【まとめ】「地域の為にやってます」それだけでは終わらせたくない。僕らの町おこし。

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この記事の書き手

 

自らを想うことは地域を想うことでもありました。

 

“自分の為の町おこし”

「自分の為の町おこし?町おこしなのに“自分の為”っていいの?」

 

今回紹介する3人の農家さんは、そんな私たちの思いとは裏腹に

「町おこしは自分の為でもあります。」

そう言い切ってしまうのです。

彼らの町おこしとは、一体全体どんなものなのでしょうか。

 

 

 

 

 

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「地域に元気を取り戻したい!1300本の竹灯籠作りにたった一人で挑んだ男~静岡県芝川町」

風岡直宏さん(静岡県、たけのこ生産農家)

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▲静岡県芝川町。美しい自然が息づく町であるが、周辺地域に比べると観光資源に乏しい。

(前略)

 

風岡さん:芝川はじーちゃん、ばーちゃんばかり。農業人口もガクンと落ち込み、高齢化してる。かつて芝川には、たけのこだけで食べていける農家があったんだ。今じゃ、収穫量は全盛期の半分以下。質もかなり低下したね。

――農業も含め、芝川の街から元気が失われてしまったんですね。

風岡さん:そこで、地元再興をかけて 3 年前にやったのが※1「竹灯篭」なんだ。

※1 竹灯籠~年をとってたけのこを生みにくくなった竹を、町興しのために有効活用できないかと考えた風岡さんが全部で1300本制作。竹に入れた切込みから灯りがもれる仕組みになっている。山から竹を切り出すところから、模様を彫り込むところまでの全ての作業を風岡さんが一人で手がけた。

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芝川に恵みを与えてくれる富士山を表現。風岡直宏改め、キャンドルナオ「広末涼子もびっくりの景色だよ!」

(中略)

――地元の人の反応はどうでしたか?

風岡さん:当日は見に来てくれたけど…。準備をしてる僕に、手を貸してくれる人は誰もいなかったさ。唯一手伝ってくれたのは、隣町の焼肉屋だけだった。

――「フェラーリたけのこ屋が粋がってやがる」、そんな風に思われていたんでしょうかね?

風岡さん:あいつは目立ちたいだけだ、そうやって陰口を叩かれていたのかもしれないね。でもね、そんな生半可なモチベーションじゃ、あのイベントは絶対に成功させられないよ。身銭を切って、仕事の合間に数百時間かけて、だよ。それも全部芝川のためさ。正直、あまりの辛さに涙がこぼれる時もあった。もう一回あれをやれと言われたら、戦慄が走るね。

もちろん、やってみて良かったこともあるよ。人を感動させようと思って、精一杯働いた自分が一番感動してたってこと。それに、自分の限界へ挑戦できたこと。もしかしたら人間って、たまに全速力で飛ばすことがあってもいいのかもしれない。最高速度300km のフ ェラーリだって、普段ちんたら走っていたら、いざという時にエンジンが回らなくなるさ。出す機会がない能力は、無い能力とおんなじ。だからこそ、僕は自分を極限まで追い込んで良かったと思ってるよ。

 

「バカと言われても、人の役に立ってればいい」

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――普通、「町興し」といえば、色んな人を巻き込むもの、という印象があると思います。それに対して風岡さんは、あえて一人で挑んだわけですよね。

風岡さん:その通り。目立ちたがり屋、バカ、そんなことを言われたって、人の役に立ってるならいいじゃん。うちのお店にお客さんが集まれば、自然と芝川の街に人も流れるさ。

――それが、風岡流の社会貢献なんですね。

(元記事:2015.12.29)

 

続いて、地域で調達できるものだけを飼料に養鶏を営んでいる若手農家さんを紹介します。

彼はなぜここまで“地域”というものにこだわるのでしょうか。

 

 

 


「地域の農業が抱える問題を解決する。それは”地域の為”という理由だけではない。~神奈川県小田原市」

檀上貴史さん(神奈川県、養鶏農家)

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自然養鶏場春夏秋冬は、近隣の耕作放棄地の管理を引き受け、その田畑で鶏たちの※2緑餌を作っています。

※2緑餌~ミズナ、菜っ葉、ヒマワリ

 

その緑餌を食べた鶏たちの糞を、稲ワラや落ち葉、腐葉土など未利用資源と一緒に発酵させて、鶏糞堆肥を作る。その鶏糞堆肥を田畑に循環し、緑餌を作る。

 

このような循環を構築することで、地域の耕作放棄地の解消に繋げています。

 

できれば、この循環を、耕作放棄地の解消のみならず、『農業の担い手不足の解消』にも繋げたい。

 

『数年間、緑餌を栽培した耕作放棄地は地力を回復し、野菜などの栽培に適した田畑となる。 その田畑を新規就農者にバトンタッチすることで、担い手不足の解消に繋げられるのではないか?』というのが僕の考えです。

(中略)

 

耕作放棄地の解消も、担い手不足の解消も、自然養鶏場春夏秋冬を受け入れてくれた地域への『恩返し』であると同時に、『自らの為』でもあります

 

