青年よ!もっと来いよ!

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この記事の書き手
農家 山形県東置賜郡

【 青年よもっと来いよ!】
※超長文です。しかし!ぜひ読んでください。体温が3度上がります。

全国のフレンドの皆様、超おはようございます!
愛とパワーを与える百姓、中川吉右衛門です。

本当ならば・・・・・

『俺たちのお醤油仕込み2017in萬五郎』

のアウトプットとして記事を書こうと思っていました。

が!!!

まずはこのことを書かせてください。

その理由を先に言っておきます。

「72歳のおじーさんが、この歳になってやっと自然栽培にたどり着いたので、我が家に話を聞かせてくれ!とやってきたーーーー!!!」

俺は猛烈に感激とともに、憤りを感じたぞ!

ってお話です。

 

「俺たちの醤油仕込み」を明日に控え、その前に発送やら何やらの仕事をバタバタと片付けている時のことです。

豆の選別をヤンヤンとやっているその時。

玄関先で声がしました。

ん?客人が来たぞ?

と思い、出てみると・・・・

全く見知らぬ、じーさんが立っています。

誰だ??この人?

「はい?何でしょうか?」

声をかける。

するとそのおじーさんは、

「中川吉右衛門さんですね?わだし〜あの〜テレビを見で訪ねできました。」

という。

あらら・・・

「ちょっとお話を聞きたくて・・・・今大丈夫だべが??」

出荷の時間も差し迫り、豆の選別もまだ途中で、終わったら萬五郎の掃除や片付けもある僕は、流石に

「ありがとうございます。ちょっと今忙しくてお話できる時間はないんです。すみません」

と言うと、

「いづだどいいべが?」

という。

「では、30日にきてください。時間は午前中であればいつでもいいです。」

ということで、その日は帰って行きました。

で、昨日です。

俺たちのお醤油仕込みも最高に盛り上がり、大成功で無事終わり、すっかりそんなことを忘れていた僕。

やってきました、このおじーさん。

ビール一ケースを半分に割ったのを手土産にして笑

で、始まりました。

開口一番。

このおじーさんが言ったことが僕の心を突き抜けました。

ちょっと気恥ずかしそうに、照れたようにはにかむ顔で、

「あの〜わだし72になるんですがね。70を過ぎてから自然農法とか自然栽培に目覚めまして、、、、ええ。
ほんで、偶然中川さんをテレビで見て、ああ、この人に話し聞きに行きたいな〜と思って、今日きました。お忙しいところ申し訳ない。」

という。

ナンダッテーーーーーーーー!!!!

一番、男として、人間として小煩く、頑固になっていく70代にもかかわらず、自然栽培に目覚めたって!??

正直、僕は度肝を抜かれました。

そして、見た目と感覚で、この人は「勤め人」人生ではないな。

というのがわかったので、いろいろ聞いてみたんです。

なんとこの方。

バリバリの百姓だったのです。
百姓歴50年選手です。

どうりで!

百姓のオーラが全開ですから。

これでますまず僕は度肝を抜かれました。

バリバリの百姓人生を歩んできた、言うならば百姓としてはるかに僕より大先輩の方が、こうして自然栽培に目覚めて、自分より経験もはるかに浅い僕のところに話を聞きに来る。

そして、自分も自然栽培をやってみるというのです。

・・・・すごいな。この人は。

と、思いました。

そのバイタリティー。
その柔軟性。

そして、自然栽培というか、僕のやっていること、目指している未来。
そういうものは、時空を超えて人の思考と人生を変えるものなんだと、確信したのです。

なので、人生でも農家としても大先輩であるおじーさんに、さらに深い敬意を払い、聞かれたことには真摯にお答えしたのはいうまでもありません。

何聞いてもらってもいいのです。

僕は嘘は言いません。

自分が経験・体験してきたことと、僕の自然観を伝えるだけですから。

それを深くうなずきながら、うんうん。と聞くその姿。

自分の考えと同じキーワードが出ると、柏手を打って

「んだんだ!」

と喜ぶその笑顔。

一番びっくりしたのは、

「夢」というワードが出た時。

一番目がキラキラしてましたね。

そして、腕を組んで顎を撫でながら、

「んだんだ。やっぱり夢がねーとダメだ。その通りだ。。。やっぱそこだ」

と、遠くを見つめるその瞳の輝き。

これには、さすがの僕も本当にびっくりするとともに、この人は真剣だ!と思わされました。

普通なら「夢」なんてことを言うだけで、70代の田舎のおじーさんが、そんな反応しますか?

