この町にシードルを求めて人が来てくれる。そうなったら最高です。いろんな農園を歩き回って、その農園のシードルを飲む。「究極の贅沢」じゃないですか。やっぱり、買ってくれる人と作ったと人が、顔を合わせて交流できるのは、幸せなことですからね。

 

 文:上野裕史(食べタイ編集部・早大3年)

 

そんな北沢さんの農園でりんご狩りやシードルを飲むことができるツアーを開催します!

【北沢さんに会える南信州ツアーのお知らせ】

\\南信州の生産者と交流できる1泊2日の旅//
「NIPPON TABERU TIMES」は南信州(今回は飯田市、松川町)の生産者と交流するツアーを企画しています。

このツアーでは、収穫したりんごが、あなただけのプレミアムシードルになって返ってきます。北沢さんの農園をはじめ、近隣の農家さんのもとで収穫したりんごを、同じ地域のワイナリーで醸造していただき、出来上がりを来年お届けします。

また、夜には南信州のシードルを10種類ほどご用意し、生産者との懇親会を開催します。ただの農業体験、ただの観光旅行の枠をこえた「人(生産者)」との出会いを味わえます。

残り枠もわずかになってまいりました。みなさんのご参加をお待ちしています!

ツアーページはこちら(VISIT 長野県)

 

 

 

 


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