「何者にでもなれる職業です」夢のカフェを計画中の農業女子に聞いてみた

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== NIPPON TABERU TIMES × Agric2018 コラボ企画 ==
「農家の先輩にインタビュー!」

農業・アグリビジネス業界の就職・転職フェア「Agric2018」が3月25日(土)に東京・竹橋にて開催されます。
Agric2018の「先輩トークショー」に登壇される、農家の先輩から、学生視点でお話を伺いました。
▶︎イベント詳細・参加申込はこちら http://agric.agri-connect.co.jp/

 

\こちらの農家さんに聞きました/
vol.2 殿倉 由起子さん

長野県でブナシメジとりんごを栽培する専業農家の娘として生まれた。
大学はイギリスへ留学。帰国後は東京で就職し、そこで出会った同僚と結婚。
彼の「田舎暮らしをしたい」という思いから実家へUターンし就農。
現在は就農5年目。長野県では女性初の4Hクラブ会長を務める。

実は、農業がすごく嫌いでした

農家の長女として生まれて・・・。
子どもの頃は、農作業をお手伝いされていたんですか?

すごく手伝わされてましたね。

リンゴ農家だったので、リンゴの花摘みとか、花粉をつける作業とか。おかげでリンゴの花粉症になりました。
とにかくリンゴ畑に行くとかゆい。すごい嫌でした(笑)

 

嫌だったんですか?

そうですね。休みもお小遣いもなかったですし。
高校が進学校だったので「勉強するから」って言って、全く手伝わなくなりました。大学でイギリスに留学して、地元を出ました。就職も東京の外資系ホテルのフロントとして3年働きました。ホテルでの仕事は天職だと思って働いていました。いろんな人と出会えるのが楽しかったです。

 

カフェだったら・・・やってもいいかも

地元へのUターンのきっかけはなんだったんですか?

銀座のホテルの同期だった、今の旦那と結婚したんです。彼には「田舎暮らししたい、農業したい」という思いがあって。

 

実家にいる家族の反応はどうだったんですか?

反対されましたね。「夫婦で食べていかなきゃいけないから、すごく大変だよ、本当に大丈夫なの」って。

そんなときに東日本大震災が起きました。それで親にも「都会にいるよりも、田舎のほうがいいんじゃない、帰っておいで」言われるようになって、2012年に就農しました。

 

どんな再スタートでしたか?

地元がもともと好きじゃなかったし、農作業も全然やる気がなかったので、最初はモチベーションもあんまり上がらなくって。

 

そうだったんですね・・・。

ただ、将来は自分の畑でつくった農産物をだせるようなカフェをやりたいと思ってました。だからUターンする前後は野菜ソムリエの資格をとったり、起業塾に行ったり。

とにかく自分がやりたいこと全部やってみようと思って、いろいろなことに手を出しました。

 

頑張る同世代と出会ってから、農業が楽しくなった

農業に対するイメージが変わるきっかけはあったんですか?

いろんな人とつながることができるって気づいてから、農業が楽しくなりました。

 

人とのつながり?

「かたつむりの会」という地元の農業青年の会に出会ったんですよ。
若い同世代の人たちが農業頑張ってるんだって初めて知りました。

「この人たちと一緒にやりたいな」とか「やるんだったら負けたくないな」って思いました(笑)。

 

負けたくないとは?

生産量とか規模とかでは全然負けるかもしれないけれど、自分の強みを活かしたら、負けないところはあるんじゃないかなって思っています。

例えば、野菜ソムリエの資格を活かしながら、横のつながりっているのを広げていくのが私は得意だし、楽しいなって思っています。
野菜ソムリエのイベントで出会って、意気投合した女性と、「南信州ベジフルユニット YUISAI」を組んでいます。

彼女は農家じゃないんですが、お互いの足りないところをプラスしあえるすごくいい関係です。お互いがお互いの得意な部分を尊重することが活動にプラスになっています。

「南信州ベジフルユニット YUISAI」では、どんな活動をしているんですか?