僕はそんな人見たことがない。

でも、いるんですよね。世の中にはこうした変態が。

その事に感激しました。

そして、この人が言ったこの言葉が、強烈に、鮮明に僕を突き刺したのです。

僕の話をある程度した後、僕は聞いてみたのです。

「なんで、この歳になって自然栽培に目覚めたのですか?」

と聞くと。

「中川さん。俺は今まで、体もうごしく、なんでもやれることはやってきて、自分一人でできるならいいと思ってやってきました。

でもよ。
さすがに昔みたいに体もあまり動かなくなってくるし、目も見えなくなってくる。そうした時にふと!
俺は一体何をやってきたんだろう?振り返っても今の田んぼ(冬の田んぼ)と一緒で、何も残ってないじゃないのか?と、ものすごく寂しくなったんです。跡継ぎも育ててない。守っていく土地も大してない。。。何をやってきたんだと寂しくなってなぁ」

と。

それがものすごく切実に伝わったのです。

胸が痛かった。

「そんな時に、ある人から一冊の本をもらって読んだんだよ。
それが、中川さんもさっき言っていた、木村さんの『奇跡のリンゴ」だった。これを見て、なるほどなぁ・・・俺は今からでもこんな百姓すれば、残せる何かができるかもしれねぇと思ってな。」

この方は養豚を約50年近くやってきて、10年前には大規模稲作経営に着手し、それを会社組織にしてやっていこうと思ったが、採算が合わず、当初いた従業員も雇えなくなり、今では養豚をやめ、一人で15町歩の田んぼをやっているんです。

慣行栽培と一部有機栽培で。

そこまでどっぷり百姓してきて、それでもなお!

72歳にして

「俺は一体何をやってきたのか?」

と思うんですよ。

これが、今の日本の農業のリアルな実態です。

本当この通りなんです。

何が最も足りないのか?
なぜ、一体何をやってきたのか?と思ってしまうのか。

わかりますか?

「継承」

がないからです。

継承する、ヒト・モノ・コトが何もないからですよ。

もっと言えば、

「魂」

がないんですよ。

だから、とことん真剣に百姓してきたって、一体何をやってきたのか?

と、思ってしまうんです。

慣行栽培であれば、「コト」(技術や知識)は別に継承しなくていいんです。
どんどん新しい農薬も、肥料もできるし、それを使いこなす先生もたくさんいる。
新品種は毎年できる。
その人に習えばいいですし、本でも学べる。

「モノ」でいえば、自分の土地というのは、ほんとごくわずかで、あとは借りているもので、それも不便なところばかりを押しつけられる。

また、農薬・肥料まみれで、その「土」を継承していくなんて考えはなくなる。

「ヒト」にしたって、この方は後継者もいない。
息子や孫もいるけれど、その息子にも孫にも
「農」で生きる愉しさ、豊かさ、美しさ。その魅力。
伝えてこなかった。

僕は別に息子・娘がいなくたってこれはできると断言します。

農家も血縁にとらわれずヒトを育てるべきです。
それが生き様となる。

継承がなければ、そういうことなんですよ。

でも、自然栽培なら。

自然に沿い、自然に倣うなら!

継承するヒト・モノ・コトは沢山あるのです。

その土。
その種。
その技。
その智慧。
その魂。

それを感覚的にこのおじーさんは感じ取ったというコトです。

だから、来たんでしょ。僕のところに。

だから、自分でも今からでもやると言っているんでしょ。

だから、僕は自然栽培で世界を変えられると直感して、今こうして百姓しているんです。

継承があるから。

継承に値する物事全てがそこにあるから。

それが、生き様になるんですよ。

僕はこのおじーさんは素晴らしいと思います。

ないかあったら、力を貸してくれと言われたから、なんぼでも貸します。

が、それと同時に憤りも感じたのです。

こんな72歳のおじーさんが、こうして自分の人生をかけて、今からでもやろうとしている。

それを受け取った感受性を持ち合わせて。

でも、青年よ!若者よ!

このじーさんより感じないのか?

このままで進んでいったら、今の日本農業に何が残るんだ?

君たちは何を継承していくんだ?

どんな生き様を残していくんだ?

正直、このおじーさんが来たことは嬉しかったけれど、僕はやっぱり、若いやつにもっともっと感じてもらい、もっともっと真剣になってほしい。

生きるということを。

自分の人生を。

もっと来いよ!

もっとこっちに来い!

どんなにしょーもないやつだって、これからの日本を何とかしていくのは、このじーさんじゃないんだぜ?

俺たちなんだよ!

俺たちがやらずして誰がやるんだ??

自分の事ばっかりか?

自分だけがよければそれでいいのか?

情けなくないのか!?

こうしたじーさん・ばーさんが、こうした立派な青年たちを産んで育てて、残せて、いい人生だったな。日本も安泰だな。

と思わせられなくて、情けなくないのか?!

情けない!と思うんだったら。

一緒にやろうじゃないか。

日本の農を最高に盛り上げていこうじゃないか。

人が人であるために農があるんだよ。

そこが盛り上がらなくて、衰退していくばっかりだったら、この先の未来はどうなるのか?

ちょっと考えればわかるだろ?

それが嫌なら、やろうじゃないか。

一緒に自然栽培でも何栽培でもいいよ。

嘘のない農と食で世界を変える。
農を盛大に繁盛させる。

その冒険者になろうじゃないか。

僕はいつでもそうした仲間を探しているし、求めている。

安心してください。

明日世界が終わるとしても、僕はここにいます。

何か心に響いたのなら!!

いつでも来てください。
また、僕を呼んでください。
冬の間なら、どこでも行きます。

そして、一緒に一人では成し遂げられないことを一緒にやりましょう。

一人では決して見られない景色を、一緒に見ましょう。

そして!

俺たちで、世界を変えてみないか?

皆様!
護るべきものがあるから継承が生まれ、継承が生まれたら責任が生まれ、それを自ら取りに行く生き様が継承となる!の素敵な1日を!

(2017.2.3)


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