イノシシは丸太で倒す!野生の農家、130kg巨大イノシシに挑む

in イベント告知/編集部から/農家漁師にインタビュー/静岡
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風岡タイムス 5月号

“野生の武井壮”の異名を持つ農家、風岡さんが野生のイノシシに挑みます。思わず手に汗握るイノシシとの攻防。都会では絶対に味わえない、嘘のような本当の話をお届けします。

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「我、野生のイノシシを丸太で退治する者なり」

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森山3
「イノシシを丸太でぶっ叩いて退治する農家」―そんな噂を耳にしたのですが、風岡さん、本当ですか?

風岡
本当さ。捕獲したイノシシは通算10頭。去年は4頭だね。目の下あたりをねらって、丸太をフルスイング。かっ飛ばすんだ。

森山3
すげえ・・・。危険をおかしてまで、丸太で退治する必要があるんですか?

風岡9
え?そりゃ一人で捕った方が、肉の分け前が多くなるからね。

森山3
発想が野生児すぎます(笑)
そもそも、どうしてイノシシを捕まえているんですか。

風岡4
僕が育てる、たけのこの最大の天敵だからだよ。あいつら、地面から出てくる前にほじくり返して食べちゃうんだ。
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▲イノシシによる被害現場。散らばっているのはたけのこの残骸

森山3
はー、なるほど。ほかの動物は、たけのこを狙わないんですか。

風岡
こないだ、猿20頭がうちの竹林に入ってきたんだ。お目当てはたけのこさ。何も道具は持っていなかったから、「ワン!!!」と叫んで追い払ったよ。いつもはロケット花火をミサイルのように飛ばしたり、競技用パチンコで追い返してる。困ったもんだけど、本来、山はあいつらのテリトリーだに。獣の駆除も、農家の重要な仕事なんだ。

もちろん、僕だって動物を痛めつけたいわけじゃない。侵入を防ぐために、電気柵をはることも考えたよ。だけどね、山全域に柵をはって、管理・維持できると思う?そもそも、僕の山だけ動物の食害を減らせばいいわけじゃない。根本的な解決のために、獣の駆除は不可欠なんだ。

 

「さあ、本物のイノシシに会いにいくよ」

風岡
そうだ、近所に僕になついてるイノシシがいるんだ。会いにいってみよう。

森山3
えっ、そんなイノシシが!
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風岡
知り合いがイノシシを飼っててね・・・。さあ、到着!

森山3
うわ~、あたり一面すごい獣臭です。

風岡9
ブーブ、遊びに来たよ。

風岡7
ねえ見てよ、この毛並み。ハリネズミみたいだら?密度もすごいし、並みの打撃じゃ弾かれるどころか、かすり傷もらっちゃうよ。
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風岡3
イノシシはお風呂に入る代わりに、泥浴びをするさ。そのあと、泥を落とすため、竹に身体を摩りつける習性がある。竹って人間の骨以上の硬さなんだけど、イノシシの鋼の鎧にかかれば、このとおり。地肌がのぞくくらい削れちゃうのね。
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風岡2
イノシシは、鼻もすごい。ぷにぷにしてると思って触ってみたら、びっくりさ。硬いのね。さっすが、鼻で地面ほじくり返してたけのこ食べちゃうだけのことはあるよ。
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風岡7
イノシシの嗅覚は、人間の100万倍~1億倍ともいわれているよ。

森山3
イノシシ、恐るべし・・・。

風岡
ここらの山では、食物連鎖の頂点だよ。
動きも俊敏。平均サイズのイノシシで1.2mの高さを飛び越える。そいつらと、山で戦うんだ。

 

「山で繰り広げる知恵比べ」

森山3
イノシシはどうやって捕まえるんですか?

風岡
獣道に罠を仕掛けるんだ。イノシシがよく通る道は磨かれてるのね。慣れればすぐわかるよ。
で、これが実物の罠ね。イノシシがこの罠を踏んだら木が沈んで、バネでワイヤーがしまる仕組みさ。
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森山3
へー!意外とシンプルな構造なんですね。

風岡2
イノシシは蹄だもんで、木とか木の根っこはツルっとしてて滑りやすい。だから、そこを必ずまたぐ習性がある。その習性を利用するのさ。ほれ、仕組みを図解してみたよ。
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森山3
略式すぎてわかりません(笑)。 解説をお願いします。

風岡3
中央に罠を仕掛けて、木の枝を「ハ」の字にセットするさ。で、イノシシが道を歩いてくる。習性で、枝をまたぐさね。次の瞬間、罠を踏んでバチーン!とかかるわけ。
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▲実際の罠の様子。点線内に「ハ」の字にセットした枝と、地面に埋まった罠がある

風岡2
みんな、子ども時代に落とし穴を掘ったことない?うまく穴を隠せないとばれちゃうだよね。イノシシも同じさ。罠は念入りに地面に埋めて、土の色をあわせて、落ち葉をふるう。
鉄のにおいをかぎ取られることもある。だから、新品を使う時には、しばらく土の中に埋めておいて、においを消すさ。目に見えないたけのこを鼻ひとつで見つけちゃう生き物だからね。罠をかける時には、人間のにおいがつかないように、長靴やカッパで完全防備して出かけるよ。

森山3
念入りですねえ。

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風岡
真剣勝負、獣との命の取り合いさ。
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▲猟師仲間が薙刀(なぎなた)でイノシシを仕留めることもある

森山3
相手方のイノシシを見極めるコツはありますか?

