台湾に行ってきました!「農村的女英雄」と紹介されました

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農家 熊本県阿蘇郡南阿蘇村

ついに1ヵ月も空いてしまいました。時々覗いて下さっている方もいらっしゃるようなのに、お恥ずかしい限りです。とにかくパソコンを開いたとたん、1歳児の娘がいじりに来るので、なかなかパソコンのスイッチを入れることができないのです。言い訳ですが。。。

 

さて、初めて海外の講演に呼んでいただきました。台湾です。とっても充実した4日間(移動を含む)だったので、リポートしたいと思います。

 

台湾へは山形ガールズ農場の社長・菜穂子さんと4人で出発。

 

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高雄政府台湾南部の州)主催の「南方農業論壇2016」にてお話しする機会を頂きました。2年に1度の開催だそうで、参加人数1000人を超えるビッグイベント。今回のテーマは「魅力的な農業」と「国際競争力」です。

 

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山形ガールズ農場の菜穂子ちゃんと2人(4人)で登壇すると、こんな感じ。自分ゴトながら笑えます。スタッフの方が何度も「本当にお子さんと登壇するんですか?」と不安そうに念を押してきましたが、2人で明るく「はいっ♬」と返事。日本も台湾少子化が著しい中、子供を増やさないと、自分たち自身の未来が開けないこと、何人もの子育てするなら、食べ物を作ってる農家が適任であることなどを、今後も国内外でアピールしていきたいと思います(^_^)v

 

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NPO法人田舎のヒロインズは、役員8人のうち3人も独身なのに子供の数は20人!ちなみに中国語だと「農村的女英雄」と書くらしいです。田舎こそ子育てしやすい社会にしていきたいです*\(^o^)/*

 

翌日は視察三昧。

 

まずは週に2回ひらかれているというファーマーズマーケットへ。行政の後押しも受けながら継続しているとのことで、売られている商品のほとんどが有機農産物(と言っても、指定の農薬以外使わない、と言った規格らしいです)。地域の福祉施設ともコラボしているそうです。先週、強い台風高雄を直撃したため、いつもよりは品薄だと言っていましたが、グアババナナマンゴー、葉物、漢方の原料、ハチミツシロップ、ジュースなど、地元の農産物や加工品がたくさん売られていました。

 

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靴を履いてもすぐに脱いでしまう里咲は、マーケットで靴の販売(笑)

 

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台湾は屋台や夜市で有名ですが、こうした外食が安くて手軽なために、3食外食する家も多いとか。なんと台所のない家も珍しくはないそうです。そんな中、地元の農産物をつかった料理に興味を持ってもらおうと、学生さんたちを主なターゲットとした野外料理教室も開かれていました。料理ができあがるまでマーケットにいられなかったのが残念でしたが、食文化の豊かなイメージを持つ台湾の意外な一面を知りました。

 

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お次は農家さん2軒。

訪ねたのは、観光農家さんと企業参入の大規模農業法人で、観光農家さんは家族経営で、山羊乳をメインに多品目を作っていました。加工施設や受け入れ施設を建てるための許認可が厳しいとのこと。農家レストラン農家民宿を増やすために規制緩和をした日本を羨ましがっていました。

 

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ここであか牛にそっくりなべっぴんさんに遭遇。台湾の品種だそうです。

 

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大規模農業法人は、栽培計画や出荷管理などを全てIT化。と言っても、多分、日本の比じゃないですが。それでも、社長さんは今後も拡大・多角化を目指すとの事でした。サクランボ農家の菜穂子ちゃんは、職業柄、思わず摘果を始める始末(笑)

 

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ただ見せてもらうだけでなく、訪問先にも得るものがあるような、意見交換ができたと思いますd(^_^o)

 

市中の八百屋さんに並んでいる果物は韓国産が健闘していたけど、デパチカやコンビニには日本の商品がズラリ。日本のテナントも多数で、親日、というより、ここは日本かと思うほどでした。

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さて、台湾出張の感想。批判でも批評でもなく、あくまで感想で、私が感じた、これからの農業についての疑問です。農業に、というか、農政に対する、だと思います。

 

2日間に渡る農業振興イベントは、ものすごい熱気とお金のかけようで、台湾政府が農家の育成や支援にどれだけ力を入れているかがヒシヒシと伝わりました。

そのこと自体はもちろん素晴らしいと思いますし、日本から講師として呼ばれていた、農業で稼ぐフロントランナーさんたちのお話は素晴らしいものでした。その上で、個人的かつ勝手な感想(というか疑問)を述べたいと思います。

 

もしも農家がいなくなったら、食料安全保障上、大変なこと。だから、若い人に農業をやりたいと思ってもらうためには、農業が儲かればいい、と考えるのは自然なのかも知れません。でも、みんながみんな「すごく儲かる農業」を目指して、付加価値のあるものや、グルメを唸らせるような加工品づくりに取り組んだら、普通の家庭が日常的にスーパーや八百屋で買うような農産物は誰が作るのでしょう?人件費がさらに安いアジアの他の国々やアフリカ?大規模化して生産コストを下げられるアメリカオーストラリア

つまり、台湾や日本のような小さい島国では、農家が限られた農地で、自国で必要な農産物を普通に真面目に作ることでキチンと生活できるようでないと(例え税金を使っても)、少ない農地で高く売れるものばかり作るようになったら、お金持ちは美味しくて安全な農産物を手に入れられるけど、普通の人には手が出ない農産物だらけになってしまうんじゃないかな、と思ったのです。

若手農家がキラキラとした目で売上げ1億円を目指す話をしたり、自分の加工品アイディアを披露したりする姿は素敵でした。夢いっぱいで。そんな雰囲気に包まれた会場で、こんな天邪鬼みたいな感想を持ってさらに次の世代のお世話をしていた次第です。

高給じゃなくても生活が安定しているから、という理由で公務員を目指す若者が多いのであれば、同じ理由で農家を目指す若者がいてもいいはず。普通に暮らせる安定農家。消費者の理解を受けて、普通の暮らしを支え合う仕組み。そうなるとやっぱり教育費がネックだな。

そんなワケで、あんまりうまくまとまってませんが、リサが起きたのでこの辺でやめます。台湾はご飯が美味しすぎて、絶対太って帰ってきたと思います(*_*) でも、また行きたいです♪

 

(2016,10,02)


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