新聞の地元版のページで野菜果物のコラムを担当させてもらったり、野菜講座やったり、自治体に呼ばれて講演会やったり…いろんなことやってます。

地元の生産者にスポットをあてたイベント「地のやさいを味わう会」の企画運営もやっています。


どんなイベントなんですか?

地元のレストラン貸し切って、生産者さんに話を伺いながら、その方の野菜を使った料理を食べてもらうイベントです。

イベントに参加した方はどんな反応でしたか?

やっぱり喜んでくれますね!
「地元の生産者さんを初めて知った」とか、「こんな食べ方があるんだ」という声をいただいています。イベントに来てもらったことで地元への知識が広がって「もっと地元の野菜食べよう」って気にしてくれている人が増えてきていると思います。

 

農家という枠を飛び出して人とつながる。つくる人と食べる人もつなぐ。
「つながり」がキーワードなんですね。

人とつながるようになってから、将来やりたい「カフェ」のイメージも変わりました。自分で育てた農産物を使って、自分で料理してもいいんですけど。今は、まわりの人たちにもお金がまわるような仕組みでカフェをやりたいなって思っています。

長野県の4Hクラブ会長をやるようになってからは、全国で活躍しているような農家の人たちとも出会うようになりました。色々な活動を始めてから、農業界だけじゃなくて、飲食店、街づくり関係、行政の方々とかも。
つながった人からは、また新たな人を紹介してもらったり。いろんな人と出会っていくと、もっともっと楽しい。
農業は、無限に人とつながれる職業です。

人が人を呼ぶんですね。

私自身も、長野県の同世代の農家が集まる4Hクラブの会議に行き始めたころは、行って話をするだけで「明日からもっと頑張ろう」って思えたんです。

今は自分が4Hクラブの会長なので、私がみんなにモチベーションを与えるようになんなきゃいけないなって思います。
そうなってるかわかんないですけど。(笑)

 

シードル醸造所つきのカフェ、オープンします

これからの活動の展望は?

実は、サイダリーカフェを2年後にオープンしようと計画中です。
起業に向けて、走り出しました!

 

なんと!

りんごのシードルの醸造所つきのカフェの予定です。
もともとお酒が好きだし、自分でリンゴのお酒つくりたいなって思い始めて。

 

どんなカフェにしたいですか?

農作業体験のあとに、お酒飲んでもらって、ゲストハウスに泊まってもらってもらえるようなイメージです。

地元のレストランや他業種の方々と連携しながら、やっていきたいなと思っています。ぜひ来てください!

何者にだってなれる

就農して初めの2年くらいはほんとにきつかったんですよ。若い農家たちに出会うまでは農業やめたいって思っていました。

でも、人と出会って、農業を好きな仕事にできた。
だからこれからは農業という産業が「楽しい仕事を生む場」になっていくといいなって思います。

 

農業が「楽しい仕事を生む場」になるとは・・・?

農業って、すごく個性が出るんです。
ひとりひとりやってることが全然違うんですよ。

一日中畑にいるのが好きな人もいるし、売るための戦略を考えることが好きな人もいる。
パッケージのデザインを考えることだって農業の一部だし。
経営者にも、広報にも、デザイナーにもなれる。

農業の中に、自分が好きなライフスタイルが見つかるんじゃないかって思います。農業は、やろうと思ったらなんでもできる職業です。

 

なるほど!

人とのつながりもライフスタイルも無限大に広げることができる、何者にでもなれる職業です。

農業は可能性を秘めた職業だと思います。興味がある方は、ぜひ勇気をもって一歩踏み出してみてください。
自分の好きな農業との関わり方が見つけられると思います!

(2017. 3. 10)

※(3/13修正)一部記述にありました。お詫びして訂正いたします。


農業・アグリビジネス業界の就職・転職フェア「Agric2018」が3月25日(土)に東京・竹橋にて開催されます。

今回インタビューした殿倉 由起子さんは【特別座談会1】農業女子のワークライフバランスに登壇し、参加者と座談会を開きます。
殿倉さんと直接お話できるイベントです。
申込・イベント詳細はこちらの「Agric2018」のホームページをご覧ください。
http://agric.agri-connect.co.jp/


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