東京の若者的には「3割農業」が良い。【食べタイ若者座談会 vol.1】

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6月4日(日)に、本気で農業の未来を語り倒す「若者座談会」が、日本食べるタイムスとよんあーるの共同主催で開かれました。テーマは、【なぜ若者は農業に惚れるのか?】。

「なんとなく・・・」という直感で、今まで一次産業に関わりのなかった若者の目が少しずつ農業に向かっています。若い世代が惚れ込む「農業」は、従来の農業と同じでしょうか?

首都圏7大学の大学生と20代の社会人による、キレイゴト抜きの農業談です。

 

「なんで、就農しないんですか?」

農水省の職員さん:

いきなりですが、身も蓋もないことを聞きますよ。今日は「農業が楽しい」という若い方々が集まっているわけですが、一体どういう進路に進んでいくんですか?「大好きな農家さんのことを伝えたい」「野菜で商品開発したい」と意気込んでいる皆さんは、結局どうするんですか?

 

小野寺萌(食べタイ編集長):

オブラートに包まずにいいかえると、「農業への興味を持っているにもかかわらず、なぜ就農しないの?」という課題提起ですね。これに対して、すぐに就農じゃない未来もあるんじゃないか、と応答されたのがGOBO代表の阿部成美さんですね。

(以下、敬称略)

「農業という働き方の可能性を広げたい」

阿部:大学を出て就農しなかったのは、いま就農したところで何が変わるかが見えなかったからです。若者の就農率が数%上がったところで、もっと根本的に「外」の知恵を入れないと農業に明るい未来が見えないと思った。そこで、まずは人を繋ぐことを学ぶために広告代理店にいきました。GOBOには、農業が好きだけど、あえて様々な産業で研鑽している同年代の友人たちがいます。

 

大野:私もその一人です。ITベンチャーで働いていますが、それは最先端の技術以外にも、「最先端の働き方」が学べると思ったからです。

現場では、「働き方」が変わってきたなあと思います。私の会社はフレックス制で、成果を出せば会社に来なくてもいいと言われます。残業するにも、その時間でお客さんに価値を提供できているの?と厳しく問われます。

「最先端の働き方」をとらえた上で「じゃあ農業は仕事としてどんな可能性があるの?」と問えば、就農の議論はもっと面白くなる。それは今日、私たち若い世代が考えられるものだと思います。

 

「3割農業という可能性」

小野寺:私ね、農家を目指して諦めた勢なんですよ。一度、田んぼを開墾したことがあって、初めは楽しかったんですけど、だんだん言葉数も減ってきて、夕方に「やっと終わっだぁぁ、、」と死ぬ思いで倒れ込んで、パッと目を開いたら、そこらじゅう田んぼなんですよ。

(画像:のうもえ日記「ちょい荒れ田んぼが、先祖に「様」をつける意味を教えてくれた」より)

「先祖ぉぉぉ、、どんだけすごいねん!!」と。それから、先祖に「様」をつけるようになりました。自分ができなかったからこそ、農家さんを尊敬するし、感謝するようになりました。

肌感でいうと、暮らしに農業を入れるなら、3割くらいが適正だったんだなと。3割農家で生活できる仕組みをなんとか作れないもんだろうか?

 

若者一同:いいですね〜〜〜!!

(終了後の餃子懇親会のようす)

 

小野寺:3割農業だと、「一緒にやる仲間」が必要だよね。ひとりじゃなく、みんなでやるから楽しいって、すごく若者的な感覚だ。

 

松浦:たとえば4〜5人で組んで、週3は地方で畑を耕します、週4日は会社で働きます、というのもありですね。やり方は無限にありえますけど、たしかなことは、これって「農家」じゃないですよね。生産はしているし、サラリーマンもしているし・・就農の新たなスタイル。なんて呼んだら良いんでしょうかね。

 

大野:3割農業は、農業における「最先端の働き方」を作る挑戦かもしれないですね。

 

小野寺:会社の福利厚生で「3割農家になれる権利」とか面白いよね。

そうなっていくと農家さんの役割がぎゅっと広がると思ってて。地方に住めるシェアハウスを作って農業やる時に、地元の農家さんにレクチャーしてもらう。農家さんが「教師」や「コンサルタント」になって副収入にもなる。法人化すれば、主収入になる可能性だってあります。

 

「なんとなく楽しい!が就農の裾野を広げる」

阿部:私も3割農業に賛成なんだけど、ある農家さんから「君たちみたいな関連産業の人ばかり盛り上がっているけれど、農家が減っているのはどう思っているの?」と聞かれて答えられなくて・・みんなどう思う?