風岡
フンの形状、足跡の大きさを見れば、だいたいのことはわかるよ。

森山3
とはいっても、広い山である一地点にひっかけるって、相当な難行ですよね。

風岡9
正直、イノシシを捕獲するより、女の子の方が楽だよね(笑)。
美味しい料理でおびき寄せて、誠実さで下心を隠す。
これがイノシシだったらどうなる?山においしいエサが転がってたら不自然。警戒されて、その時点でアウトだね。それに誠実さなんて、野生動物に通用するわけねえら?

森山3
あれ、気のせいでしょうか?言うほど、女の子が捕まっていないような…。ついこないだも、ラーメン屋で1万円おごった22歳の女の子に、食い逃げされてましたよね?

風岡6
こら、黙っとけ(笑)。

 

「超巨大イノシシ“怪物君”と、いざ一本勝負」

森山3
今までで一番の強敵はどんなイノシシでしたか?

風岡4
昨年捕獲に挑戦した、超巨大イノシシ“怪物君”だね。あれは、昨年のたけのこシーズン中だった。

たけのこを掘り行ったら、まるで地雷が爆発したように、竹林の足場の段が1段なくなっていたんだ。売り物をめちゃめちゃに食い荒らされちまった。たけのこが出にくい裏年だったもんで、損失もでかかっただよ。食い荒らし方からして、かなりの大型イノシシだと察しがついたさ。イノシシは、年齢を重ねるほど警戒心が強くなる。大型は、うまく一発で仕留めないと面倒なことになるだよね。頭をひねって、罠を仕掛けたさ。

じっと待ち続けて、あれはクリスマスイブの日。ついに怪物君がかかった!!
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風岡7
見てみたら、あまりにでかい。後で判明するのだけど、なんと130kg。“霊長類最強の男”アレキサンドル・カレリンよりも重い、地区最大級のイノシシだったさ。

森山3
カレリンといえば、レスリング130kg級で五輪3連覇を果たし、13年間負け知らずだった伝説の男!

風岡
もし、怪物君とカレリンがタックルで組み合ったら、どうなると思う?カレリンは吹き飛ばされるだろうね。イノシシの低重心のタックルは恐ろしいよ。ときに、1.2トンの耐久性があるワイヤーをささくれさせてしまうくらいさ。

森山3
まさに、命がけの捕獲に挑んだわけですね。

風岡4
ワイヤーにかみついた口は、怪物のように血だらけ。鼻で掘り上げた土埃があたりを包む。細心の注意を払って近づいてく。万一、ワイヤーが外れたらお陀仏さ。ギリギリまで来て、拾った竹で渾身の一撃をかます!

・・・ビクともしない。すぐに打撃じゃ無理だと判断したね。敵は眼前だから、武井壮みたいにシミュレーションしているわけにもいかないさ(笑)。援軍の鉄砲隊を招集。3、4人がかりで一気に仕留めたんだ。
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風岡2
夢中だった、心臓はもうバクバクさ。これまで人生で一番怖かったのは、燃え盛る自宅に、決死の覚悟で突入した時だったさ。それを上回る恐怖体験だったよ。こりゃ、嫁さんのすっぴんより怖かった・・・(笑)。

 

「130キロイノシシを、極上カレーでいただきましょう」

風岡
それで、僕が捕った巨大イノシシなんだけど
イノシシ肉

風岡9
来たる5月28日(土)29日(日)、一緒に食べましょう!東京と神奈川で、極上のイノシシカレーイベントを開催します!

【イベント】“1億円農家”風岡直宏 × “カレー番長”水野仁輔 による極上カレー&トーク

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なぜカレーかって?それはたまたま作った「イノシシカレー」があまりに美味すぎたからだよ。みんなにも、ぜひ食べてほしいと思ったんだ。
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森山3
みなさん、カレールーいらずで作れるカレー、知っていますか?たった3種のスパイスで、香り高いカレーが作れるんです。これは、カレー番長水野仁輔さんが編み出したレシピ。そのレシピで、風岡さんとイノシシカレーを作ってみたんです。
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風岡2
人生ナンバーワンカレーだったよ。スパイスの風味と、イノシシ肉のうまみ、特に脂に凝縮されたうまみが、とけあうようにマッチしていた。当日は、水野さんご本人に鍋を振るってもらうから、さらなる感動が巻き起こるはず!イベント、ふるってご参加ください!

 

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風岡2

「僕は、ランボーになりたい

イノシシだけじゃなくって人間にも、野生の感覚ってあると思うんです。お腹が減っているときに、やけに感覚が研ぎ澄まされて来たり…。それって、食料確保すべし、という太古からの感覚が顔を出したものだよね。
飽食の現代では、「肉体の飢え」を感じることは難しい。だけど、気づけば「心の飢え」まで失ってはいないかな…。飢えを失った人間は、野生の感覚まで喪失してしまう。どこまでも自分を高めるために、せめて心は飢えていたいじゃない?この平和な日本社会のなかで、僕はランボーのような野生味溢れる男になりたいんだ。


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農家 静岡県富士宮市芝川