「農業は成功できる職業です」世界一周から農家の道へ進んだ男

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== NIPPON TABERU TIMES × Agric2018 コラボ企画 ==
「農家の先輩にインタビュー!」

農業・アグリビジネス業界の就職・転職フェア「Agric2018」が3月25日(土)に東京・竹橋にて開催されます。
Agric2018の「先輩トークショー」に登壇される、農家の先輩から、学生視点でお話を伺いました。
▶︎イベント詳細・参加申込はこちら http://agric.agri-connect.co.jp/

 

\こちらの農家さんに聞きました/
vol 1.坂下理人さん

外資系製薬企業の営業職に勤めた後、退職。
世界一周の旅にでる。
帰国後新規就農し、2年目で売り上げ1000万円を達成。

農業の魅力を「インディペンデント」「クリエイティブ」「成功できること」と語る坂下さん。
食べタイ学生編集部が、その生き方に迫りました。

 

旅で出会った「自分の生き方」

僕、通勤ラッシュがダメなんですよ。これはもう辛いと思って、神奈川の自宅から渋谷の高校まで、自転車通学を始めたのが全ての始まりです。

自転車にハマって、旅をするようになって。旅で出会う大人たちって、なんか自由なんだよね。フリーのデザイナーさんとか、自営業の社長さんとか「自分の考え方」を大事にしてるような人たちが多かった。彼らから「自由な生き方でいいんだ」って勉強させてもらったところはあるね。

 

−「自分らしく自由に」という生き方はそこから始まったんですか?

ただ、私立の大学だったし、就職しませんっていう訳にもいかなくて。サラリーマンやったらやったで何か変わるかもしれないなって思いもあった。ちょうどそのころ勝ち組・負け組っていう言葉が出てきた時期で、「自分で自分の道を切り開く」っていう成果主義のハシリの時代だったの。

どうせやるならキツいところがいいなと思って、外資系の製薬会社の営業を選びました。

だけど、転勤も多くて、マイホーム買っても帰れない先輩たちを見てたら「なんか違うな」って思いはじめて。サラリーマンだと会社から影響すごくうけちゃうから、自分の人生を自分で決められないんだよね。僕の場合は一回そう思っちゃうと、モチベーションがあがんないというか、仕事がめんどくさくなっちゃって。(笑)3年で退職して世界一周の旅に出ました。

 

−なぜ世界一周に?

「将来的には農業やりたいな〜」って思ってたから。農業やるんだったらもう旅には出れなくなるから、じゃあ行きたいとこ全部行っとこうって、それで世界一周ををスタートしたって感じかな。

 

−世界一周する前から、農業の道に進むことは決めてたんですね。

そうそう。こないだ大学の同期と久々に会ったら、大学時代から農業のこと言ってたんだって。「これからの農業はビジネスチャンス大きいぞ」って話してたみたい。僕は覚えてないんだけどね。

 

独立就農2年目で、売り上げ1000万円を達成

世界一周中にインターネットで探した研修先に行きました。

今みたいに新規就農の給付金の制度もなかったから、とにかく節約してた。家賃2万円のいつ崩れてもおかしくないような本当にボロいアパートに住んでました。(笑)

 

−就農の1年目は、どんなスタートでしたか?

法人での研修期間は、収穫の作業要員みたいな感じだったから、独立して自分で畑をまわすには決定的に技術が足りない状態だったんだよね。もうやりながら覚えるっていう感じ。

 

−やりながら覚える・・・。

それがなかなかうまくいかないよね。

あれやりたいこれやりたいって思っても、実際できない。例えばミニトマトって、水を切ると甘くなるっていうじゃない。でも最初っから水を切っちゃうと、根が張らなくて逆に弱っちゃったりする。だから徐々に水を切らなきゃいけないんだけど、そこまで手が回らなかったり。

ちゃんと成長しているのか、止まってるのか、問題があるのかがわからない。技術的にも経験的にも欠損だらけの1年目でした。

 

−1年目の売り上げはどれくらいだったんですか?

1年目が200万くらい。2年目で1000万を越えました。

 

−なんと!一気に5倍ですか!?

とにかく「3年で1000万越えよう!」という目標で、がむしゃらにやっていました。それくらいやんないとジリ貧になっていくなって思ってたから。

 

−どうやって達成したんですか?

