「あの人もこの人も新規就農者」問題

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農家 愛知県碧南市

毎年、人参の出荷が終わる3月と人参の種蒔きが終わる9月上旬はまさに満身創痍。

心臓も不整脈が出るわ乾いた咳がずっと止まらないわで大変です。

もう腰痛なんて限界超えてぎっくり腰どころかぎっくり背中で寝転がるのも苦痛なくらい。

寒い中の袋詰めは手にダメージがあって、爪がべりっと剥がれました。

疲労で身体の抵抗力が落ちているのかそこに菌が入って指先が腫れ上がって、激痛と共に指に心臓でもついてんじゃねーかというくらいドクドクいってます。

林君に斎藤君、岩間さんとみんなが農作業を頑張ってくれているおかげでこれくらいで済んでるのかもしれません。

農業はね、なんでもかんでもいいことばかりじゃありませんよ。

農作業で身体はボロボロ、

経営の事で悩まされる事があれば精神的にボロボロになる事も。

他の事業と同じです。

農業だからいつも心穏やかでゆったりのんびり自分らしい時間が過ごせるなんてことはないんです。

春になると暖かくなって、冬の間にかたくなっていた身体がなんとなくウズウズしてくる。

こんな時期は

「そうだ、農業やろう」

という人が増える。

甘い考えならやめたほうがいいです。

僕は日頃から農業の魅力を伝えていく事を意識していますが、自営農家を増やすべきだとはまったく思っていません。

闇雲に新規就農者が増えるのも困り者です。

実は新規就農者って別に若者の事だけを言うんじゃないんですよ。

定年退職後に趣味的に農業を始める65歳以上の人も新規就農者です。

これから農業の世界でがんばって稼いで、結婚して子供を産んで生活を成り立たせていくんだ!

という若者も、

定年まで会社員としてがんばって稼いできたし退職金でお金に余裕もある。
子供も成人して自由な時間だらけだから土を触ってのんびり生きていこう。

という人も同じ「農家」「新規就農者」として語られます。

『新聞を拝見しました。

私もあなたと同じ新規就農者で、小さい畑ですがこれから無農薬で野菜を作っていこうと考えています。

そこでぜひ一度貴殿の畑を見学させていただけませんでしょうか。

○○市在住 65歳』

なんて連絡が来るとなんだかガックリくるんです。

年齢がどうのこうのいうつもりはありません。

60歳でも70歳でも、何歳になっても立派な経営をされている尊敬できる大先輩は何人もいますから。

新規就農者という言葉の曖昧さにガックリくるんです。

鈴木君と同じ志を持った若い新規就農者を紹介したい!

だとか、

鈴木さんと僕の考えはまったく同じなんですよ!気が合うと思うんで話聞かせてください!

だとか、そんなのが山ほどありますが似て非なるものがはっきり言って多すぎます。

若い、新規、直売、無農薬、多品目…

そんなキーワードの中からいくつかがヒットしただけで一緒にされると正直迷惑なんだよなと思うような輩もいます。

たとえ志が同じであろうとなんの行動もせずに夢や理想だけ語る人間を、「鈴木君と同じ考えの若者だから」と紹介されると、

俺もまだまだこんな程度の努力レベルの人間と同じだと思われてるんだな、もっとがんばろうと思います。

別に天狗になっているわけではありません。

若者が農業やってるってだけでなんでもかんでもごっちゃにしたがる風潮への警告です。

やっぱりきちんとやることやってる人とじゃないとまともな話もできません。

うちにも働きに来てくれていた吉田さんという女性は新規就農者ですがバイタリティも凄く、勉強熱心で尊敬できる人です。

そういう人は大歓迎です。

さぁ今日は辛口でした。

ドキッとした人もいましたか。

なんだよコイツと思った人もいましたか。

おじさんってのは口うるさくなるもんですからね。

おじさんらしく苦言を呈させてもらいました。

来年度は淘汰の年です。

あなたの身の回りの新規就農者が何人も消えるかもしれませんよ。

農林水産省の統計を見るのが楽しみです。

(2017.3.17)


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