「たのもさん」に馳せる料理長への想い

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農家 広島県廿日市

宮島にあるホテル、錦水館の岡垣内総料理長が亡くなりました。

私たちが宮島に来て間もなく、まだ畑にワラビしかなかったとき、料理長に毎日あるだけ持ってきていいよ、と声をかけていただき、毎日1㎏~2㎏のワラビを採ってお届けしていました。野菜の収入がない私達にとっては、最初から少しでも収入を得られたことは精神的にも大きな助けになりました。

今年の2月に錦水館で開催された、食材を提供している業者や生産者との「感謝と交流の会」では、心づくしのおいしいお料理をたくさんいただきました。料理長にお礼のご挨拶にいくと、「こういう会を開くのが夢だったから。なるべく近いうちにまたやりたい」とおっしゃいました。

「職人だから、職人だから、技で、食べてくれる人に喜んでもらえるように。」

9月1日に、宮島で「たのもさん」の行事がありました。古来より神の島とされてきた宮島は、農業が禁じられ、農作物は対岸から船で運ばれていました。島内では育てられない農作物に対する感謝の気持ちはとても厚かったそうです。その感謝の気持ちを込めて対岸に向け船を流したのが、宮島のたのもさんのはじまりです。
厳島神社から船を浮かべ、灯されたろうそくがゆらゆらと揺れながら鳥居に向かう様子は、亡くなった人を弔うための灯篭の明かりのようにも見えます。

どうしても、悲しくて、しかたありません。

私たちはこれから、何度も初心に帰りながら、農の業を磨いていきたいと思います。

(2016.9.2)


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農家 広島県廿日市