山紫水明。先人の執念。

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農家 鹿児島県南さつま市

うちの集落では、去年から集落の共同事業として米作りを行っています。耕作放棄地になっていた「ひよと松」という不思議な小字(こあざ)の棚田です。

それで、先日は共同作業で畦草払いと溝浚いをやりました。畦草払いはともかくとして、ビックリしたのは溝浚い! 山麓にある田んぼなのでどこから水をとっているのかなーと思いつつ、用水路の溝浚いをして辿っていくと、これが長い長い。

このあたりの標準だと、取水口から最初の田んぼまでの距離は長くても100mでしょうか? 事前に長いとは聞いていましたが、せいぜい200mくらいかとタカをくくっていました。

それがこの杉林に伸びる用水路。延々と続いています。風情がある光景です。

ひよと松の用水路

今の用水路は安っぽいU字溝でできていますが、昔の用水路はすごく丈夫なコンクリで出来ていますよね。「昔は貧乏だった」と言いますが、こういうインフラをみると今の方がちゃちな出来のものが多い気がします(でも合理化したという側面もあるので、あながち悪いことでもないかも)。

で、700mくらい遡ったでしょうか。用水路がついに川とぶつかりました。

井堰

井堰(いぜき=取水するため川がせき止められているところ)があったのは、こういう山紫水明な場所でした。ちょっと大げさですが、屋久島の白谷雲水峡なんかを彷彿とさせる場所です。

人里離れた澄んだ小川に、鄙びた井堰。苔むした石垣。いやー、よくこんな場所から水を引いてきたものです。昔の人の、米作りへの執念はすごいものがあります。

こんな清流の水で育てられたお米はさぞ美味しいことでしょう。

…といいたいところですが、ここが農業の面白いところで、ただキレイな水を使うだけで美味しいお米ができるわけではないのです。実際、去年収穫したお米は、美味しいと言えば美味しいですが、普通の場所でよく管理して作ったお米と比べたら遜色があるような味でした。

でも今年は去年より美味しい米が穫れそうな気がします。お米に関しては連作した方が美味しくなる気がするんですよね。正直いうと私もどうしたらお米が美味しくなるのか、よくわかっていませんけど。

(2016.6.7)


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