とにかく規模拡大。

とにかく人を集めて、がむしゃらに畑を拡大しました
作業人数さえ集まれば、1000万は簡単にいくんだよね。

ちょっと大きな古い民家を買って、研修生とかアルバイトの人が何人も入れるようにがっつりリフォームしたよ。

 

PDCAとはちょっと違う「観・察・行」の心得

−サラリーマンと農家で、働き方の違いを感じることはありますか?

サラリーマン時代はPDCA(※計画(plan)、実行(do)、評価(check)、改善(act)の仕事のサイクルをまわしていたんだけど、作物を育てる上では「計画」があんまり通用しないんだよ。

 

−計画が通用しない?

年間を通して大きな計画は組むんだけどね。
日々の作業に関しては、計画があっても、どのみち崩れる(笑)

 

−じゃあ、計画を立てないんですか?

スタート地点は「観る」ことなんだよね。
「観・察・行」のセオリーを僕の従業員たちには話しています。

 

−「観・察・行」?

野菜は生き物なので、毎日毎日表情が変わる。

毎朝、トマトのハウスの中をガラっと開けるでしょ。
日によって「今日は機嫌イイな〜」とか、「あれ?なんなのこの雰囲気の悪さは」とか。(笑)


毎日野菜の表情が違うから、まずはパッと観て、じゃあ今日は何をしようかって決めていくのが基本的なセオリーかな。
なにか異常があったときの対応は、早ければ早いほどいいことが多いしね。

−なるほど〜!
そしてトマトがおいしそうです。
つまみ食いしそう・・・。

つまみ食い、するする!

 

−するんですか?

腹も減るしね!(笑)

収穫中は、味をちゃんと知らなきゃいけないから。味だろうなって想像しながら採るのと、まったく知らないで採るのとでは違う。
一番いい状態のトマトを採ってほしいから「どんどん食って」って従業員の皆には話してる。
目で見て、食べてみて、この色合いだったらこんな味だなって覚えるには、つまみ食いしたほうが早い。

 

−なるほど!

でも100人トマト農家がいたら、全員違うことしてる。みんな言ってることも全然違うんだよね。それがおもしろいなって思う。

品種によっても畑によっても全然違うから「こうすればうまくいく」っていうのがない。

彼らは彼らの畑の現実があって、それが全部正しかったりする。そうやってお互いインスパイアされたり、「この技術はうちでもできるな」とか考えるのが面白かったりしますね。

 

伝えたい。独立就農の3つのススメ

−スバリ、独立就農の魅力を教えてください!

1つ目は「インディペンデント」なところです。

 

−インディペンデント、とは?

自分が社長である以上は、自分の考えが正しいと思ったことを決断していく。

誰かの影響を受けることがあまりない。何を作るのも自分の自由なんだよ。自分の経営の中で「この野菜を作りたい」って思ったときに、たとえ誰かが頭ごなしに「やめとけ」って言われたとしても「知ったこっちゃねーよ、自分がやりたいことやるんだ」って言えるところ。

 

−旅をして気づいた「自分の考え方を大事にする生き方」、とつながっていくんですね。
2つめは何ですか?

クリエイティブ」なところです。

こんな作り方をしたらどうだろうとか、この組み合わせでやってみたらどうだろうとか。一つの畑の中でいろんなコンビネーションが組めるから面白いよ。

土作りをしながら、経営作物も作らなきゃいけない。じゃあどうやって畑を回せばいいかなとか。
考えて行動するのが面白いです。

 

−なるほど!
最後の3つめは何でしょうか?

自分次第で「成功できる」ところです。

農業ってそんなに悪くないよって伝えたい。

そこまで3Kでもないし、世の中のほうがよっぽどキツいぞって思う。(笑)
大自然の中で働けるって結構癒しだし、精神的にはすごい楽だしね。そういうことは、みんなに知ってほしから。伝え続けようって思ってます。
「インディペンデント」「クリエイティブ」「成功できる」こと。
この3つを、若者には伝えていきたいです!

(2017. 3. 8)


農業・アグリビジネス業界の就職・転職フェア「Agric2018」が3月25日(土)に東京・竹橋にて開催されます。

今回インタビューした坂下さんは先輩社員トークショー「農業でキャリアを創るって?働く先輩のホンネ」に登壇し、参加者と座談会を開きます。

坂下さんと直接お話できるイベントです。
詳しくはこちらの「Agric2018」のホームページをご覧ください。
http://agric.agri-connect.co.jp/


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