自然養鶏場春夏秋冬は、 ① 小田原・足柄地域から得られる飼料のみで飼育できる羽数しか飼育しないこと。 ② 管理・提携する田畑、1町歩あたり10羽の飼育に制限すること。 を飼育方針に採用しているので、近隣農家さんの協力なくして、成長できません。

 

なので、小田原・足柄地域で新規就農を考えられている方がいらっしゃいましたら、マルシェや朝市などで、お気軽に話しかけていただければと思います。 『地域への恩返し』と『自分の為』に、可能な限り、お手伝いさせていただきます。

(2015.10.4)

 

そして最後に紹介するのは、

「地域に若者のチャレンジャーを生み出していく生態系を作る」

 これを掲げて立ち上がった農家さんです。

彼のこのビジョンは地域にそして人々にどのような変化をもたらすのでしょうか。

 


「若者の挑戦は地域を変える!若者の育成に奮闘する若手農家~愛知県奥三河」

安形真さん(愛知県、野菜全般生産農家)

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(前略)

 

「地域と農業の活性化」を掲げて起業しだいぶ経ちますが、 起業当初とは言葉の意味合いが変化してきています。 起業当初は農業を軸に活動することが多く、儲かる農家がいれば農業をやりたいと思う人が増え農業と地域が活性化すると考えておりました。 でもなにか違うなぁと思いながら、しばらく経って農家レストランをオープンする時には軸を地域に移して、地域資源、つまり周りの人たちの力を上手に大きくしていくことを考えました。 走って立ち止まって見直して、を繰り返すうちに地域・農業とは何を指しているのか、活性化とはどんな状態を指すのかということを深く深く考えるようになりました。 僕の本当にやりたいことやできること、地域の抱える社会的なニーズをすり合わせて。

(中略)

そして農業とは、今のままではいかんなぁと思って変わろうとする農家さんのことを指しています。どちらかというと地域の中に農業があるということで、地域に含まれる概念になっています。 最後に活性化という言葉ですが、これは色んな人が色んな意見を持っているような気がしますが、経済が活発になったり、文化や歴史を後世にまで残すようなことではなく、僕の場合は地域に若きチャレンジャーをたくさん輩出することで地域に火をつけることだと思っています。

自分自身の経験から言えることですが、「若い農家の兄ちゃんが何か面白いこと始めたぞ」という空気がとても大事で、地域の人たちが大きな期待を寄せてくれます。 何の実績もなくても、とりあえずモノを買ってくれたりします。 その評価を友達や近所の人に広げてくれます。 こういうところは奥三河の良いところで、自分でできる範囲で協力してくれるという土壌があります。 だから期待に応えたいと思うんです、この奥三河という場所で。 僕が今、この地で生きていられるのも地域の人たちが我慢強く僕に投資をしてくれているんだろうと思っています。

若者は地域の未来です。 若者のチャレンジは地域に希望を与えるものだと思います。 変わらなきゃいけないって気持ちは若者が一番強く感じています。 その変わらなきゃって気持ちを後押しするために、プレイヤーとして最前線で戦いつつも一歩引いたところで支える側にならないといけないと思うようになりました。

それを形にしたのが、奥三河若手起業家プレゼン大会と新城志塾です。 僕は10年間で50人のチャレンジを支援すると決めました。 その中で社会を変えるインパクトを出せる社会起業家を5人輩出したいと考えています。

(中略)

自分自身がまだまだなのに、人を育てられるのか、人を育てる資格があるのか、と叱責される方もいらっしゃると思います。 確かにその通りです。 なので、自分も走りながらレベルアップしたいと思います。 卒業した東海若手起業塾の門を再び叩き、支援の仕方をイチから学びなおしたいと思います。 先輩たちはずっと走り続けていて、自分が成長したと思っていてもその背中はさらに遠くにありました。 追いつき、追い抜くつもりなのに、その差は広がるばかりだと気づきました。 自分なりに一生懸命やっていたことはまだまだだったのです。

(中略)

僕が今やっていることは地域にチャレンジャーを生み出してく生態系を作ることです。 その中で一番大事なのは自分自身が一番のチャレンジャーになることのような気がします。 幸い、今は背中を任せられる心強い仲間たちがいます。 だから思い切ってチャレンジできるはずです。 まずは先輩たちの背中に必死でしがみついて、盗めるものはなんでも盗んでやります。 それが僕を信じてくれている地域の人たちへの恩返しになると思って。

(2016.3.24)

 


 

まとめ担当・編集部土谷より一言。

「自分がやりたくてここ(地域)に来てるからね」

ある地域に入って活動したとき、私の大先輩が言った言葉。

「町おこしって自己犠牲でしょ」「偽善としか思えない」

そんな言葉に違和感を感じていた私はこの言葉にはっとしたんです。

 

「自分のやりたいことをやる」

これは何よりもエネルギーになるんだと。

そしてそのエネルギーこそが町を元気にするのだと。

 

先輩の言葉、今回紹介した農家さんたちは、そんなことを私に気付かせてくれました。

町おこしの新しい形が見えた気がします。

 

 

 

 

 

 

 


➤この農家・漁師のプロフィールを見る
農家 静岡県富士宮市芝川
農家 神奈川県小田原市
農家 愛知県新城市