 

森田:「ぽてと」という農業サークルを4年前に立ち上げて、驚いたことがふたつあります。

まず、びっくりするくらい若者が集まった。集まりすぎて、猫の額ほどの畑を、70人ですし詰めになって耕したんです(笑)。

次に、本当に農業をやりたくて来ている人は残念なほどいなかった。「なんとなく畑に来て面白い」という学生たちが多かったんです。この出来事を前向きにとらえれば、今の若い人には「農」に関りたい潜在層がいるということ。うまく仕組みを作れば、どわっと流入してくるなと感じます。

 

松浦:つまり、「就農率と、農業に興味のある人の母数、2つあるんじゃないか」ということですね。たとえばバイクを仕事している人は少ないですよね。その数を増やしたいなら、より広い層にリーチして、そもそもバイクを知っている母数を増やそうという議論が必要なんじゃないかと。

養蜂家の後継ぎの巽くんを例にしてみると、こんな感じです。

 

阿部:たしかに、もっとライトに関われる農業ってあってもいいと思う。ジャストアイディアだけど、「畑八百屋」はどうかな。畑で収穫する体験型の八百屋が東京にあれば、ワクワクしながら農を身近に感じる若い人が増えるのではないかと。

 

小野寺:今の農業に「楽しい」を入れるなら何か、ということですね。ちょっと上の世代と話すと、「なんとかすべきだ!!」と振りかざされるけれど、この世代で集まると、「楽しかったら言われなくてもやるでしょ」になる。

 

松浦:めっちゃわかります(笑)。

 

「理想ばっか語るな!と思いました」

増田:日本の農業の生産性が上がらない理由のひとつは、中山間地だからですよね。中山間地は、生産には向いていなくても、文化としての農業にはうまく利用できるんじゃないですかね。
ぼくは就農は選択肢になかったけど、ライフスタイルとしての「農」はすごく良い。定年してからじゃもったいないと思うので、本当は30歳くらいで踏み込みたいです。

 

小野寺:それは新たなビジネスになるかもしれないね。「30歳から3割農業を始めるためのパッケージプラン」、みたいな。文化としての農業は、若者がお金を払う産業になると思うな。

 

内田:あの〜、、みんながみんな文化ばかりやったら、生産がおろそかになって、それこそ国産の野菜食べられなくなるんじゃないですかね。

手のひらを返すようですけど、いまぼくたちが考えているのって、直接の生産ではないですよね。ぼくらはこうやって理想を語っているけれど、現実的に頑張って日本の野菜を育ててるのって、誰かって考えると・・。なんか不平等だと思いませんか?

 

若者一同:う〜ん、たしかに。

 

小野寺:これは次回の宿題ですね。

 

森田:いずれにしろ、農業がもっと儲かる産業にならないといけないと思うんです。何かしら利益を出さないと、ぼくらの大好きな農業が消えてしまう。

ただし、その生き残り戦略は思ってる以上に色々ある、というのが今回の気づきでした。「生産」として儲かるのでもいいし、「生産」以外で儲かるでもいい。この結論が、農家の次世代の働き方につながり、めぐりめぐって、冒頭の新規就農問題への回答にもなると思います。

文責:森山健太(食べるタイムス編集部)

 

★次回の座談会のご案内

“3割農業”という生き方を提言した本座談会では、

「農家さんがいなくなってしまっては元も子もない」という課題が残りました。

そこで、10年後の農家のあり方を考える若者座談会を開催します。

会場は、首都圏から若者が集まる農園、秋庭農園。

3割農業に共感しつつ、現実に生計を立てる秋庭さんご夫婦と

「農家未来会議」をわいわい楽しみます!

イベントページは、こちらから  ↓

 

*座談会の様子は、毎日新聞(全国版)でも特集されました!
https://mainichi.jp/articles/20170614/ddm/008/070/069000c

 

*「GOBO(次世代の食と農を面白くする社会人集団)」についてはこちらから
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