「思いを伝える」時代から「思いが伝わる」時代へ

in 宮城/時代をよむ/東北/生産の哲学
この記事の書き手
農家 宮城県大崎市

昨日は今年遅ればせながら初参戦の「朝市夕市ネットの定期市」。

テレビ放映直後ということもあり、多めに持って行った「よっちゃんなんばん(※高橋さんの商品)」もあっという間に完売。市内の卸先を案内したらそこも品切れらしく注文ラッシュ。ありがたい。順番にお送りしますので少々お時間をください。

この「朝市夕市ネットの定期市」がすごい。
活動歴22年。”市場流通”が中心だった当時、「生産者と消費者の対面販売」という分野では先駆けの存在でした。「畑と台所をつなぐ」 というコンセプトのもと、作り手と消費者が対話してつながる場所として始まったそうです。

シンプルで飾り気のない定期市ですが、生産者とお客さんにしっかりとコミュニケーションがあり、小難しいこと抜きにつながることができます。スペシャルな農家の面々が参加していますが、やはり高齢化にともなっての出店者が減っているという課題はあります。出たいひといませんかー!? 初年度は優遇ありです。

—–
そして昨日は、この定期市のメンバーの食材のうまい料理を食べながら懇親会。

このメンバーでマルッと新しく楽しい試みをしたいと思い「お弁当づくり」を提案してみたらみんなノってくれて、早速来月から試運転をはじめることに。まずは「朝市夕市ネットの定期市」に出店する生産者ためのケータリング用のお弁当から始めます。お弁当を作っていただくのは、定期市の面々がつながっている野菜の納品先の食堂の方やレストランのシェフ。ちょっと多めに作ってもらい、無理をしない範囲でお客さんにも販売する予定です。

そんな野菜育てる人、料理する人、食べる人 の姿が見えて、お互いに理解し合っているような関係性をもつこと。そして情報を「伝える」ではなく「伝わる」カタチにしていくことが、これから必要なのかな、と思うんです

 

思いが「伝わる」関係を築くこと = Small Life

普通、モノを売りたいと思ったら商品をアピールをしますよね?
取材を受けれたら良いところを話すし、書く方も良いように書きがちです。

そんな「作られた良い場面」を発信するようなものではなくって、作り手と話したりすると自然と伝わってくるような情報。アピール用の特別な言葉で取り繕われていない情報を伝えることが必要なのかなと思うんです。

私の中には「物々交換」が昔から理想としてあります。 でも昔に戻ることは難しいですから「物々交換のような距離感」で売り買いするイメージでしょうか?

私は、毎日話をして信頼している友人のような関係の農家の野菜をついつい買ってしまいます。
作り手が「商品のアピールポイントをしっかり伝えなきゃ」 って構える関係性じゃなくって、 「あれ、もう俺のことわかっててくれてんだ?」 って思っちゃうような関係。それが「物々交換のような距離感」です。食べものって毎日食べるものだからこそ、商いの中でも飽きない(笑)信頼関係が必要だと思います。

今は流通が複雑になってしまって、モノに込められた作り手の意気込みや哲学が伝わりづらくなっています。だからせめて、作り手(農家とか)と伝え手(小売店とか)のつながりはシンプルであるべきなんじゃないか、と思っています。

お世話になっている卸先のひとつで、オーガニックショップGAIAというお店があります。そこに最初に行ったときはとても感動しました。とにかく「産地や作り手としっかりつながって伝える」というのをシンプルにやっているお店。マニュアルとかではなくって、人がちゃんと生きている仕事をするんです。そういうところから、私も教えられています。

 

思いが「伝わる」商品を生み出すこと = Small Work

震災前後からずっと「農業の流通が変わる変革期」だと感じています。

本当ならそのずっと前、直売所ができ始めたあたりが流通の大きな変革期だったはずなのですが、大半の農業者にとっては納品先が「市場(農協)」から「直売所」に変わっただけでした。

直売所の出現は、「自分で自分の売り先を持とう!自分の商品をアピールしよう!」という伝”え”るフェーズに向かった変革期だったと思います。今は伝えるから伝わるフェーズになってきたと思います。

今は、農家になるにしろ大農家からミニ農家まで、選択肢がすご〜く広がっています。だからこそ農家個人でもグループでも「何がしたくて、どういうモノを、どこに売って生活をしていくのか」を、まず足元見ながら自分で考えられる時期になってきたと思います。そこで考えたことが、実際にモノに込められる作り手の意気込みや哲学になります。それがお客さんに自然と伝わる価値になっていくんだ思っています。

 

Small の時代

直売所が出現して、インターネット社会も成熟して、ガラガラと仕切り直し時期に突入し、それまでの常識は変わりつつあります。どっかにくっついていけば安泰という時代は終わっています。

だからこそ、Small Work(伝わる関係性)とSmall Life(伝わる価値の深堀)を作る時間をとことん作りたいと考えるわけです。情報すら消化してかないとという世の中だからこそ、生身のアナログ情報が必要な気がするんです。

そういう意味でも「朝市夕市ネットの定期市」のメンバーは、危機感も持ちながらもバリバリな面々なので、共有も早いのかな?どう育つのか楽しみです。

—-

さて、畑作業も大詰め。秋彼岸から春彼岸まで、という竹林の間伐適期も終わりつつあります。
今はいっている竹林はいい筍が取れる地帯なので、竹も太くてそりゃ〜〜重いのだ。

ここの竹林は、ギリ粘って来週まで間伐予定。
気持ちが急くので疲労もいっぱいだが、今はとにかく時間が惜しい。

もっともっと、今立ってる場所の、奥深くに潜る時間が欲しい。

(2017. 3. 16)


➤この農家・漁師のプロフィールを見る
農家 宮城県大崎市